世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、海外で話題になっているという、美容界におけるバリアフリーの潮流である「アクセシブルコスメ」について、解説します。
誰でも不自由なく使える「アクセシブルコスメ」
普段から、何気なく使っているスキンケアやコスメ、シャンプーといった美容アイテム。でももし、「目を閉じて使ってみて」と言われたら、どれが何かわからなくなって、うまく使えなさそう……。視覚障がいのひとたちは、そうした不便を経験しています。
しかし近年、どんなひとでも使いやすいように配慮された、アクセシブル(accessible)なコスメが誕生しているんです。
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注目のブランド「Victorialand Beauty」。きっかけは息子の障がいから
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アメリカのコスメブランド、「Victorialand Beauty」は、創業者のVictria Wattsの経験から生まれました。重度の色素沈着に悩んだ彼女は、本当に欲しい商品が市場になかったことから、スキンケア開発をスタートさせます。
そしてその直後、4番目の息子のCyrusが、遺伝性疾患を持って生まれ、視覚障がいをもっていることがわかりました。そこで、より包括的なブランドとして、視覚障がい者視点のものづくりを行うようになったのです。
触るだけで何かわかるプロダクト
最も特徴的なのが、商品のパッケージについた突起のマーク。アイテムごとにマークの異なる識別突起をつけ、触るだけでそれが何であるかわかるようにしています。例えば、ナイトクリームには月、セラムにはふたつの水滴、モイスチャライザーには波のマークがついています。
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パッケージに点字を入れるブランドは今まであったものの、「Victorialand Beauty」のよると、視覚障がい者のわずか10%しか、点字を認識できないそう。そこでVictoriaは、この突起のマークを、研究の末に独自開発。世界のブランドをリードする目的で、触覚認識システム「CyR.US(Cyrus System of Raised Universal Symbols)」として完成させました。
使い方や成分は耳で聞く
また外箱には、エンボス加工されたQRコードがついています。このQRコードを読み取ると、音声ガイダンスでアイテムの商品説明や使用方法が流れる仕組みに。わざわざ調べなくとも、なにをどう使えばいいかがすぐわかるようになっています。今後は、その他の商品や成分説明など、新たなコンテンツが追加されるそう。
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こうした機能的な部分だけでなく、視覚障がいを持つひとを含めたすべてのひとが製品を楽しめるよう、香りやテクスチャー、塗布したときから塗布後までの感覚など、感覚的な部分にこだわっているといいます。
香りによるバリアフリーも
視覚障がいのひとにとっては、指で感じる感触のほかに、香りも大きな手がかり。かわいいパッケージが有名なコスメブランド「Too Faced」は、チョコレートなどの甘い香りがするアイテムが数々ありますが、視覚障がいのひとにとっては、アイテムを識別するのに役立つそう。
今後はよりアクセシブルで包括的なアイテムが増えていきそうです。
Image:Victorialand Beauty
Text:Anna Usui