「気になる10代名鑑」の200人目は、中村滉己さん(18)。津軽三味線日本一決定戦で、史上最年少で日本一に輝き、今年5月に開催された第40回記念津軽三味線世界大会では、世界チャンピオンに輝きました。そんな滉己さんに、音楽活動の原点や大切にしていること、これからの目標について聞いてみました。
中村滉己を知るための5つの質問
Q1. どんな活動をしていますか?
「津軽三味線のプロ奏者として活動しています。母も叔母も、もともと津軽三味線奏者だったこともあり、物心ついたときから演奏をしていました。2歳ぐらいのときには、祖父の民謡教室にある楽器を勝手に触って弾いていたらしいです。
いまは津軽三味線や民謡を現代化させること、そして他のジャンルの音楽と融合させることに挑戦しています。9月に予定しているソロコンサートでは、クラシック曲をピアノとセッションして演奏する予定。最近では音楽制作ソフトを使って、民謡を現代風にアレンジしたり、イチから作曲したりしています。
またSNSを用いて、津軽三味線の魅力や僕の演奏を世界中に発信しています。こだわっているのは、津軽三味線や民謡を知らない人が喜ぶように創作すること、届けることです」
Q2. 創作を続けるモチベーションは?
「いちばんは、音楽がやっぱり自分自身を表現するのに最適だと思っているし、演奏していて楽しいから。三味線を弾いているときが、ありのままの自分を最も出せているなって思うんです。
それと同時に、さまざまな大会や演奏会に参加していくなかで、津軽三味線や民謡を知らない若者が多いことに、寂しさや危機感を感じていて……。
いま、津軽三味線や民謡を好きでいてくれる人たちも、だんだんと高齢化が進んでいくと、自分たちが大人になったとき、誰が聞いてくれるんだろうと……。そんなこともあって、最近は若い世代に受け入れてもらえるような、新たなジャンルとの融合に挑戦しているんです。
マイナーな楽器だからこそ、どうやったら広く好きになってもらえるか、どうやって世代の壁を超えていくか。津軽三味線を後世に継いでいくうえでも、重要な課題になってくると考えています」
Q3. 活動に影響を与えた人物や作品は?
「津軽三味線奏者の工藤武先生です。初めて演奏を聴いたのはまだ小さいときだったのですが、母によると、それまで会場でギャーギャー騒いだり走り回ったりしていた僕が、工藤先生が鳴らした音を聞いた瞬間、ピタッと黙って、演奏に聞き入ったそうなんです。
作品だと、ギタリストMIYAVIさんと上妻宏光さんによる楽曲『月影』です。津軽三味線を手に、伝統を重んじながらも、そのイメージを更新していく上妻さんのスタイルと、MIYAVIさんのアコギ演奏がとにかくかっこいい! ぜひ一度聴いてほしいです」
Q4. 音楽活動以外に、ハマっていることは?
「服を見に行くことです。特に古着が好き。大学に入学して仲良くなった友達と一緒に、よく下北沢に行っています。東京はやっぱりお店の数も、揃っているアイテムも多いから見ているだけであっという間に時間が過ぎてしまいます」
Q5. 今後の展望・将来の夢は?
「津軽三味線を世界中に広め、グローバルな楽器にすること。そして、僕自身が津軽三味線奏者として、世界中のアーティストとセッションするのが目標です。
最近では、津軽三味線を学びに日本へ留学した方が、自国で教室を開くなど、世界中に津軽三味線奏者が増えてきて、少しずつグローバルな楽器になりつつあるようにも思います。
そして僕個人としても、海外進出は目標のひとつ。ニューヨークのストリートやラスベガスの噴水の前で演奏をして、津軽三味線のことを知らない人にも聴いてもらいたいし、大きなスタジアムや劇場で、世界の大物アーティストとコラボして、大きな拍手をもらいたい。
何より、自分が生まれた国の大切な文化なので、どういう形であれ、守っていきたいと強く思っています」
中村滉己のプロフィール
年齢:18歳出身地:愛知県名古屋市中村区所属:慶應義塾大学趣味:古着めぐり、グルメめぐり特技:即興で演奏すること大切にしている言葉:挫折しか人生を大きく変えてくれるものはない
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★HP
Photo:Eri MiuraText:Ayuka MoriyaEdit:Takeshi Koh