「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、どれを見ればいいかわからない! そこでSteenzでは、Twitterフォロワー17万人を持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、多忙な10代もチェックしやすい配信作品について、ひとかじり語ってもらうシリーズをスタートしました。
今回のテーマはざっくり広めに、2022年上半期に配信が始まった、10代が押さえておくべき5作品です!
いますぐ観てほしい!上半期ベスト5作
はじめまして、映画アクティビストのDIZです。毎月、たくさんの作品が配信されれますが、「そこまで有名じゃないけど、わたしはすごく好き」という作品を見つけるのも、サブスクの楽しみ方のひとつですよね。
そこで今回は、私自身が、2022年上半期に配信で観られるようになった多くの作品の中から、新しい時代を切り拓く10代のみなさんに、「これだけは絶対に観てほしい!」と自信をもってプレゼンしたい5作品をご紹介します。
HEARTSTOPPER ハートストッパー
イギリスの男子校に通う少年たちが友情を育み、恋に落ちていく過程を描く、最高にハッピーで優しくてあたたかい青春の輝きが凝縮したティーンドラマ、「HEARTSTOPPER ハートストッパー」。
世界54か国でトップ10に入るほど、世界中の人たちが熱狂しており、すでにシーズン2とシーズン3の製作も決まっていますが、続きが気になりすぎて、イッキ見間違いなし。その理由は1話を観ればすぐにわかるはず。始まった瞬間から心をつかむ演出に加えて、登場人物のほとんどがクィアで、クィアの人が創ったクィアについての作品なので、ありのままの自分を祝福する最高のドラマに仕上がっています。
10代ならではのピュアで美しい恋に毎話キュンが止まらなくなって、尊すぎて心臓が溶けてしまいそうなほど、チャーリーとニックのラブストーリーは今年のベスト級です!
新聞記者
参院選は終わってしまいましたが、ぜひ日本の未来を考えるうえで観てほしいのが「新聞記者」。今年1月にNetflixで配信されるや否や、さまざまな物議を醸した作品です。特に注目したいのは、横浜流星さん演じる就活生の心の変化。就活にも政治にも無関心な彼が、ある事件を通して政治に興味を持ち始め、自分が世界を変えられることに気づいていく過程が素晴らしいです。
また、コロナ禍による就活生の大変さも描かれていて、今の日本を反映した凄まじい内容。観る覚悟が相当必要なドラマです。しかし、政治は自分には関係のないことで、自分が興味関心を持ったところで世界は変わらないと感じている人にこそ、観てほしいです。
プロミシング・ヤング・ウーマン
将来有望だった主人公が、ある事件をきっかけに性犯罪者たちに裁きを下していく復讐映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」ですが、まさかの衝撃的な展開に、怒りで震えて涙した映画は初めてでした。映画の中だけで終わりにしてはいけない、いま最も語り合うべき作品と言えるでしょう。
スカッとする復讐劇としてエンタメ性も抜群なのに、心に残る爪痕、余韻の凄まじさ、ラストの切れ味は一生忘れられないほど圧倒的。これまで見逃され、許容されてきた女性たちの輝かしい将来を奪うあらゆる性犯罪に切り込んだ、ポップでカラフルでスイートな見た目からは想像もできない作品です。
きっと誰もが「性犯罪には無関係だ」と思って生きていると思いますが、本作を観るとこれまでの価値観が揺さぶられるはずです。
パピチャ 未来へのランウェイ
女性が着たい服を着ることすら許されない国で、自由のために、未来では誰もが好きな服を着られるように……と戦った女性たちの姿を描いた真実の物語「パピチャ 未来へのランウェイ」は、本当に素晴らしい作品なのでぜひ観てほしいです。
本国アルジェリアでは、当局によって上映中止にされ、政府からの圧力で揉み消されそうになった作品です。アルジェリアという遠い国で実際にあった暗黒の10年は、日本に住む私たちにとっても、「決して他人事じゃないんだ」と、胸が締め付けられるような苦しさがありますが、女性弾圧の地獄から逃げず、必ず世界を変えてみせるという女性たちの決意は、これからの未来を創る10代のみなさんの心に突き刺さるはずです。
私ときどきレッサーパンダ
最高を更新し続けるピクサーの新境地! どんなわたしも好きになれる、最高の自己肯定映画『私ときどきレッサーパンダ』。母親の期待に応えて完璧な娘になるために、自分の本当の気持ちを我慢し続けている13歳の主人公・メイメイが、ある出来事をきっかけに感情が爆発するとレッサーパンダになってしまうという、奇想天外な物語。
思春期の心の変化や、親に言われた道ではなく、自分で選び取る人生の尊さ、そして、社会や親に期待される通りの完璧な人間でいなければならないという呪いからの解放を描く作品です。
きっとまわりの目を気にして、自分らしく生きられず、生きづらい毎日を送っている人は多いはず。でも、本作を観た後は、もっと自分のいろんな面を受け入れて、愛して、解放して生きていこうと思えるはず!
まとめ
ジャンルもテーマもまったく違う5作品をご紹介しましたが、どれも10代のときに出会いたかった、メッセージ性の強い作品ばかりです。映画やドラマを通して知らなかった世界に触れることで視野が広がり、あなたが自分自身の無限の可能性に気づくきっかけになると嬉しいです
DIZのプロフィール
映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter@DIZfilms Instagram@diz2049
Text:DIZ