「気になる10代名鑑」97人目は、江口凱城さん(17)。環境にもマッチョにも優しい「昆虫食」が、既存の食肉の替わりとして使われてほしいという想いのもと、商品開発に勤しんでいます。大学には進まず、「社長」としての人生を歩んでいく江口さんの思考を深掘りしてみました。
■江口凱城を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「佐賀県の高校に通っている高校3年生です。株式会社iFの代表取締役をしています。現在は『環境にもマッチョにも優しい新たな食を創造する』をミッションに、大学や自治体、ミシュランシェフなど、多くの方々に協力いただいて、コオロギを用いたコオロギミートソーススパゲッティの商品開発をしています」
フォロワーの皆さん!
お久しぶりです〜🙌本日は商品開発についてのご紹介😌
これらの写真を見て、「ゲッ!不味そう!」って思った方、多いんじゃないでしょうか(笑)
コオロギパウダーが何に合うか実験している様子です!
パスタにカレーに麻婆豆腐、色々挑戦しております💪 pic.twitter.com/dXoxUCgzm6— iF株式会社 (@iF_saga) January 23, 2022
Q2. 活動について詳しく教えてください。
「ミートソースのお肉をコオロギミートに代替することに力を入れてます。ミートソースって、コオロギの味と相性がいいんですよ!
いま生産されている家畜って、育てるときに多くの二酸化炭素を排出しています。でも、昆虫食はそれがほとんどなくて、環境にいいんです。そして、パスタはマッチョが筋肉を大きくするのに最適な食べ物。自社の昆虫食を浸透させながら、環境問題の解決に貢献していきたいと思ってます」
Q3. 活動を始めたきっかけは何ですか?
「中学2年生のころからずっと筋トレをしていたこともあって、筋トレをしている人向けのレシピアプリの開発をしようとしてたんです。そこに何か新しい要素も入れたいと思ったとき、環境にいい昆虫食を、マッチョに向けて提供したらどうかなって考えたのが、きっかけです」
Q4. どうやって活動を大きくさせたんですか?
「レシピアプリの開発をするために、プログラマー育成をしている団体に応募しようと、説明会に行ったんです。そのとき、佐賀県の起業家が集まるコミュニティの告知を見つけて。勇気を出して行ってみたら、そこで一気に人脈が広がったんです。その後も、『TORYUMON』や『MAKERS』など、コミュニティには積極的に参加しています」
Q5. 普段、どのような人と一緒にいますか?
「平日も休日も、サッカー部の練習があるので、部活の友達と一緒にいることが多いです。ときどき部活を休んで、起業家の方やVCの方、昆虫食企業の方などに会ってます。
家族といる時間も大事にしていて、両親にもとても応援してもらってます。あまり怒らない親で、何をやっても『すごい!』『天才!』と褒めてくれるのが、活力になっています」
Q6. 宝物を教えてください。
「中学時代に家のゴミ出しをしていたら、近所のおばあさんが台車に乗せてゴミ袋を運んでいて、大変そうだったので、そのゴミ袋を集積所に運んであげたんです。そうしたら、とても感謝されて、後日、手紙をいただいたんです。そのおばあさんはもう亡くなってしまったのですが、今でも大切に保存しています」
Q7. 幸せや生きがいを感じる瞬間はどんなとき?
「環境保全に貢献してるのを感じるときです。人間は生きているだけで環境に悪影響を及ぼすので、それを自覚したうえで生活するようにしてるんです。だからこそ、貢献しているように感じるときは、自己満足ではありますが、いい気分になります」
Q8. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?
「人間だけが得をする現在の社会構造を変えて、地球に優しい生き方を普及させたいです。食料に限っていうと、生産の過程で生じている問題に、もっと消費者が目を向けて、自らアクションを起こせるような社会になればいいなと思ってます」
Q9. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「昆虫食事業に加え、『エシカル消費が日本に根付く仕組みづくり』をメンバーと考えて、自治体と協力しながら、政府に政策提言しようと活動しています。
人に何かを教えるのも好き。いずれ大学の教員もやってみたいので、今後も昆虫食事業に限定せず、いろいろな活動していきたいです」
Q10. 同じ時代を生きる10代に、メッセージをお願いします。
「10代だと多くの制約があるし、学校だって忙しいと思いますが、10代特有の充実感ってある。大人になったときにいちばん戻りたいと思う時期かもしれません。自分のやりたいことに全力で向き合って、青春してほしいと思います。僕は勉強も含めて、何でも『これが青春だな!』って思うようにしています。……同じ10代が、偉そうに言っちゃいましたけど(笑)」
■江口凱城の今日のファッション
「服は多く持たない主義なので、だいたいこの格好で活動してることが多いです。環境に優しいallbirdsの靴を履いてるんですけど、最終的には『凱城=環境に優しい』と言われるように、ファッションからブランディングしていきたいです」
■江口凱城のSNS
★Twitter(個人)
目的と手段が入れ替わらない
我々は環境問題の解決策の1つとして昆虫食事業をしていて、その最初のアプローチとしてマッチョに商品を開発している。
だから、マッチョの商品開発に寄りすぎて、昆虫食で環境問題を解決することから脱線しないようにいつも注意している。
注意し続けないと迷子になる
— 江口凱城 (@iF__ceo) April 1, 2022
★Twitter(株式会社iF)
実は今…
九州大学様と共同で研究を進めています!!
アミノ酸分析のご協力を頂いています❗️
私たち社員も実験にご協力…
これからも元気よくいきますよ〜〜!
(社長の筋肉が…笑) pic.twitter.com/D2lZZ9DqCj— iF株式会社 (@iF_saga) March 9, 2022
Photo:Eri Miura
Text:Ayaka Shinada
Edit:Takeshi Koh