「気になる10代名鑑」の91人目は、山内ゆなさん(19)。2歳から18歳までを児童養護施設で過ごした経験をもとに、全国の児童養護施設に届ける、『JETBOOK作戦』を企画。さらに、自身で団体も立ち上げ、施設の本を贈る子どもたちに支援を行っています。そんな山内さんに、活動や大切にしていることについて聞いてみました。
■山内ゆなを知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「大阪の大学に通う大学2年生です。昨年、児童養護施設の子どもたちに『人生で出会った最高の一冊』を届ける『JETBOOK作戦』で、クラウドファンディングを通して、全国110の施設に約11000冊の本を届けました。
JETBOOK作戦に協力してくださった皆さん。
本当に本当にありがとうございました。5458人の方に協力していただき、3734万3千円も集まりました。
本当ありがとうございます。
JETBOOK作戦はこれからが本番です。
皆さんの想いを最高の形で子どもたちに届けます。
今後ともよろしくお願いします。 pic.twitter.com/RuQnuQTWw5— 山内ゆな📙JETBOOK作戦📙 (@Yuna_jetbook) May 31, 2021
いまも『一般社団法人 JETBOOK作戦』代表として、施設の子どもたちが情報を得る機会、外との繋がりを持つ機会をつくることや、多くの人に児童養護施設を正しく知ってもらうことを目的に活動しています」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「高校3年生のとき、同じ施設にいた小学5年生の女の子に『本が読みたいから、教科書を貸して』と言われたことがきっかけです。子どもたちの多くは、ケータイやスマホを持たないので、本や新聞から情報を得るけど、施設にある数は限られているし、本は古いものが多いんです。
『人生で出会った最高の一冊』には、子どもたちが外の世界やいろんな職業を知るきっかけになればと思い、紹介者の名前や職業、本に込めた想いを添えてもらいました」
Q3. 団体では具体的にどんなことをしていますか?
「施設の子どもたちを対象に、プログラミング教育や、社会に出て役立つ知識やマナーを教える、ソーシャルスキルトレーニングを行っています」
Q4. 児童養護施設とはどんなところ?
「わかりやすく言うと、長い修学旅行をしているような場所です。仲の良い子、よく知らない子、職員の大人と一緒に生活するから。集団生活なので、リーダーシップや協調性は身についたと思います。でも、ひとりで何かに夢中になれる時間は少なくて、特技や趣味のある子は少なかった。
児童養護施設というと、暗いところで、触れにくいようなイメージを持つ人が多くて。なので、施設で育ったことを隠す子もいます。だからこそ多くの人に、良い面も悪い面もちゃんと知ってほしいと思っています」
Q5. 活動するうえで大切にしていることは?
「『当事者目線』と『子ども目線』を常に心がけています。私自身が約16年間、児童養護施設で育ったからこそわかることがあるし、伝えられることがあると思っています。
また、子どもたちの身近なロールモデルになることも大切にしています。施設で育ったとしても、やりたいことは実現できるし、助けてくれる人はたくさんいることを知ってほしいです」
施設出てから一年が経った。
この一年は
「当たり前」が「当たり前」じゃ無くなって「新鮮」が「当たり前」に変わった一年だった。
悲しいことも、辛いことも、楽しいことも、面白いことも、人生で1番多い年だった。— 山内ゆな📙JETBOOK作戦📙 (@Yuna_jetbook) April 1, 2022
Q6. 趣味はありますか?
「本を読むことです。エッセイや詩集が好きで、最近では、キム・スヒョンさんの『私は私のままで生きることにした』や、『空が青いから白をえらんだのです ‐奈良少年刑務所詩集-』が心に残りました。本を読むと、それを書いた人の心情を感じられて、会話をしているような気分になるんです」
Q7. 幸せを感じる瞬間は?
「同じ施設で育った子たちが隣で笑ってくれているとき。今でもよく一緒にごはんを食べたり、電話で相談ごとをしたりします。なんでも話せる、大切な存在です」
Q8. 今後の目標は?
「『JETBOOK作戦』のやることがなくなること。いまは私たちの組織が、施設の子どもたちと支援の手をつなぐ活動をしていますが、団体を挟まずに、人と人とが直接繋がって、子どもたちを支援していけるようになれば、とても素敵だと思います」
Q9. 社会に「こうなってほしい」と思うことは?
「すべての子どもたちが『好き』や『やってみたい』を見つけ、挑戦できる社会になってほしい。そして、そのためのチャンスは平等であってほしいし、それをどう利用するかも選べるようになってほしいです」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「とりあえず前に突き進んでみることが大切だと思います! よく知らないからこそ、考えすぎず行動できると思うし、とりあえず話してみれば耳を傾けてくれる大人はいます。私自身、まずはやってみることを意識していて、失敗もあったけど、行動力がついたと思っています」
■山内ゆなの今日のファッション
「落ち着いていて、同時に若さとフレッシュさがあるような服を選んでいます。表情が明るく見えるようにも意識しています」
■山内ゆなのSNS
少し前
「ゆなちゃんは親がいなくていいね」と言われた。
この言葉に私はすごく違和感を感じている。
自分は親がいないことを良いと思ったことはない。でも、施設で育ったことを嫌だったとも思わない。親と暮らせないことは「良いことではない」と思う。でも「悪いことでもない」と思う。
— 山内ゆな📙JETBOOK作戦📙 (@Yuna_jetbook) March 4, 2022
【100万円突破しました!】
開始初日で支援金額が100万円突破しました。
みなさん本当にほんとにありがとうございます!クラファンは最初の勢いがものすごく大事と聞いています!
ご支援・拡散へのご協力よろしくお願いします! pic.twitter.com/AM4JKF0w8U— JETBOOK作戦📙 (@JETBOOK_) April 20, 2021
Photo : Eri Miura
Text : Daiki Ido
Edit : Takeshi Koh