「気になる10代名鑑」の50人目は、満葉さん(18)。地元。広島県福山市で、地域住民や自治体が運営する「こども食堂」の情報を、自身が発行する「こども食堂新聞」を通じて、わかりやすく、丁寧に発信しています。活動している取り組みや、地元と東京との違いに衝撃を受けた瞬間などについて、アレコレ答えてもらいました。
■満葉を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「広島県福山市の高校に通う3年生です。両親の離婚がきっかけで、父子家庭で育ちました。一時期は、ひとり暮らしをしていたこともあります。4月から、大学進学のために上京する予定で、もうすぐはじまる東京での生活に、ワクワク、ソワソワしているところです」
Q2. 普段はどんな活動をされているんですか?
「地元の地域住民や自治体が主体となって、無料や低価格で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場『こども食堂』の運営状況を知らせる、『こども食堂新聞』を発行したり、地域の商店街や町おこしに関する広報活動をしたりしています。
私自身、こども食堂に行ったことがあるのですが、こども食堂って場所によって運営スタイルや活動内容もばらばらで、食事だけじゃなく、学習支援しているところもあるんです。でも、そういう情報がホームページに更新されていないことがすごく多くて。何年間も更新が止まっているのもしょっちゅう。
来ている子は、離乳食を食べるような子から、高校生まで年齢もさまざまで。わたし自身、こども食堂に行くまでに『行ったときに、ちゃんと開いているのかな』『行っても大丈夫かな?』という心理的ハードルを抱えていたので、行く一歩を踏み出せないような子たちが気軽に利用できるように、新聞という形で情報発信をしています」
Q3. 活動するうえで大切にしていることはありますか?
「自分がワクワクするかどうかをいちばん大切にしています。完全に偏見だったんですが、以前は『大人は全員、お金で動いている』と思っていたんです。でも、そうじゃない大人と出会って、考えが180度変わりました。
その方は『この案件はワクワクしないと思ったから、断ったんだよね』って言っていて。その姿を見て、私もそんなふうに、ワクワクするかどうかで行動を起こせる人になりたいなと思うようになりました」
Makers U18でcampfireの家入さんから奨学金という形で、私が挑戦している「子ども食堂新聞」のプロジェクトをサポートしていただけることになりました!ありがとうございます。
精一杯もがき続けます✨#makers_u18 #子ども食堂 @hbkr pic.twitter.com/6LOxyAD5CI— みつは (@mitsuha_world) August 11, 2021
Q4. どんなことにワクワクを感じますか?
「人がワクワクしている様子を見ているのが、ワクワクするタイプです。子どもたちがおいしそうにごはんを食べていたり、商店街の発信をすることでお店のおじいちゃんやおばあちゃんが喜んでくれたり。そういうシーンが自分の力でつくり出せれば、すごく嬉しいです」
Q5. 普段はどんな友達と一緒にいることが多いですか?
「声楽を学ぶために都内の音楽大学に行く超パリピな友達と、頭が良くて超アゲアゲな友達がいます。いつもギャルっぽく『アゲ〜』とか使っているような子たちです(笑)。最近はコロナで学校に行けてないので、直接会えないことも多いですが、LINE電話をよくしています」
Q6. 最近新しく始めた挑戦はある?
「5年日記をつけ始めました。つらかった出来事とかは覚えているものもあるけど、わりと自分の日々の出来事をそんなに記憶していないタイプなので、ちゃんととどめておきたいなと思って。
今からちゃんと書いたら、書き終わるのは、順調にいったら大学卒業しているころ。『どんな自分になっているかな?』と想像しながら、やっています」
Q7. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?
「地方の中高生が夢を語れる場所が、近くに欲しい。私は『Makers Univeristy』という起業家・イノベーターのための学校に参加して、東京の中高生の子たちとの繋がりができたんです。『東京の子』って括るのは微妙なのかもしれないけど、同じ中高生でも、地域によって大きな違いを感じて……。
地方だと、挑戦したくても挑戦できない子がいるし、ちょっと活動しただけで、地方紙が取り上げてくれるから、良くも悪くも『意識高いね』『あの子はすごいね』っていう目で見られがちなんです。
だから、福山市でできるかどうかはわからないけど、いつかは地方の子たちがワクワクしながら、夢を語れるような場所を、自分の手でつくりたいです」
Q8. もうすぐ上京するとのことですが、東京に来てやりたいことはありますか?
「牛タンを食べる! 焼肉を食べる! 友達がすごくおいしいお店を知っているらしくて。仲よしの友達も一緒に上京するので、今から『どこ行く?』『何食べたい?』って、いつも話しています(笑)。考えているときがいちばん楽しいですよね」
Q9. 今後の目標は?
「大学に入って経営・教育・福祉を学び、より『子どもたちに寄り添える人』になりたいです。まわりにはすでに、団体や社団法人を立ち上げている子もいるし、いろいろな道があると思うんです。今の私は、教師や社会福祉士になりたいわけじゃないけど、子どもたちに寄り添える『なにか』になりたいと思っているので、その『なにか』を見つけられたらいいなと思っています」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「自分の心にある、ワクワクを大切にしましょう! それが、いつか輝くことを祈ってます。わたしも今、自分の中にあるワクワクをさまざまな色にできるように、頑張ります!」
■満葉の今日のファッション
「普段、広島では自転車族なんです。動きやすさ重視で制服以外は、だいたいパンツを選びがちで。だから今日は、私にしてはめずらしくワンピースです。後ろのリボンがお気に入りです」
■満葉のSNS
★note
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya
Edit:Takeshi Koh