「気になる10代名鑑」49人目は、成瀬凜さん(17)。女優やモデル業の傍ら、鏡に映る自分を撮るセルフポートレート作品を、SNSで発信しています。爪先から小物まで、パッと目を引く大胆な色づかいのファッションには、「常に人と違うことがしたい」という想いが込められているそう。そのように考える理由や、表現に対する想いまで、お話を伺いました。
■成瀬凜を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「女優・モデルとして活動しながら、鏡を使ったセルフポートレートをSNSで発信しています。去年の9月には、初めての個展『鏡の凜』を開催し、写真コンテストでもグランプリをいただきました。普段は美術系の高校に通って、デザインの勉強をしています」
Q2. セルフポートレートを始めたきっかけは?
「常に人と違うことがしたいという思いがあって。幼いときから、絵を描くことが好きだし、学校でもアートやデザインを勉強しているし、こういう創造力を、女優やモデル業に生かしたら、オリジナルのスタイルができるかもって思いました。
それでまず、カメラを始めてみたんです。普段は、写真を撮ってもらうことが多いからこそ、撮る側に回ってみたら、何か新しい表現が生まれるかなと思って。でも人を撮っていくうちに、『やっぱり自分も撮られたい』っていう欲求が生まれてきて……。
その欲求と葛藤した末、『じゃあ、自分で自分を撮ればいいじゃん』って思い至って、鏡を使ったセルフポートレートで、ありのままの自分を写し出す表現を思いついたんです」
Q3. 常に人と違うことがしたい理由や、そう思うようになったきっかけは?
「家族からの影響が大きいですね。画家の父と書道家の母、そして兄も美術系の学校に進んだので、表現することが当たり前の家庭で育ったんです。まったく同じものが存在しない『表現』に囲まれて育ったから、自分自身も唯一無二でありたいって思うのかも。
あとは、美術系の学校に入学したのも大きかったです。自分でも、絵がうまいほうだって思っていたんですけど、実際に入学してみたら、自分より上手な人がいっぱいいて。人が評価されているのを見て、正直嫉妬してしまったんです。
だったら、自分しかできないことをやれば勝ち負けもないし、比べられないじゃんって、人と違うことにこだわるようになりました」
Q4.日常の中で、どんなことをしているときが、いちばん楽しいですか?
「コーディネートを考えているときと、メイクをしているとき。服とメイクも、派手で個性的なものが好き! 例えば、青系の服を着るならメイクは補色になるオレンジ系にしたり、トップスと靴下の色をそろえたり、色づかいを大切にしています。
跳ね上げのアイラインは、大好きなブランド『Jouetie』のディレクターであるAMIAYAさんから影響を受けたもの。欠かせないこだわりポイントです」
Q5. まわりから浮くことは怖くないですか?
「中学生のとき、友達に『服が派手だから隣を歩きたくない』って言われたことがあったんです。それから、好きな服を着る勇気がなくなって、まわりと服装を合わせてた時期もありました。
でも今の高校に入学してからは、男の子がスカートを履いていたり、女の子が学ランを着ていたりと、とにかくみんな個性的で。だから私の個性も認めてくれるんです。今は派手な服装に抵抗はなくて、逆に周りに埋もれないよう個性を追求してます」
Q6. 普段はどんな友達と過ごすことが多いですか?
「高校では12人のグループで仲良くしています。服の系統や好きなものがまったく違う、個性的なメンバーです。カメラマンや漫画家、デザイナーなど、みんな別々の夢に向かって頑張っているので、助け合いながら学校生活を送っています」
Q7. あなたの「宝物」を教えてください。
「140色の色鉛筆です。小学生のとき、誕生日に両親からもらいました。この色鉛筆をもらった日、利き手の左手を骨折してしまったんです。でも絵を描くことが大好きだったから、無理やり右手で絵を描いていたことは、今となってはいい思い出です(笑)。カラフルなものが好きな私を象徴している気がして、今でも色を補充しながら、大切に使っています」
Q8. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?
「もっと自己表現がしやすい社会になってほしいです。私たちの身近なものでいえば、学校の校則。中学時代、フィリピンから来た転入生の子が、ピアスとメイクしていることを注意されていました。それを見たときに、校則によって、自分らしさを出せず、苦しむ人もいるんじゃないかってすごくモヤモヤしたんです。私の学校では、校則を見直すための取り組みを、生徒主体で行っています。そういう動きが増えて、社会全体が変わっていけばいいな」
Q9. 今後の展望を教えてください。
「女優として、演技にも真剣に向き合っていきたいです。自分とは対極にあるような役を演じて新しい自分を見つけたい! あと、高校を卒業したら、専門学校で大好きなファッションについて学ぼうと思っています。将来的には自分でデザインしたブランドや洋服なども手掛けていけたらなと思ってます」
Q10. 同じ時代を生きる10代に、メッセージをお願いします。
「自分らしさを発信して、どんどん仲間を増やしていってほしいです! 私はSNSを使って自己発信した結果、私の世界観を良いと思ってくれる人がリアクションをくれたり、個展に足を運んでくれたりして、人とのつながりを感じられました。
自信がなくても発信していけば、応援してくれる人や共感してくれる仲間が増えていくと思います!」
■成瀬凜の今日のファッション
「古着屋さんで見つけたカラフルなドットのワンピースに、色同士がぶつからないように、あえて淡い色のアイテムを合わせました。レトロ感のある古着でも、今っぽいアイテムや髪型と合わせて、自分らしく着こなすのがこだわりのポイントです」
■成瀬凜のSNS
Photo:Kana Tarumi
Text:Yui Kato