「気になる10代名鑑」34人目は、日本大学芸術学部に在学しながら、得意な造形と、大好きなスケートボードを組み合わせた作品を生み出している川久保慶太さん(19)。彼の創作活動へのルーツをさぐりながら、ストリートカルチャーへの熱い想いを語っていただきました。
■川久保慶太 を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「東京都杉並区出身の19歳です。日大芸術学部の彫刻専攻に通っています。スケボーが好きなので、スケボーと造形を組み合わせた作品を作ってます」
Q2. 芸術学部に進んだきっかけは?
「高校が日大の系列校で、進路を考えたときに、大学に芸術学部があるのを知って、彫刻専攻を選んだという感じです。小さいときから、手を動かして、何かをつくるのが好きだったんですよね。授業中にも、ねり消しとかセロハンテープで、いつも何かしら作ってたんです。大学には写真や映画を専攻してる友達もいて、いろんな感性の人と繋がれるのが面白いです」
Q3. 作品作りで大切にしてることはありますか?
「これが完成したらめっちゃオモロそう!っていう自信が強くあるときに、作るようにしてます。あと、まわりと比べないこと。みんなそれぞれいいものを持っているはずだから、比べる必要なんてないかなって。そうすると、気持ちがマイナスになることもあんまりないんです。まぁ、作品を作っているときに、材料をミスして、ボロボロにしちゃったときは萎えましたけど(笑)」
Q4. スケートボードを始めたきっかけを教えてください。
「高2の終わりにハマりました。地元の友達が『クルーザー』っていう街乗り用のスケボーを持っていて、ずっとそれで遊んでたんです。その流れで、せっかくだからいいヤツを買おうよってなって、どっぷりハマりました。あと、初めてスケボーを買った店の店長が、初心者の僕らにすごく優しくしてくれたんです。それがすごく嬉しくて、スケボーが好きになりました。
それまでは兄の影響でずっと剣道をやっていて、高校もスポーツクラスだったんです。剣道は嫌いじゃなかったけど、けっこう厳しい環境だったので、縛られているような感じで、楽しめていなかった。スケボーを始めて、呪縛から解けたように自由な世界に行けて、めちゃくちゃ興奮しました(笑)」
Q5. 日本におけるストリートカルチャーの位置づけについて、どう思いますか?
「スケーターって、みんなピースで熱い気持ちを持ってる人が多いんです。それをもっと分かってほしいっていう想いはあります。東京オリンピックの影響で、スケボーへの考え方がフラットになった国が多いけど、日本はまだまだ変わっていないなって思う。
スケーターへの理解も薄いし、スケボーはうるさいっていう決めつけだけで、スケーター全体が判断されてしまう。そんなの悲しいですよね。スケボーっていうカルチャーが、もっと浸透していってほしいなと思います」
Q6. 社会がこう変わればいいと思うことはありますか?
「それこそ、スケボーに対してもそうですけど、否定から入る考え方は変わってほしいです」
Q7. 生きるうえで大切にしてることは?
「人を理解することは大切にしてます。だからこそ、めちゃくちゃ深く仲良くなれる人もいれば、そうじゃない人もいる。でも別にそれが悪いことじゃなくて、それぞれにリスペクトがあるので、理解することでより自分に近いバイブスを持った人と繋がれたらいいなって感じです」
Q8. 今後の展望は?
「創作活動とスケボー、このふたつを繋げて、さらに新しい何かができたらいいなって思ってます。
数年後の自分がどうなってるか、まったく想像がつかないんです。一年前の自分は、まさか映像クリエイターのBUGGYE.さんとコラボしてイベントができるなんて思ってもいなかったし、毎日想像してないことの繰り返しで、実感があまりないまま過ぎていく。でもそれが自分には充実してて、どうなってるかが想像つかないぶん、めっちゃ楽しみです」
Q9. 憧れの人はいますか?
「地元の友達の仲本裕太です。スケボーも音楽も、いろんな面で、コイツから影響を受けました。大学に進学する年に、カナダに旅立ったんですけど、帰ってくるときまでに何か作っておこうと思って頑張れたっていうのがあって。今ちょうど、成人式のために帰国していて、今日もさっきまで一緒にいました(笑)」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「感謝の気持ちを忘れないことですかね。たまたま自分が創作活動ができて、それがたまたまスケボーとつながって、今こうして過ごせている。これって、ただラッキーなだけ。自分を過信しすぎないというか、自分が自由にやりたいことをやれているのは、家族もそうだし、周りの人の支えがあるからっていうのは心に留めています」
■川久保慶太の今日のファッション
「靴はVANSで、スケーターの座間翔吾さんのモデルのものなんです。成人式のために新調しました。キーホルダーは、スニーカーのダンクへのオマージュで、自分で作りました」
■川久保慶太のSNS
Photo:Eri Miura
Text:Sayuri Otobe
Edit:Takeshi Koh