「気になる10代名鑑」の28人目は、車世栄さん（17）。「今日のファッションのポイントは『勘違い、挑戦、革新』です」と語るお気に入りの服を纏って、朝早くから取材に来てくれました。「最強になりたい」と話す17歳が夢中になっているのは、政治。まだ選挙権をもっていないけど、政治に関わろうとする理由や、これから挑戦してみたいことについて伺いました。
■車世栄を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「東京都出身。母が韓国人なこともあって、たまに『見た目がK-POPアイドルっぽい』と言われます（笑）。今はN高校に通いながら、政治系のITベンチャー企業で働いています。好きなことはファッションと、休みの日においしいものを食べることです」
Q2. 今日のファッションのポイントは？
「アイテムや色に意味を持たせていて、今日のファッションには『勘違い、挑戦、革新』という意味を込めています。
『勘違い』はBURBERYのスウェット。僕にとってBURBERYは、お気に入りのブランドのひとつ。創業者のトーマス・バーバリーがお店を出したのが21歳のときで、それだけでもすごいのに、本人は『自分は服の啓蒙家なんだ』というぶっ飛んだ解釈をしていて、『勘違い』して服作りをしていたそう。でもその後、革新的な素材を生み出して、軍服に採用されるなど、世界的なブランドになっていった。そんな、ひとりの青年の『勘違い』からはじまったストーリーが好きなんです。
それと、バッグやシューズで取り入れている水色もポイント。水色って誠実とかさわやかなイメージを連想させますが、一方で現実逃避、わがまま、といった意味もあって。現実離れした考えを実現するためにも挑戦する、という思いも込めています。そういった意味で、僕らしい色だなって思っているので、取り入れてみました」」
Q3. 現在取り組んでいる仕事について教えてください。
「政治系ITベンチャーでの主な仕事は、政治家向けの新規事業やカンファレンス事業です。社内には高校生、大学生、社会人…さまざまな人がいて、年齢にとらわれずに仕事ができる社風が魅力です。
これまで、都議会議員の学生スタッフや、若者の政治参画や、学校の主権者教育の出前授業を行う活動など、いろいろなことをやってきました。やっぱり興味のある『政治』の仕事がしたいと思って、今に至ります」
Q4. 仕事を始めたきっかけは？
「学校に行くよりも、仕事のほうが楽しいって思ったんです。中学受験を経て、中高一貫校に進学したんですが、途中で学校に行けなくなってしまって。原因は、朝起きるのがニガテだったから。未だに得意ではないんですが（笑）。それに、部活動で体力的に辛かったり、通学の満員電車がしんどかったり…いろいろなことが重なって、学校に行くのを辞めて、転校しました。
それから、かつて生徒として通っていた塾で仕事をしたり、議員事務所のスタッフとして転がり込んだりしていました」
Q5. 仕事で得たお金は何に使っていますか？
「大体、ファッションと食事に使っています。食事の制限が厳しいとされるユダヤ教の考えの中に、『おいしいものを長く食べ続ける』というような考えがあって、なんとなくそれに影響を受けています。教徒っていうわけではないんですが。
特に好きなのはお寿司。よく都内のお鮨屋さんを開拓しています。魚も好きですが、最近は焼肉（特にユッケ）が気になっています」
Q6. 『政治にかかわる仕事をしたい』と思ったのはなぜ？
「理由はいくつかあって、ひとつは僕のバックグラウンドが影響しています。母の地元は、韓国の中でもすごく政治が活発な地域で。大通りの近くで、しょっちゅうデモが行われていました。僕自身、韓国に住んでいたわけではないのですが、訪れるたびに人々が何かを必死に訴える光景をよく目にしていました。
たぶんそういう幼少期も影響して、政治への興味が自然と湧いていって。実際に議員さんに会いに行ってみて話したり、選挙を見てみたり。僕は政治を手段に、社会って変えていけるんじゃないかなと思っているんです」
Q7. これからどんな社会になってほしいと思う？
「その人がどんなふうに生きてきたのかが、肩書きや所属といった部分以外のところにも可視化される社会になってほしいなと思います」
Q8. 憧れの人はいる？
「憧れは、Rolandさん。Rolandさんの、仕事を通じて長期的にも短期的にも『人を幸せにしよう』っていう姿勢に感銘を受けました。いつか僕も困った人たちに手を差し伸べられるような人になりたいと思っています。それに、あんなゴージャスな暮らしをしてみたいですね」
Q9. 今後の展望や挑戦してみたいことは？
「2022年の目標は、仕事を頑張ること。政治的には大きな選挙がある一年なので、1週間ぐらいは狂ったように働きたいです。将来的には、僕自身が楽しいと思える社会を創るのが目標。そして、最強になりたい。学校の成績があまりよくなかった僕でもここまでできる、むしろ僕だからできたっていう結果を出せたらいいなと思っています」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「学校の勉強は大事だけど、教室の学びだけがすべてじゃないと思っています。だから、本当にやりたいことがあるなら、学校や受験、親…を言い訳にしないで、自分の好きなことを極めてみてもいいんじゃないでしょうか。
僕はありがたいことに『そんなに頑張っていてすごいね』と言われることが多いのですが、もっともっと頑張りたいというのが本音。同世代でもっとすごいことしている人はたくさんいる。そんな人たちから刺激を受けて、最強に近づけるように頑張ります！」
■車世栄の今日のファッション
「洋服は店員さんに選んでもらいながら、買うことが多いです。わりと、どこでもひとりで行けるタイプなので、買い物もひとりでお店に行って買います」
■車世栄のSNS
Photo：Eri Miura
Text：Ayuka Moriya
Edit：Takeshi Koh
