「気になる10代名鑑」の26人目は、高校1年生の福代美乃里さん（16）。昨年11月に行われた「COP26」（温暖化対策の国際ルールを話し合う大規模な国際会議）に、日本の若者代表として参加しました。福代さんの活動をはじめたきっかけや悩み、大事にしている価値観に迫ります。
■福代美乃里を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「東京都出身、都立高校に通う16歳です。高校では陸上部に所属していて、学外では主に『やさしいせいふく』という、サステナブルな洋服づくりに取り組む団体で活動をしています。気候変動にも関心があって、『FridaysForFutureJapan』という活動もしています」
Q2. それぞれ具体的に、どんな活動をしているんですか？
「陸上部では800m、1500mが専門です。お姉ちゃんが陸上部だったこともあって、中3からはじめました。駅伝も走ってます。週5で練習があるので、平日は走る生活です。
『やさしいせいふく』は中高生メンバーが中心となって、身近な制服をきっかけに、社会課題を解決するアクションができないか？という想いから発足した団体です。ファッション業界に詳しい大人の方がサポーターとして入りながら、中高生目線で、大量生産や大量消費、児童労働といった社会問題の存在を広めることが、活動の軸になっています」
Q3. 学校に部活動に課外活動…と、両立させるのは大変？
「私、『やってみたい』と思ったら、とりあえずはじめちゃう性格なんです。思ったら即行動。だから忙しくなりがちで…（笑）。とはいえ、中途半端で終わることもあるので、そこは最近の悩みです」
Q4. 社会課題に対するアクションを始めたきっかけを教えてください。
「中学校の先生の影響が大きいです。中1のとき、総合の授業で『SDGs』が取り上げられていたんです。一方的に知識を教わるだけではなく、生徒同士で、17あるSDGsの社会課題のテーマのひとつを選んで、その解決策を考えたり、有志の生徒たちでフィールドワークに行ったりするような、とっても楽しい授業でした。
初めのうちは、単純にフィールドワークに行くのが『楽しい！』と思っていたのですが、話を聞いたり、調べたりするうちに『あれ？このままで大丈夫なのかな？』と危機感を持つようになりました」
Q5. 活動する中で、これまで大変だったことは？
「『やさしいせいふく』で代替わりがあって、今は私がリーダーをやっているのですが、人を動かすことの難しさを感じますし、今も悩んでいます。活動は基本的にオンラインで、10～15人ぐらいメンバーはいますが、それぞれ学校や部活動などにも取り組んでいるので、コミットの量に差が生じます。
私はただ『やりたい！』という想いから、リーダーになったんですが、正直なところ、リーダーには向いてないかも…？と思うこともしょっちゅう。
すぐに行動に移せるのは強みなのかもしれないけど、それって手足をただ闇雲に動かしているだけで、戦略的になれていないんじゃないかな、とたまに思います。危機感だけでは、なかなか人を動かせないんですよね」
Q6. 気分転換するためにしていることや、趣味を教えてください。
「外に出て、知らないところに行くのが大好き。長距離をやっているので、『散歩』というよりは、走って行きます。30分あればあそこまでいけるな、みたいな感覚です」
Q7. 生きるうえでのポリシーはなんですか？
「『寝て忘れて、明日リセット』です。嫌なこともいいことも、寝たらすぐに忘れられる性格なんですよ。また違う考えがいろいろと出てくるんです。自分自身でも、おもしろく生きられているんじゃないかなぁと思います」
Q8.これから、どんな社会になってほしいと思いますか？
「『多くの人が、自分の見える世界の裏のことも考えて行動する社会』になったら、人も環境も、幸せに生きられるようになるのかなぁと思います。いつもそうするべきとは言わないけど、自分たちが楽しんでいる裏には、何かがあるのかも？っていう視点を持って考えてみてほしいです」
Q9. 今後の展望は？
「これまでは知れば知るほど社会課題が多すぎて、ひとつに絞り切れなくて、『気候変動』と『消費問題』の活動をしてきました。一見バラバラに見えますが、つくりたい未来はどちらも同じ。
でも今後は、自分が本当に取り組みたい活動をしっかり決めて、ひとつの活動を戦略的に、効果的に行いたいです。『服から社会問題を広める』というような、ひとつの軸を決めて取り組んでいきたいと思っています。
服を題材に、中高生にとって自分たちの活動が身近なものに感じてもらえるような発信活動やファッションショー、雑誌をつくる…とかもいつかやってみたいですね」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「話すのが苦手じゃないなら、いろんな人といっぱい話したほうがいいと思います。私、元々は人見知りだったんです。話すのが好きじゃなかったけど、話す機会が増えていくうちに少しずつ変わったし、自分でも『私、変わったなぁ』って思うんです。未だに親からは『話すのが下手』と言われてるけど（笑）。
人と話すことで、全然違う自分にも出会えるし、新しいことを得られる。私自身、小さな悩みから大きな悩みまで、悩みまくる日々ですが、いろんな人と繋がりながら、10代以降も未来をみんなで楽しむことができる社会を作っていきたいです！」
■福代美乃里の今日のファッション
「ファッションを軸にした活動をしているんですが、私自身、それほどおしゃれに関心があるほうではなくて。買い物をするときは、やっぱり古着が多くなります。今日のポイントは、デニム×デニムにしたところ。所属する『やさしいせいふく』オリジナルのTシャツは、オーガニックコットンで、着心地も抜群です」
■福代美乃里のSNS
Photo：Eri Miura
Text：Ayuka Moriya
Edit：Takeshi Koh
