Teen's Snapshots

大学生・DJ・巫女。目を背けがちな「死」をテーマに活動する理由【中澤希公・19歳】

大学生・DJ・巫女。目を背けがちな「死」をテーマに活動する理由【中澤希公・19歳】

「気になる10代名鑑」6人目は、中澤希公きくさん(19)。自身のキャッチコピーを「あの世とこの世の境界線に立つ女子大生」と命名し、『死』をテーマにした活動を続けています。そんな彼女のアクションの理由とは? 活動を始めたきっかけや、いま取り組んでいること、これからについて伺いました。

■中澤希公を知る10の質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「普段は、慶應義塾大学の環境情報学部で、建築デザインや心理学について勉強しています。ほかには、日本で初めて神前結婚式を行った東京大神宮で巫女をやったり、友達とユニットを組んでDJをしています。

それから、ライフワークとして、『死』との接点を持てる作品制作や、イベントの企画運営をしています」

Q2. ステキな名前ですが、その由来は?

「『いろんな人たちに、希望を届けられるような人になるように』っていう意味が込められているそうです。みんなから良い名前だねって言ってもらえるし、とても気に入っています。名前は親からもらったプレゼントだし、自分の人生の軸になるものだと思うんです」

Q3. とても気になる『あの世とこの世の境界線に立つ女子大生』というキャッチコピー。具体的には何をしているんですか?

「私は、ママを中3のときに亡くしているんです。ママっ子だったから、当時はすごく悲しかったけど、もっと悲しみに寄り添える環境を作りたいなと思って、ホスピタルアート※1やグリーフケア※2に関する活動をはじめました。

イベントもいろいろ企画していて、今年の父の日には『死んだ父の日展』という企画をやったり、先日は渋谷で『棺桶写真館』という、棺桶に入る体験ができるイベントを運営したりしました」

※1 アートの力をもって、病院などの医療環境をより快適な癒しの空間とする試み。

※2 遺族の複雑で深刻な心の状態を理解して寄り添うことで回復のサポートをする取り組み。

第2回棺桶写真館 終了しました!|株式会社むじょう
こんにちは!むじょうでインターンをしている中澤希公です! 2021年10月29日-31日に渋谷100BANCHの2階で「…
https://note.com/mujo_info/n/n4878dd67a977

Q4. 普段はどんな友達と、何をして過ごすことが多いですか?

「高校のときから、ずっーと仲良しの友達がいて。高校が渋谷に近かったので、よく渋谷あたりでショッピングしたり、あとは観察力を養うために、個展や美術館に行ったりしています」

Q5. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?

「最近、DJ活動を始めたんです。『Cookie & Sunny』というユニットを組んでやっています。でも、もともと音痴だし、音楽は大の苦手だったんです。

学校でデザインの勉強をしていて、目に見えるデザインは興味もあるし理解できるんだけど、目に見えない『音のデザイン』って難しいなぁと思って。『苦手なものを、どうやって自分の中に取り入れられるんだろう』って考えたときに、『やってみるしかない』って思って、それでDJをやってみることにしたんです。

クラブでライブをやることもあります。本当にいろいろな曲をかけるんですけど、この前は『それいけ!アンパンマン』のオープニング曲『アンパンマンのマーチ』を流しました。あの曲って、実は生き方を問い直している曲なんですよね」

Q6. 幸せや生きがいを感じる瞬間はどんなときですか?

大切な人と一緒にいるときかな。友達でも、家族でも、自分の好きな人と一緒にいられる時間って、すごい幸せだなぁって思います。いつ別れがあるかなんて誰にもわからないから、目の前の人を大切にするようにしています」

Q7. 大切にしているものや宝物はありますか?

「ママが残してくれた手紙は宝物。いつもきっと私のことを見守ってくれていると思うし、私もママをどこかに感じていたいんです」

Q8. これからの社会が、どんな社会になってほしいと思いますか?

「誰にでも訪れる『死』を意識して、生きていける人が増えるといいなと思っているんです。人間、いつかは死んでしまうけど、死ぬことだけが別れじゃないし。引っ越ししたり、学校を卒業したり、あとはケンカをしたりしても、別れは訪れる。だから、そういうことも全部含めて、別れを意識することで、一緒にいるときにしっかり向き合える。そんな社会になってほしいです」

Q9. 今後やってみたいことや将来の夢は?

絶賛、探し中。将来どうしようかなって、日々考えています。やりたいことはいろいろあります。具体的ではないけど、デザインとか、建築物を見るのが好きだから、いつかは見る人に感動を与えられるようなものをつくれる人になりたい。

あ、でもやっぱり、将来的にはママみたいな女性になって、あったかい家庭をつくりたい。あと絶対子どもには、ママって呼ばれたい!

Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。

いろんな場所に行って、いろんなものを見ておくと良いよ!って伝えたいです。考え方も、見える世界も広がると思うし、その中で自分がどんな考えを持っているのかがハッキリ見えてくると思う」

■中澤希公の今日のファッション

コート/Maison Margiela

「グリーンは大好きな色なんです。今日は、お気に入りのマルジェラのコートを主役にするために、他は黒でシックにまとめました。大学生になって身長が伸びたので、ママが着ていた服を着ることもあります」

■中澤希公のSNS

★Instagram

Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya
Edit:Takeshi Koh

SNS Share

Twitter

Facebook

LINE

Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

View More