「気になる10代名鑑」4人目は、カジタヒカルさん(19)。美大でデザインやものづくりを学ぶ傍ら、「写る人」として撮影活動にも取り組んでいます。アンニュイな雰囲気がとっても魅力的な彼女に、仕事や学校のこと、また、これからのはなしを聞いてみました。
■カジタヒカルを知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「島根県生まれ、19歳。この春、大学進学を機に上京して、今は武蔵野美術大学でプロダクトデザインを学んでいます。幼少期から母と手芸をしていて、今思えば幼いころからものづくりに興味があったのかも。あとは、『写る人』として、撮影のお仕事などもやっています」
Q2. 「写る人」というのは、モデル活動とは違うのですか?
「あまり『モデル』っていう自覚がないんですよね。だからプロフィールにも、『モデル』とは書いてないんです。かといって、『被写体』と言ってもいまいちピンとこないから、『写る人』と言うことにしています。
撮影もそうですが、創作活動では、独りよがりになり過ぎないことと、受け取り手のことを常に念頭に置くようにしています」
Q3. 撮影の活動を始めたきっかけは?
「高2の冬、写真が趣味の友達の撮影に付き合ったのがきっかけ。その写真をSNSに投稿していくうちに、撮影の機会が自然と増えていきました。撮られることへの抵抗感、羞恥心とかはもともとなくて、気づいたら、自分の中でいちばん続いている活動になっていました」
Q4. 普段はどんな友達と過ごすことが多いですか??
「撮影の活動を通して、知り合った友達といることが多いです。普段の生活では23区外にいるので、撮影終わりに渋谷や原宿に立ち寄りますね。人が多いところは情報も多くて刺激的で好きです。
でも高校生のころは、不登校の時期があって。学校では、頭が良い子ばかりが褒められるから、無条件に愛してもらえない。そんな環境が苦しかった時期もありました」
Q5. 最近、新しく始めた挑戦はある?
「社会学の勉強を始めました。通っているのは美大ですが、デザイン系の授業以外にも、社会学系の科目がひらかれているので、いくつか履修しています。
特に、ジェンダー論が面白い。LGBTQIA+とか、男女の在り方の背景や歴史を知ることで、なんだか世界の解像度が上がる気がするんです」
Q6. 幸せや生きがいを感じる瞬間はどんなときですか?
「日記を書いているとき。書き溜めたページの厚さとかが、人生の中で起こった『幸せ』が蓄積されていくような気がして。日記には、その日にあった良いことや幸せなことだけを記します。思い出とか記憶って、思っているよりもすぐに忘れちゃうなって感じて、上京してから始めました」
Q7. 大切にしているものや宝物はありますか?
「宝物は、父が買ってくれたぬいぐるみ。父は私が中学3年生のときに亡くなってしまっていて、もう父との思い出が『形ある物』として増えることはないから、本当に大切にしています。これからも大切にしていきたいです」
Q8. これからどんな社会を見てみたいですか?
「もっと、他人に寛容な社会を見てみたいです。わざわざ傷つけ合う必要はないんじゃないかなと思っています」
Q9. 今後の展望は?
「『写る人』としての活動をこれからも継けていくことを視野に入れつつ、今後はクリエイター的な発信を、もっとしていきたいです。憧れは山本奈衣瑠さん。モデルであり、編集者でもある山本さんの記事を見たとき、『この人が私のロールモデルだ!』って思ったんです。
大学で学んでいるプロダクトデザインやテキスタイル…いろんなことに興味があるので、表現や活動をしながら、幅を広げていけたらいいなぁと思います」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「学校とか家庭とか、何処かしらの環境で息苦しさを感じたり、どうしようもなく死にたい夜が訪れたり、名前の付けられない、理由の分からない孤独が襲ったり…。そういう痛みを人知れず抱えながら生きてる人って、実は多い気がします。みんなあんまり言わないだけで。今あなたが抱えているその痛みは、いつか誰かを理解するためにあるのかも。
弱さを知る人は優しさを持ってるし、優しさを持つ人は、きっととても豊かで幸せになれるよ」
■カジタヒカルの今日のファッション
「最近、ワントーンのコーデにハマっていて、今日は白基調でまとめました。オーバーサイズな感じのニットがお気に入り。首に下げている携帯電話は、『平成初期のカルチャーが好きなヒカルっぽい』って、友達がくれたプレゼント。もちろん使えないのですが、アクセサリーとして愛用しています」
■カジタヒカルのSNS
Photo:Eri MiuraText:Ayuka MoriyaEdit:Takeshi Koh