「気になる10代名鑑」3人目は、HyoriMadeさん(18)。自身では『肩書はないです』と話しながらも、アパレル、イベント企画・運営、グラフィックデザイン…と、その活動は多岐にわたります。イベントを開催すれば、キャパ600人の大バコを満員にさせ、Instagramでは1.5万人以上のフォロワーを持つ。だけど、人と話すのは超ニガテ…。そんなミステリアスすぎるマルチクリエイターのルーツに迫ります。
■HyoriMadeを知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「18歳、生まれはロシア。だけど本当に生まれただけで、育ちはずっと日本です。今はフリーでいろいろやっています。肩書き…は、特にないですね。1年ぐらい前からはHIP-HOPイベントの企画・運営、あとアパレルとかやっています。ちなみにHyoriMadeっていう名前は、海外の人に、SNSアカウントが乗っ取られたときにつけられたもの。アカウントは取り返せたんですが、名前は『別にいいや』って思って、そのまま使っています」
Q2. HIP-HOPのイベントというのは、具体的にどんなことをやっているんですか?
「同世代向けのHIP-HOPイベントを企画して、運営までやっています。出演者との連絡、お客さんへのチケット配送、フライヤー制作も全部、僕。当日までほぼ一人ですね。もちろんクラブを貸してくれるスタッフさんが当日の進行などサポートはしてくれますが。イベントの中身を考えるとき、テーマパークの心理学などを勉強して取り入れたりしています」
Q3. そもそもイベントを主催するようになったきっかけは?
「活動している中で、他の人が主催しているイベントで出演者へのギャランティの未払いや10代には不可能なノルマがあることなどを知ってしまいました。『それは違うでしょ』って思ったし、なによりオーガナイザーとして『ダサい』って思ったんです。だったら自分がやろうって。
初めてHIP-HOPのイベントを主催したのは2020年の3月、まさにコロナ禍の真っ只中。イベントをやることに対して、懸念がなかったといえば嘘になりますが、国も不安定だし、学校に行っても何もない。このまま何もない毎日が続くのは、1コ下やその下の子たちが可哀想すぎるし、内状がヤバいイベントが”東京”を象徴するものになってはいけないと思って始めました」
Q4. そのモチベーションはどこから来ているんでしょうか?
「やっぱりイベントにお客さんに来てもらえるのが嬉しいから。友達がDMで『行きます!』って言ってくれるだけでも嬉しいんですけど、100人にひとりぐらい、僕がイベントに込めた想いやクリエイションの細部に気づいてくれる子がいる。これは本当に稀なことなんだけど、めちゃくちゃ嬉しい。
とはいえ、1回目のときは定員600に対して、当日まで前売りチケットが160枚ぐらいしか売れなくて、マジでピンチで。それは奇跡が起きて乗り切ったのですが、2回目をやるときには図書館に行って、経営など、いろいろなことを勉強して、事前準備にかける時間を倍にしました」
Q5. 普段はどんな友達と過ごすことが多いですか?
「あまり家から出ないので、地元の友達ですかね。あとは同じHIP-HOP界隈の友達ともたまに遊びます。もともとHIP-HOPを聞くようになった理由が、学校で喧嘩した友達が聴いていたから。喧嘩すると相手のことを余計気になってしまうじゃないですか。それで、試しに聴いてみたらカッコよかったんです。その喧嘩した友達のうちのひとりは、今は曲とか作っていて、凄く応援しています」
Q6. 趣味やハマっているものを教えてください。
「サブカルとか、歴史を漁るのが好き。過去の戦争の歴史とか、大きな災害とか、事実として知っていることを、深く潜って調べていくのが好きなんです。そういった歴史にインスパイアされた芸術作品も好き。最近は神社とか、日本のお祭りの文化にも興味があります」
Q7. 生きるうえでのポリシーは?
「『やられたことは5倍で返す』。こう言うと攻撃的に聞こえるかもしれませんが、決してマイナスの意味だけではなくて、自分がされて嬉しかったことや感謝の気持ちも5倍で返すようにもしています。あとは、1を見て5を想像することも」
Q8. 幸せを感じるのはどんなとき?
「憧れの人に会えたときですかね。例えば、Young CocoさんやVerdyさん。1日の終わりに電気を消して、真っ暗になった部屋でお香を焚いて、フランク・オーシャンを聞いて寝るときも幸せを感じます」
Q9. 今後の展望は?
「今はイベントの運営や企画が活動のメインなんですが、アパレルの部分をもっともっとやっていきたいなって思っています。いずれは裏原(※裏原宿と呼ばれるエリアおよびカルチャー)と絡めてなんかやりたいです」
Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。
「受け身になるなって伝えたいです。あとはやっぱり1を見て5を想像することを心がけてほしいです」
■HyoriMadeの今日のファッション
「大体いつもHIP-HOPテイストのファッションをすることが多いです。キャップはオリジナルで、スバル・インプレッサのロゴをオマージュしたもの。日本産で、小さいボディでもWRCで47回優勝した功績に、日本人として誇りと憧れを抱いています」
■HyoriMadeのSNS
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya
Edit:Takeshi koh