
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日本銀行による政策金利の調整とその影響についてご紹介します。
多くの人が注目する「日銀の利上げ」
いま、日本銀行の政策金利の動向に大きな注目が集まっています。日銀は10月29日と30日に金融政策決定会合を開催。その中で政策金利の方向性についても話し合う予定です。一部報道によれば、金利は現状の1.25%のまま維持される見込みだといいます。
今回、「Steenz Breaking News」で取り上げるのは、この「政策金利の引き上げ」についてです。日銀の決定がわたしたちの暮らしにどのような影響を与えうるのかを、考えていきたいと思います。
しかし、ここまで読んでみて、「耳慣れない言葉が続いたな」と感じた人もいるかもしれません。そこでまずは、ニュースをより深く理解できるよう、用語をひとつひとつ解説していきたいと思います。
日銀は「日本のお金の番人」
はじめに、日本銀行の役割を見ていきましょう。日銀は日本の中央銀行です。
中央銀行とは、その国の金融システムの核をなす機関のこと。わたしたちが日頃目にする一般的な銀行とは役割が大きく異なっており、その主な機能は大きく3つあります。ひとつ目が、お札を発行し、流通させ、管理すること。ふたつ目が、民間の金融機関に対して資金を貸し出したり、預金を預かったりする「銀行の銀行」の役割を果たすこと。3つ目が、政府預金の出納・計理や付随する事務手続きなどを担い、国の資金を管理すること。
日銀はいわば日本のお金の番人であり、景気の乱高下で国民生活に混乱を生じさせることがないよう、物価の安定を目的とした金融政策を手がけているのです。
【7月金融政策決定会合の結果】
日本銀行は、本日、金融政策決定会合を開催し、「当面の金融政策運営について」を公表しました。
https://t.co/aB7cpBTjDf https://t.co/JINihEZhBc— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) July 31, 2026
政策金利とは
金融政策は、日銀のトップである日銀総裁らが出席する「金融政策決定会合」で検討され、方向性が決まります。金融政策のひとつに「政策金利」があり、日銀はこれを決定することで金融市場に出回るお金の量を調整し、国内の経済状況に刺激を与えています。つまり、日銀は「銀行の銀行」の役割を担っていることを活かし、民間の金融機関が日銀に預けるお金にかける金利を調節することで、世の中に出回るお金の量を増やしたり、減らしたりしているのです。

政策金利について、具体例を挙げましょう。日本は2016年から2024年3月まで、1990年代のバブル崩壊後から続くデフレ(物価が下がり、景気が停滞すること)から脱却することを目指し、「マイナス金利政策」をおこなっていました。
マイナス金利政策では、民間の金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナスの金利がかけられます。金融機関が日銀にお金を預けると、金融機関側が日銀に対して利息を払わなければならなくなるため、低い金利でもお金を貸そうとします。こうした動きを通じて、世の中全体の金利は低下。個人や企業がお金を借りやすくなることで、企業の設備投資や個人の住宅購入など大きな買い物が促され、景気に刺激を与える効果が期待されるのです。
政策金利は、今年の9月に1.25%へと引き上げられています。2026年6月の金融政策決定会合で1%に引き上げられてから3カ月ぶりの利上げとなった上に、政策金利が1.25%となるのは1995年以来31年ぶりのことで、大きな話題となりました。
なぜ利上げをするのか
日銀はなぜ、9月に利上げをおこなったのでしょうか。9月の金融政策決定会合の後に公開された『金融政策決定会合における主な意見(2026 年 9月17、18日開催分)』によると、「物価上昇率が目標としていた2%に近づいている中、世の中にはまだお金が多めに出回っている状況である」という判断や「物価が目標よりも上振れしていくことを避けたい」という意図、「日銀は物価上振れを防ぐ意志があることを為替市場に伝えたい」という考え方が利上げ判断の背景にあったことが読み取れます。
つまり、日本は長引くデフレから脱却して景気が回復しつつあり、物価が上昇しすぎると国民生活に悪影響となってしまうリスクがあるため、政策金利を引き上げることに決めたのです。
日銀の利上げはわたしたちの暮らしにどんな影響がある?
では、政策金利が上昇すると、わたしたちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか。
まず言えるのは、物価の安定化です。政策金利が上がると、連動して民間の金融機関の金利も上がってトータルの返済額が増えるため、企業や個人はお金を借りにくくなります。すると、大きな買い物を控えるなど、経済活動がこれまでより落ち着くことに。モノやサービスの需要が減ることで、物価がどんどん上がっていく「インフレーション」を抑制することに繋がります。最近は食料品や洋服など身近にある様々な品物の値段が上がっていますが、日銀の利上げの効果が表れれば、価格上昇はいずれ収まると考えられます。

銀行に預けたお金に対する金利も上昇する可能性が高くなります。実際、今年11月2日から三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行が普通預金の金利を年0.40%から年0.50%に引き上げることを発表しており、銀行にお金を預けていると利息額がこれまでよりも増えていると感じられることでしょう。
また、実は奨学金の金利も政策金利の上昇に連動し、およそ30年ぶりに高い水準となっています。具体的には日本学生支援機構が扱う貸与型の奨学金において、返済期間中の利率が変わらない固定方式では金利が3%、約5年ごとに利率が見直される見直し方式で金利が2.2%となったそうです。返済で支払う利息の額が増えるため、奨学金を借りている人にとっては負担がこれまで以上に増えることとなります。
さらに、住宅ローンの返済額も増えるケースが多くなるため、家庭によっては、これまでより外食やレジャーを控えて支出を見直すこともあるかもしれません。
お金の動きから社会のいまを知る
日銀や金融政策と聞くと、自分の生活からかなり遠いところにある話題のように思えます。しかし、実際は世の中のお金の動きに密接にかかわっており、わたしたちの暮らしにも大きな影響を与えています。
お金の動きを見ていくと、社会がいまどのような状況にあるのかをより詳しく把握できるようになります。経済関連のニュースにも、ぜひ着目してみてくださいね。
Reference:
日本銀行『金融政策決定会合における主な意見(2026 年 9 月 17、18 日開催分)』
日本銀行「金融政策決定会合とは何ですか? いつ開催されるのですか?」






