Steenz Breaking News

研究成果をアドベンチャーゲームに。国立環境研究所が手がけるゲームプロジェクト『Project:Leaves』とは?【Steenz Breaking News】

研究成果をアドベンチャーゲームに。国立環境研究所が手がけるゲームプロジェクト『Project:Leaves』とは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、先週、先々週に引き続き、『東京ゲームショウ2026(以下、TGS2026)』で出会った注目の取り組みについてご紹介します。

今年もおこなわれたTGS。注目の取り組みを紹介中!

ゲームビジネスに関わる国内外の企業・団体が出展する大規模イベント『東京ゲームショウ2026』が、今年も9月17日から21日に千葉・幕張メッセでおこなわれました(21日の現地開催は台風のため中止)。筆者はビジネス関係者やインフルエンサー、メディア関係者で大盛況となった18日に現地を取材。会場を歩き回る中で発見した注目の取り組みを、「Steenz Breaking News」で先週(脳波を使ってゲームができる?株式会社アラヤのTGS2026ブース取材レポ)、先々週(小児がんのリハビリでゲームを活用。『東京ゲームショウ2026』で出会った注目の取り組みに迫る)とご紹介してきました。

本稿は、そんなTGSレポートの最終回。今回は、一般展示エリアで出会った、国の研究所によるゲーム開発プロジェクトを取り上げたいと思います。

華やかなブースが並ぶ一般展示エリア。その中で見つけたのは……

大手から中小まで様々なゲーム会社がブースを構えていた一般展示エリア。多くの人が行き交う中、色とりどりの多彩な展示をじっくりと見て回っていると、ある一角に「国立」「研究所」という文字が並んでいることに気がつきました。

ブースに足を運んでみると、見えてきたのは、「国立研究開発法人国立環境研究所(以下、国立環境研究所)」が構想を進めているゲーム開発プロジェクトの展示でした。

ゲーム開発に挑む国立環境研究所。その背景は?

国立環境研究所は、環境に関する様々な研究をおこなう日本の中核的な研究機関です。同研究所では、気候変動や資源循環、生物多様性、環境リスク、地域環境などをテーマに、環境にまつわる幅広い研究を進めています。

そのような研究機関が、なぜゲームの企画・開発に取り組んでいるのか。同研究所の福島地域協働研究拠点 環境協働システム研究室 兼 地域協働推進室 室長の五味馨さんは、環境研究とゲームとの相性の良さに気がついたことがプロジェクト発足のきっかけだと教えてくれました。

「当研究所では、日頃から研究成果の広報活動もおこなっています。しかし、環境問題に深い関心を寄せている方には発信が届くものの、それ以外の方々にはなかなか成果をお知らせすることが難しいと感じていました。そのような壁を乗り越えるのに、ゲームが有効なのではないか。そう考えたことで、環境研究の成果をベースとしたゲームを作ることに決めたのです。また、環境研究では、未来の社会についてシミュレーションする機会が多いんです。最悪の事態を防ぎ、より良い未来を実現するための対策も、あわせてシミュレーションします。そうした研究成果の出し方は、ストーリーを追いながら進めていくテレビゲームに近いと直感しました」(五味さん)

環境研究の成果・知見を詰め込んだゲームプロジェクト『Project:Leaves』とは

現在、国立環境研究所で企画を進めているのが『Project:Leaves』というアドベンチャーゲームです。

舞台は、近未来の社会。プレイヤーが操作する主人公は、発明が好きな少年・ミキヤです(上記イラスト・左)。ある日、ミキヤに遠い未来に生きるヨウ(上記イラスト・右)がコンタクトをとってきます。ヨウによれば、彼女が暮らす未来の世界は、地球温暖化や土地の改変などによって環境の悪化が進み、自然や文化の多様性が失われてしまっているのだそう。そうした未来を変えるべく、ミキヤはヨウと協力。環境問題に関する調査や発明など様々な行動を起こしていきます。その行動は、ヨウの生きる未来の世界を果たしてどう変えていくのか……。プレイヤーがゲーム内でとった行動が結末を左右するというストーリー構成のゲームです。

五味さんによれば、ゲーム内に登場する環境問題関連の情報は、国立環境研究所をはじめ、世界の様々な研究機関による研究成果が反映されるとのこと。『Project:Leaves』を楽しみながら遊ぶうちに環境に関する知識や理解が深まるようなゲームにできるよう、企画を深めているといいます。最終的には、ゲームを通じて日本や世界の環境保全に貢献することを目指しているそうです。

『Project:Leaves』は今後、2027年のTGSでの体験版の展示を目標にプロジェクトを進めていくとのこと。この先の展開に期待が高まります。

より良い社会の実現にゲームが貢献する未来が来る?

研究機関などが蓄積してきた研究成果を、より多くの人に分かりやすく伝えていく。これは簡単なことではありません。しかし、ゲームの‟遊び”の中に情報をうまく散りばめることができれば、役立つ情報を広く世の中に浸透させやすくなります。先々週のTGSレポート記事の中で医療分野のリハビリでゲームを活用する事例をご紹介しましたが、医療だけでなく研究成果の広報においてもゲームの活用が検討されていることに、改めて「ゲーム」というコンテンツの可能性を感じることができました。

今回の国立環境研究所のように、これからもより良い社会の実現に向けて、ゲーム開発に挑む企業や団体が出てくるかもしれません。ただ遊ぶだけではない、ゲームの可能性の幅広さに改めて思いを馳せられるTGSの取材でした。

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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