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貧困、民族問題、内戦…アフリカでは約5億人が身分証明書を持っていない?【Steenz Breaking News】

貧困、民族問題、内戦…アフリカでは約5億人が身分証明書を持っていない?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカの身分証明書事情について紹介します。

世界の身分証明書事情

自分が誰なのか、どういった状況にあるのかを公的に証明する身分証明書。日本では、マイナンバーカードや運転免許証などがそれにあたります。持っている、常に携帯しているという人も多い中で、世界に目を向けると、身分証明書を持っていない人は少なくありません。世界銀行によると、2024年の時点で、法的な身分を証明する基本的な書類を持たない人は約8億人と推計されました。特にアフリカに多く、国連アフリカ経済委員会(UNECA)によると、アフリカでは5億人を超える人が身分証明を持っていないとしています。

身分証明書がないことによる弊害として、正規雇用への応募ができない、学校に通えない、銀行口座を開設できない、医療へのアクセスが制限される、選挙で投票ができない、SIMカードを登録できないことなどが挙げられます。

 

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公的な身分証明書を持てない理由の背景のひとつには、出生登録がされていないことだといいます。

UNICEFの2024年の発表によると、世界では5歳未満の子どものうち、約1億5000万人が出生登録されていません。出生登録の登録料を支払うことができない、登録場所が遠くアクセスできない、手続きに関する知識がない、といったことに加えて、民族的・宗教的少数派であることを理由に登録を阻害されるケースも。特にサハラ以南アフリカでは出生登録率が低く、未登録の子どもは約9000万人に上ります。

 

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「無国籍」状態に置かれた人々

また、アフリカには「無国籍」の人が多く暮らす街もあります。西アフリカに位置するガンビアで、ガーナにルーツを持つ人々が暮らす「ガーナタウン」です。1950年代後半にガーナからガンビアへ10人の漁師が移住したことが街の起源だと言われており、現在では約900人の住民が暮らしています。しかし、村落開発委員会によると、そのうち約850人が市民権やパスポート、国民IDといった身元を証明するものを持っていないといいます。

ガンビアの法律では、出生地がガンビアであることだけでなく、両親の少なくとも一方がガンビア人であることが出生時の国籍取得の条件となっています。そのため、ガーナ人を両親にもつガーナタウンの住人の中には、ガンビアの国籍を取得できず「無国籍」状態に置かれている人もいるのです。

身分を証明する書類を持たない住民は、学校への入学や正規雇用など、さまざまな場面で困難に直面しています。実際にガーナタウンでは、必要な書類を持っていないことを理由に公立学校への入学を断られ、私立学校に通わざるを得ない、正規雇用に就くことが難しいほか、個人事業を始めようとしても、身分証明書がないために事業の登録ができないといった問題も生じています。

出生登録には内戦の影響も

他にも、新生児の出生登録や身分証明書の取得に困難を抱えている国が、スーダンです。

スーダンでは、内戦により性暴力の被害を受け、妊娠・出産した女性もいます。スーダンの児童法では、婚姻外で生まれた子どもについても出生登録が認められていますが、父親が不在、不明である場合、父親の所在を確認したり、親子関係を証明したりするために長い手続きが必要となる場合があるのです。

 

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こういった手続きを紛争中におこなうことは難しく、さらに手続きによっては費用がかかったり、複雑であったりすることから、結果的に多くの子どもが登録されることなく生まれているのが現状です。出生登録ができないために、必要な予防接種が受けられない、学校に通わせられないといった弊害も生まれています。

長期的には、身分証明書がないことで教育や雇用の機会を失い、結果的に貧困に陥ることで、その子供もまた身分証明書を持てないといった悪循環に陥る可能性もあります。

 

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現代の社会では、出生登録や身分証明書の有無によって、さまざまな公的機関や公共サービスにアクセスできるかどうかが左右されます。また、出生証明書や身分証明書には、子供の年齢を明らかにすることで、児童労働や児童婚、人身売買から子供を守る役割があります。紛争や避難によって家族と離ればなれになった場合にも、身元を確認し、家族と再会するための重要な手がかりとなります。子供たちが生まれた環境にかかわらず、等しく身分証明書を取得できるようにするためには、紛争国での出生登録の支援のほか、取得にかかる費用や、登録を困難にしている法律、手続きそのものを見直す必要があるのかもしれません。

References:
ECA「Digitial ID & Interoperability」
World Bank「Global progress in identification: 3 findings from the latest data」
UNICEF「Birth registration for every child」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

ウガンダ在住。アフリカ専門ライター/音楽フェス・イベントプロダクション等。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。

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