
「気になる10代名鑑」1381人目は、もあなさん(19)。カンボジアやモンゴルで開発研修を通じて、国際協力のあり方を考えています。その問いを活かしながら、今年5月には皮膚疾患と社会的偏見をテーマにした学生団体を立ち上げたもあなさんに、活動の原点や、そこで感じた違和感、これからの展望について聞きました。
もあなを知る5つの質問

Q1. いま力を入れていることについて教えてください。
「開発や国際協力のあり方について、実際のアクションを通して日々考えています。
高校2年生のときにはカンボジアを訪れ、小学校で日本式の運動会を企画・運営しました。また、教育局の人たちと交流したり、スラム街にも実際に訪れてみたりして、現地の暮らしについて学びを深めて。
今年の夏には、モンゴルでのジャーナリズム・開発研修に参加しました。国際協力の機関や現地企業、NPO法人などを訪問し、取材や学生同士の議論を通して、開発が人々や文化に与える影響について考えて。いまは、そこでの学びを記事にまとめたり、今秋の学園祭でポスター発表をしたりする予定です。
さらに、国際協力への興味から発展して、今年5月に皮膚疾患と社会的偏見をテーマにした学生団体『Atypical Beauty』を立ち上げました。当事者として感じてきた経験をもとに、SNSでの発信や、見た目の問題に取り組む団体・有識者へのインタビューなどをおこなっています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校生のとき、『最初に父が殺された』という映画を見たことです。ポル・ポト政権下で行われたカンボジア大虐殺時の少女の実話をもとにした話でした。
世界史でなんとなく知っていた出来事でしたが、実際にどのような犠牲があり、どれくらいの人がそういう人生を強いられたのかをはじめて知り、すごく衝撃を受けました。
さらに調べていく中で、ポル・ポトがフランスに留学して政治などについて学んだ上で、その政治をおこなっていたことを知り、そこにも恐怖を感じて。『実際にどんなところなのか、いまはどうなっているのかを見てみたい』という思いから、高校2年生の夏休みにカンボジアのスタディツアーに参加しました」
Q3. 活動の中で印象的だったことは?
「カンボジアのトイレ事情について、日本人学生と話したことです。東南アジアでは、地面に穴を掘ったようなシンプルなトイレがあります。一方、日本から来た高校生の中には、『あまり使いたくない』とか、『不衛生だから、かわいそうだ』という声がありました。
そのときに、ふと『かわいそうって何だろう』と思ったんです。わたしはその『かわいそう』について、ちゃんと考えてみたいと思ったんです。
その後、大学で開発系の授業を取ったり、さまざまな考え方に触れたりする中で、そのときの感情を思い出すようになり、『もう一回、いまの自分で考えてみたい』と思うようになりました。そこで、今年の夏、モンゴルに渡航することに決めたんです。
また、モンゴル研修の中で、国際協力機関で働いている人たちに『何を支援するか、どうやって決めているのか』と聞いたときの答えにも、新たな発見がありました。彼らは、データをもとに問題を見つけ出し、そこから現地の賛同してくれる人を見つけて動き出すというやり方をしていると話してくれて。
それを聞いて、『もしかすると、彼らが本当に求めていることではなく、先進国の実務者のやりたいことが優先されてしまうこともあるのではないか』と感じました。もちろん、開発によって選択肢を増やしたり、不平等を減らしたりすることは大切だと思います。でも、わざわざ先進国のものさしでは優れているとされるものを見せることは、ときに、もともと感じていなかった劣等感を与えてしまうこともあるのではないかと気づいたんです。
そう考えると、開発は良い・悪いだけでは決められないし、外から関わるからこそ、相手を『こういう人』と決めつけず、対等な立場で対話することが大切なのだと思うようになりました」

Q4. 最近、新しく始めた活動はありますか?
「今年の5月に、『Atypical Beauty』という学生団体を立ち上げました。
皮膚疾患と社会的偏見をテーマに、皮膚疾患のない人にも正しい知識を知ってもらうことや、悩みを抱えている当事者同士がつながり、自分なりの美しさを見つけられることを目指しています。
わたし自身、小さい頃からアトピーがあり、『ゾンビみたい』と言われたり、アトピーが原因でいじめられている子を見たりしてきました。そうした経験から、皮膚疾患のある人が『かわいそうな人』と決めつけられたり、『こういう肌が美しい』という基準に当てはめられたりすることに課題を感じるようになったんです。
開発について考えてきた中で感じてきた、『外から一方的に決めつけるのではなく、対話を通して相手を理解することが大切だ』という考え方は、Atypical Beautyの活動にもつながっていると思っています」
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Q5. 今後の展望を教えてください。
「開発については、国際協力機関だけではなく、企業など、違う立場から関わる方法も含めて、もう少し視野を広く持って考えていきたいです。
皮膚疾患については、Atypical Beautyの活動を通して、当事者同士がつながって悩みを共有できるコミュニティをつくったり、当事者ではない人にも正しい知識を知ってもらったりすることで、みんなが自分なりの美しさを見つけられるような活動をしていきたいです」

もあなのプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:国際基督教大学、Atypical Beauty、Culture and Diversity in Japan、野田村にICU旋風を吹き起こす会
趣味:作曲、友達と遊ぶ
特技:ピースを180度曲げること
大切にしている言葉:ありがとう
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Photo:Nanako Araie
Text:Yuka Miyazaki






