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文字を持たない民族が、歌で病気と交渉する村で見つけた、「カカオ」の不思議 Mirei in Paris #14【Steenz Abroad】

文字を持たない民族が、歌で病気と交渉する村で見つけた、「カカオ」の不思議 Mirei in Paris #14【Steenz Abroad】

こんにちは。2025年9月からフランスに留学しているMireiです。今回は、休暇中に訪れたコスタリカの先住民「ブリブリ族」の村で過ごした日々についてお話ししようと思います。

家じゃない、宇宙


まず訪れたのは、コスタリカの首都サンホセから車で7時間。カリブ海沿い、パナマとの国境近くにある村がブリブリです。舗装された道が途切れ、緑がどんどん深くなっていく車内で、正直「本当にこの先に村があるのか」と半信半疑でした。

今回案内してくれたのは、腕に猛獣のタトゥーを入れたおっちゃん。最初はちょっと身構えたのですが、聞いてみるとそれは愛犬のタトゥーだそうで。急に愛おしくなりました(笑)。強面の見た目とのギャップに、村に入る前から早くも心をつかまれてしまいました。


そんなおっちゃんとブリブリ村に足を踏み入れて、まず目に飛び込んできたのが、とんがりコーンみたいな形をした家。ブリブリ語で「ウスレ」と呼ばれるこの家は、ただの住居ではありません。結婚式も、出産の祝いも、お葬式も。人生の大事な節目は、すべてここでおこなわれるのだそうです。

かつて文字を持たなかったブリブリ族は、大事なことをすべて歌で伝え継いできました。病気を治すときも、歌で病気を説得する。歌詞を並べて病気に語りかけ、なだめすかして出て行ってもらう。そんな感覚だそうです。そして、その儀式もやっぱりウスレでおこなわれます。教会であり、病院であり、結婚式場であり、コンサートホールでもある。ひとつの家にこれだけの役割が詰まっている、ブリブリ族にとって、とっても大切な場所なんです。

カカオを扱えるのは、女性だけ

そしてこの村で驚いたのは、家のことだけではありませんでした。ブリブリ族にとって、カカオはとても神聖な存在。儀式のときには、カカオを特別な飲み物にして捧げます。苦みの奥にほんのり甘さが残る、あの独特の味はいまでも忘れられません。でも、カカオを扱えるのは女性だけ。ブリブリ族に伝わる言い伝えで、カカオの木は、もともと「女性」だったそう。神様によって植物に姿を変えられたけれど、その本質はいまも女性のまま。だから扱えるのも女性だけなのだ、と。おばあちゃんはこの話をするとき、少し誇らしげな顔をしていたのが印象的でした。

男性中心の社会構造を持つ民族が多い中で、こんな形で女性が力を持つ民族は、実はそう多くないのではないかと思います。しかもそれが、権力や役職としてではなく、「神話」というかたちで自然に受け継がれているところに、この民族らしさを感じました。

わたしもおばあちゃんにあれこれ言われながら、カカオづくりを手伝わせてもらいました。豆を挽く力加減ひとつでも「そうじゃない」と何度もダメ出しされ、地味に難しかったです(笑)

巴山未麗(Mirei)のプロフィール

東京都出身。フランス・パリの言語大学に留学中の大学4年生。言語がとにかく大好きで、留学先の大学ではウォロフ語を専攻する他、ビスマラ語、マラガシ語、シンハラ語なども学んでいる。

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巴山未麗

2003年生まれ。これまで45以上の国を訪れ、現地家庭でホームステイをしながら調査した言語は50以上。セネガル人向けフランス語学習アプリLEUK STUDYの開発を経て、ビジネスやクリエイティブの視点で少数言語の新しい価値を生み出すことを目指しkotohaを立ち上げる。慶應義塾大学在学中。

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