
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、AIによって生成された画像や動画によって「貧困ポルノ」がおこなわれている問題について紹介します。
AIが生成したコンテンツによる「貧困ポルノ」
貧困や飢餓、紛争などで苦しむ人々を過剰に強調して描くことで人々の同情を喚起し、寄付や支援につなげようとすることを「貧困ポルノ」と呼ぶことがあります。「特定の地域=貧困」といった固定観念を過剰に強め、可哀想な対象として認識させることは、長年、彼らの尊厳を損なう行為だと指摘されてきました。
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近年では、生成AIによる貧困ポルノが問題となっています。
2025年の医学誌『Lancet Global Health』の研究によると、生成AIが途上国の貧困イメージを増幅させる画像を生成しており、世界中でこうした画像が使用されていると発表しました。
同研究では、半年の間にさまざまなSNSに投稿された100枚以上の生成AIによる画像を分析。「痩せて飢えているアフリカ系の子供」「アフリカ系の少女が花嫁のベールを被り泣いている様子」などの生成された画像が広告キャンペーンとして使用されていたそうです。同研究ではこれらを「貧困ポルノ2.0」と呼んでいます。
画像の提供・販売をおこなうプラットフォームでも、こうしたAIによるステレオタイプな生成画像が利益を生んでおり、問題視されています。
大手NGO団体や国際機関がこうした生成画像・動画を使用した例も。たとえば2023年には、世界保健機関(WHO)が、アフリカ系と推定される子供が埃だらけの洋服を身にまとったAI生成の画像を、禁煙キャンペーンの一環として投稿。2024年には、国際連合がYouTubeで「1993年のブルンジの紛争で3人の男性にレイプされ死亡したとされる女性」の証言を再現したAI生成の動画を投稿しています。被写体のプライバシーを守るという目的もある一方で、貧困などを強調した偏りのある画像が広まれば、AIがそれを学習し、さらにステレオタイプを強めた画像を生成する、という悪循環に陥る可能性も懸念されています。
また、メディアではたびたび生成AIが、「White Savior(白人救世主)」的なステレオタイプを助長させているという意見も挙げられています。ある調査では、Googleが開発した画像生成AI「Nano Banana Pro」に「アフリカの子どもたちを支援するボランティア」の画像生成を数十回依頼すると、高確率で白人女性がアフリカ系の子供に囲まれる様子を生成。「弁護士」や「CEO」といったイメージを含むプロンプトでは白人の画像を、「刑務所の独房に座っている男性」では黒人男性の画像を生成したそうです。
AI生成動画による偽装問題も発生
こうした画像や動画が偽装のために使用され、大きな問題となったケースも。2026年にはInstagramで300万人以上のフォロワーを持つオーストラリアのインフルエンサーに対し、ウガンダでの孤児院設立をめぐったAIによる虚偽演出の疑惑が浮上しました。彼女は「Lily Jay Foundation」という財団を通じて、ウガンダやガザ、スーダン、ネパールで支援活動を行っていると発表していました。しかし、SNSに投稿されたウガンダの孤児院の動画について、ABC Newsは、同じ映像内で窓の位置が変化しているなど、AIで生成されたとみられる不自然な点が複数あると指摘したのです。
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報道ののち、寄付のWebサイトは削除されました。さらに、「Lily Jay Foundation」の名義で登録された孤児院も、「Lily Jay Foundation」という財団さえ実在しないことが判明しました。
偏ったイメージの増幅をどう防ぐか
生成AIの技術が進化する一方で、生成された画像や動画は本物との区別が難しくなっています。また、アフリカに対する既存のステレオタイプを反映したAI生成コンテンツが、寄付や支援を集める目的で利用されるケースも指摘されています。今後は、アフリカの人々自身が制作した多様なコンテンツや、これまで十分に反映されてこなかった多言語のデータをAIに学ばせるなど、偏ったイメージの再生産を防ぐ取り組みが求められています。
Text:Hao Kanayama






