
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、韓国や中国、アメリカなどで広がっている「読書ブーム」についてご紹介します。
韓国で広がる「読書ブーム」
市場縮小が叫ばれて久しい日本の出版業界。実はお隣の国、韓国でも同様の問題に直面しているのですが、その一方で、現地では若い世代で読書が一大ブームとなっています。
韓国の文化体育観光部がおこなった『2025年国民読書実態調査』によれば、20代の年間総合読書率は75.3%という結果になったそう。2023年の調査よりも0.8%上昇しただけでなく、過去最低水準となった成人の読書率と比較しても、およそ2倍の数値となったといいます。
この読書ブームは2024年頃から始まったと言われ、韓国内では「テキストヒップ」と呼ばれています。約2年が経ったいまも、ブームの熱量は健在。今年6月24日から28日にかけて開催された『2026 서울국제도서전(2026年ソウル国際ブックフェア)』には、20〜30代の女性を中心に推計でおよそ15万人が来場したそうです。
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読書を自己表現の一環として楽しむ韓国の若者
テキストヒップという言葉は、今回のブームをきっかけに作られた造語です。由来は、文字を意味する「Text」と格好いいを意味する「Hip」から。韓国ではいま、「読書をすると、自分がもう少し素敵に見える」という考え方が広がっています。それに伴い、書店巡りやカフェで本を読む姿をSNSに投稿する、書籍の内容に関連したグッズを入手するといった読書周辺の行動も盛り上がりを見せています。

ちなみに、筆者のInstagramアカウントでテキストヒップを意味する「텍스트힙」という言葉を検索してみると、約1.7万件の投稿が出てきました。また、一部報道によれば、韓国のInstagramではテキストヒップに関して1200万件もの投稿がなされているとのことで、今回の読書ブームがいかに韓国社会に浸透しているかが分かります。
中国や欧米でも読書をする人が増加中
こうした「読書ブーム」は、中国やアメリカなどでも起きているようです。
例えば、中国では2024年頃、SNSで有名作家を興味・関心の対象としてタグ付けすることがトレンドに。2000年代生まれの人たちが古典文学の名作や小説、人文科学系の専門書を好んで読んでいる実態が、現地メディアの報道で明らかになりました。
アメリカでも、2024年頃から若い女性を中心に読書会がブームとなり、その傾向は現在まで続いているといいます。

なぜいま読書が注目されている?
では、なぜいま、読書ブームが起きているのでしょうか。
さまざまな理由が考えられますが、まず言えるのは、SNSの拡散力やつながりの創出力がブームの発生に一役買っているということです。推しのアーティストが紹介していた本に興味を抱いたり、‟ブックトッカー(TikTokで本を紹介するインフルエンサーのこと)”の影響を受けたり、読んだ本の感想に共感することを通じて誰かとつながったり……。韓国や中国のメディアでは、読書ブームの背景として、そうした事例がよく紹介されています。SNSが読書ブームの後押しとなっている可能性は少なからずあるようです。

一方で、SNSは他者の生活のキラキラとした一場面や目を引く編集がなされたショート動画など、刺激的なコンテンツが次々と流れてくるもの。そのため、毎日利用していると、精神的な疲労を招くこともあります。そうした‟SNS疲れ”が、読書という精神的な癒しを得やすいアナログな行為に人々をあえて向かわせている側面もありそうです。
また、読書を通じて他者との交流や自分らしい人生観の構築ができる点も見逃せません。アメリカなどで人気の読書会は、あるプラットフォームの調査によると、新しい友人を作ることを目的に参加する人が多い傾向が明らかになっています。また、韓国のメディアでは、読書を趣味とすることについて「読書はトレンドに乗るだけでなく、自分だけの色や世界観を持てる趣味なので良い」と話す男性の言葉を紹介していました。読書から得られるものの大きさが、人々を惹きつけている部分もあるのかもしれません。
日本でも読書ブームは起きるのか
日本では長らく「若者の読書離れ」が問題視されています。しかし一方で、太宰治の『人間失格』が若い世代から支持を集めるなど、一概に読書離れとは言い難いトレンドが観測されているのも事実です。
特に最近では、レコードやフィルムカメラ、編み物、シール帳などの“手ざわり感”のある趣味が多くの人に支持されています。そうした傾向を踏まえれば、今後国内でも読書ブームが起きる可能性は十分にあると言えるのではないでしょうか。
References:
데일리안「책 안 읽는 나라, 20대만 역주행…’텍스트힙’ 진짜일까(本を読まない国、20代だけが逆走…「テキストヒップ」は本物か)」
新華網日本語版「中国の若者に名作の読書ブーム 精神的豊かさを追求」
Text:Teruko Ichioka






