Teen's Snapshots

過去のわたしを救うために。不登校の経験を糧に寄り添う児童福祉の卵【かな・18歳】

過去のわたしを救うために。不登校の経験を糧に寄り添う児童福祉の卵【かな・18歳】

「気になる10代名鑑」1352人目は、かなさん(18)。大学で社会福祉を学びながら、不登校や発達障害を抱える子どもたちとその保護者を支える活動に力を入れています。自身も不登校の当事者として、暗闇だった経験を光に変え、子どもたちに寄り添うかなさんの、印象的な出来事や活動での葛藤に迫りました。

かなを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

不登校や発達に特性のある子どもたち、そしてその親御さんへの心理的支援に力を入れています。

おもに神奈川県内で、不登校の子どもや保護者の居場所をつくる『ぼちぼち』や、発達の専門家に相談できる『でこぼこピーナッツ』といった団体に携わっています。

具体的な活動としては、親御さんが専門家と相談している間、別室で子どもたちと遊ぶ保育補助をしたり、セミナーに登壇して不登校時代の自分の体験談を話したりといったものがあります。

とくにわたしは、単なるボランティアではなく、元当事者という目線を大切にしていて。『当時のわたしはこんなことで困っていました』というリアルな声を届けることで、いま悩んでいる人たちの心を少しでも軽くしたいと考えています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

高校時代の学校説明会で、在校生ボランティアとして作文を読んだことが原点です。

わたしが通っていたのは、不登校経験者などを広く受け入れている通信制の高校でした。入学当初、先生から声をかけられて、自分の過去の葛藤や、学校生活でどう変わったかを、中学生やその親御さんの前で話すことになったんです。

そこで『お話が聞けて本当によかった』『この子にも前向きになれるきっかけがあるかもしれない』と、涙ながらに言ってもらえたとき、言葉にできないほど嬉しかったです。

自分の経験が誰かの助けになるなら、これを仕事にしたい。そう思って児童福祉の道を志すようになりました」

Q3. 活動をする中で、印象的だった出来事は?

高校最後に出席した学校説明会です。在校生として話す最後の機会だったので、自分の伝えたいことをすべて詰め込んだ作文を書き上げました。

中学3年生の7月から完全に学校へ行けなくなり、日中は家から一歩も出られず、お先真っ暗だと思っていたあのころの自分を思い出しながら、精一杯語りかけました。話し終わって顔を上げると、3人ほどのお母さんが泣きながら聞いてくれていて……。

わたしの言葉で、大人たちの心を動かせたんだと実感した瞬間でした。それと同時に、苦しかった過去の自分自身も報われたような、救われたような感覚になりました」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

「自分の無力さに打ちひしがれることが、何度もあります

体験談を話しても、『あなたはもともとできる子だからですよね』と言われてしまい、想いが届かないこともあります。本人の可能性を信じて声をかけ続けても、何も変えられないまま面談が終わると、やり場のない虚しさを感じることもありますね。

また、いまは大学で専門知識を学んでいる最中なので、『経験者として寄り添うべきか、専門家の卵としてアドバイスすべきか』という立場の違いに迷うことも増えました。

実は家庭環境もあまりよくなく、居場所を求めて外へ出ているという背景もあり、人を救いたいと言いながら、自分の未熟さや家庭の課題に足を取られそうになることもあります。そんな理想と現実のギャップに、日々もがいていますね」

Q5. 将来の展望は?

「誰かに前向きな影響を与えられる存在になりたいです。

いまは特定の地域で活動していますが、ゆくゆくはこの活動を地元である横浜市や、神奈川県全域に広げていきたいと考えています。

『もっと早くこんな環境に出会いたかった』という当事者の声を、ひとつでも減らしたいんです。理想は、いつか自分で団体を立ち上げること

子どもたちが心の叫びをありのままに吐き出せて、それを社会が排除せずに受け入れられる、そんな安心できる環境を自分の手でつくることが、いまのわたしの目標です」

かなのプロフィール

年齢:18歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:桜美林大学、ディスカバ!、不登校の子どもと保護者の居場所 ぼちぼち
趣味・特技:高校野球観戦、ハンドメイド
大切にしている言葉:君は苦痛を知る人間として、暴力と悪に抗い、弱い立場の人たちをたくさん救った

Photo:Nanako Araie
Text:Selna Iwasa

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Seruna Iwasa

ライター

2004年生まれ、埼玉県出身。立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科在学。カナダの高校に通っていた際に「セントリベル」を立ち上げ、現在も代表を務める。中高生のキャリア教育に関わる「ディスカバ!」でもメンターも担う等、幅広く活動している。

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