
「気になる10代名鑑」1341人目は、紗会さん(17)。芸術高校で日本画を専攻しながら、針金や和紙、チューブなどを素材に服をモチーフにした立体作品をつくっています。服は着るだけでなく鑑賞するものだと話す紗会さんに、活動のテーマや、印象的だった出会い、制作するうえで大切にしていることについて話を聞きました。
紗会を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「立体作品を制作しています。トルソーにワイヤーや和紙の作品を着せるスタイルで、布で縫ってつくる服とは少し違うもので。『彫刻』とも『インスタレーション』とも言われて、どの分野にも当てはまらないのが、わたしの作品です。
芸術高校の日本画専攻にも通っています。いちばん興味があるのは服なんですけど、服の本場は海外なので、高校3年間は日本でしかできないことをしたいなと思って日本画を選びました。和紙や岩絵の具など、芯のある素材に触れたことがいまの制作にも影響しています。
12月には東京都美術館で展示される卒業制作で、日本画の素材を使った和紙のドレスをつくる予定です。3年間でつくってきた立体作品の集大成として、わたしにしかつくれないかたちを見てもらえたらうれしいです」
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Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「出会いとつながりをテーマにしています。これは、実はわたしの名前から来ているんです。
高校にはいって創作活動をはじめたとき、一生使えるインスピレーションのもとがあったらいいなと思って。あるとき、住所も名字も見た目も変わるけれど、名前だけは自分で変えない限り変わらないことに気づきました。そこで、紗会という名前そのものをテーマにしようと思ったんです。
実は小学生のころ、同じ苗字の子がクラスにいて『できないほう』と言われたのが、ずっとコンプレックスでした。だからこそ、苗字ではなく名前で呼ばれることがうれしく、自分の名前が好きだったんです。
母に改めて由来を聞いたら、織物の『紗』と一期一会の『会』でつけてくれたとのことで。だから、人と巡り合うことのかけがえのなさを、装飾に関する分野で表現しようと決めました。見てくれた人が、出会いには別れがつきものでだからこそ美しいと感じてくれる作品を目指しています」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「高校で出会った、ひとつ上の映像専攻の先輩との出会いです。入学前からInstagramで存在は知っていて、まっすぐな世界を撮る人だなと思っていました。
1年生の終わりに、はじめて針金で立体作品をつくり校内に展示していたとき、素敵だと思っていた先輩から急に廊下で呼び止められて、『服の作品でいちばん腑に落ちた。かっこよかった』って声をかけてくれて。すごく試行錯誤をしながら、自分の伝えたいことに合わせて素材やモチーフを選んでいたので、彼がわたしの作品を気に入ってくれたと知って飛び上がるほどうれしかったのを覚えています。
そして、この人ならわたしが見たい景色をまっすぐ撮ってくれる気がして、すぐに撮影をお願いしました。彼の写真は、映したいものをまっすぐ映してくれる。先輩後輩というより、お互いを作家としてリスペクトしあえる関係で、いまでもわたしの作品のほとんどを撮ってもらっています。お互いの存在が刺激になっているなといつも思っています」

Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?
「作品を見てくれる人と作品との距離感です。服って、肌に直接ふれるものだけれど、着るときに空気を含むから、決していっしょにはならないんですよね。その服らしい距離感を、作品でも大事にしたいと思っています。
たとえば針金やチューブを使うと、ライトが当たったときにキラキラと反射して、ハッと目を引く印象が生まれます。でも近すぎないから、見る人を傷つけずに、すっと心に入ってくる。展示のときにキャプションを添えて、自分のメッセージを置いておくのも、その場にいないわたしと見てくれる人が対話できる距離をつくるためなんです。
モデルさんが着てくれると作品が時間をまといます。1秒ごとにシワも光の反射も変わって、その瞬間にしかない味が出る。生きている人が着るからこそ、作品にも命が宿る気がするんです。展示してあるときとはちがう一回きりの表情が生まれるところが、わたしの作品の好きなところで、こだわっている部分でもあります」
Q5. 将来の展望は?
「世界中のいろんな考えの人に会って、いろんな自分と出会ってみたいです。そのために、いまのわたしがどんな人間で、なにを大切にしているのかがわかる、名刺のような作品をつくり続けたいと思っています。
作家になりたいという具体的な夢があるわけではなくて、服に関われたらなんでもいいなと思っているんです。ショーを企画したり、雑誌の編集をしたり、人と服をつなげる仕事もしてみたい。
人って一度会って終わることもあれば、また出会いなおすこともある。そのときに、当時の自分を客観的に見られるような作品が残っていたらうれしいです。出会いには別れがつきもので、だからこそ美しい。そう実感できる作品を、これからも届けていきたいです」

紗会のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都新宿区
所属:都立総合芸術高校
趣味:いろんな人と話すこと、赤ちゃんの動画を見ること
特技:ハイヒールで歩くこと
大切にしている言葉:汝の道を進め、そして人々をして語るにまかせよ
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Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






