Teen's Snapshots

「好きな道を進み続けて」という言葉を糧に。映画やアートを通じて、誰かの人生に彩りを【八百枝奈瑠・18歳】

「好きな道を進み続けて」という言葉を糧に。映画やアートを通じて、誰かの人生に彩りを【八百枝奈瑠・18歳】

「気になる10代名鑑」1301人目は、八百枝奈瑠やおえだ なるさん(18)。武蔵野美術大学で学びながら、映画やアートを媒介としたコミュニティづくりやつなぎ役としての活動に力を注いでいます。地元・新潟のミニシアターで、安部公房の生誕記念企画を企画したこともあるという、八百枝さんの、活動で大切にしていることや将来の展望についての迫りました。

八百枝奈瑠を知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?

「武蔵野美術大学の芸術文化学科で、アートをどのように社会へ広めるかを学術的に学んでいます。作品をつくること以上に、それを社会へ広めていく活動をしています。

現在は、地元の新潟にあるミニシアター『シネ・ウインド』での上映企画や、シンガーのあがた森魚さんの楽曲制作サポート、そしてアートワークショップの主催など、ジャンルを横断して伝える役割を担っています。

映画そのものだけでなく、映画に付随する人の感情や人間関係によって、人生が豊かになるきっかけをつくりたいと考えています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

「高校2年生のときに、地元のシネ・ウインドでアルバイトを始めたことが大きな転換点でした。 もともと幼少期からアートは好きでしたが、そこでさまざまな業界の人と出会い、映画への興味がさらに深まっていって。

わたしは作家・安部公房の熱烈なファンだったのですが、 生誕100周年を祝うイベントが、地元である新潟で開催されていなくて。そのことを劇場の代表に話したところ、『じゃあ、自分でやってみたら?』と背中を押してくれて。自ら企画・運営に挑戦することになったんです。

実はシネ・ウインドは、40年ほど前から市民がボランティアで運営や上映企画、さらには文化誌の編集までを担ってきた劇場で。そうした市民が自ら文化をつくるという風土が根付いていたからこそ、わたしの提案も快く受け入れてもらえたのだと思います。

準備期間には、複数のイベント企画が重なり、学業との両立やスケジュール管理に頭を抱えることもありました。でも、周囲の人のの温かなサポートを受けながらひとつずつ課題をクリアしていって。当日に満席の客席を見たときの達成感が格別でしたね。自らアクションを起こすことの楽しさを知りました」

Q3. 活動をする中で、印象的だった出会いは?

「多くの尊敬する先達からの言葉が、わたしの指針になっています。

安部公房のイベントにゲストとしてお呼びした俳優の永瀬正敏さんから、『そのまま好きな道を進み続けてください』と言ってもらえたことは、いまの活動の大きな支えです。この一言で、迷わずに好きなことを突き詰めようと思えるようになりました。

また、映画監督の手塚眞さんの最新作『e』に演出助手として携わった際も、現場での振る舞いや映画制作の楽しさを深く教えてもらいました。

他にも、アニメーション監督の山賀博之さんや、初めての一人旅で訪れ、能登で演劇を鑑賞した俳優の仲代達矢さんの復興への想いなど、多くの人との出会いがわたしの感性をかたちづくっています」

Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?

『とにかく自分のやりたいことをやってみる』という姿勢と、そこから生まれる交流を大切にしています。

わたしが企画した上映会やワークショップをきっかけに、参加者同士に新たな人間関係が生まれたり、アートを通して自分の人生を語り合ったりする場面に立ち会うことが、いちばんの喜びです。

さらに、映画だけでなく、そこから派生する読書会や、いけばなの展示など、多重的な体験を提供することにもこだわっていて。時代に流されない自分なりの感性を大切にしながら、好きなことを好きと言える輪を広げていきたいと考えています」

Q5. 将来の展望は?

会社などの組織に縛られず、自分の好きなことを仕事にしていきたいです。いまは大学での学業を第一にしながら、東京という新しいフィールドでも、自分のペースで活動を広げていこうとしています。

将来的には、映画やアートを媒介にしたコミュニティ形成の力をさらに磨き、多くの人が新しい興味や他者と出会える場をつくりつづけることが目標です。自分がいいと信じたものを世の中に提示し、それによって誰かの人生に彩りを添えられるような、自立した表現者を目指しています」

八百枝奈瑠のプロフィール

年齢:18歳
出身地:新潟県(新潟市)
所属:武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科
趣味・特技:日本の芸術全般、映画、演劇、古典芸能、アニメ、音楽、美術館、レトロ、喫茶店、カフェ、動物、ゆるキャラ、いけばな、マンガ、茶道
大切にしている言葉:為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり

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Photo:Nanako Araie
Text:Selna Iwasa

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Seruna Iwasa

ライター

2004年生まれ、埼玉県出身。立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科在学。カナダの高校に通っていた際に「セントリベル」を立ち上げ、現在も代表を務める。中高生のキャリア教育に関わる「ディスカバ!」でもメンターも担う等、幅広く活動している。

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