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日本一アジアとクィアが集まる書店。東中野の3番線 「platform3」でZINEとアートブックに出会う。

日本一アジアとクィアが集まる書店。東中野の3番線 「platform3」でZINEとアートブックに出会う。

新宿から5分のところにある独立書店

platform3は「東中野駅の3番線」(JR東中野駅には2番線までしか線路がない)をコンセプトに、2024年にオープンした独立書店の実店舗兼、コミュニティスペースです。クィア(性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称)やアジアをテーマにした書籍を扱うlonnelinessbooks・店主でグラフィックデザイナーの潟見陽さんと、独立出版ユニットである(TT)pressのともまつりかさん、丹澤弘行さんの3人が運営を行っています。

lonnelinessbooksは以前、事前予約制で大久保に店を構えていましたが、移転するタイミングで、(TT)pressのふたりと合流し、より多くの人が立ち寄れるオープンなコミュニティに寄り添うブックストアとして再スタートしました。

階段で3階に上がって、赤いドアを開けると、ぬくもりのある木目調の空間が広がります。本棚にはLGBTQ+に関する雑誌やアートブック、東アジアのカルチャーに関するZINEやマンガ、孤独や連帯にまつわる本など幅広いジャンルがずらり。壁面はギャラリースペースになっており、毎月アーティストによる展示やパフォーマンスやトークイベントが行われています。

3人が日本各地や世界のブックフェアに出展したり、国内の出展・交流で出会ったアーティストの作品や、LGBTQ+のクリエイターの作品も並んでおり、日本で有数のクィアライブラリーとしても機能しています。また、タイに縁のある(TT)pressの活動の一環として、タイ・バンコクにある書店、SPACEBAR ZINEの出張本棚をつくるなど新しい取り組みも行われています。

 

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最近ではplatform3の情報を口コミやSNSで知ったLGBTQ+のクリエイターが世界各国から訪ねてきたり、毎年行われる東京都現代美術館でのブックフェアの時期には特に海外からのアーティストが多くが書店を訪ねたりしています。

3人の本屋さんができるまで。

潟見さんは元々、グラフィックデザイナーとして映画やポスターなどのビジュアル制作やクィアに関するフリーペーパー『akta』の制作に関わっていたそう。

その後、韓国での「ソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル」やフェミニズムに関する制作物に感化され、2014年に大久保のマンションの一室で loneliness booksをオープンしました。

一方、(TT)pressのふたりは元々、LGBTQ+と社会の接点をクリエイティブなコンテンツで繋ぐ団体「やる気あり美」のメンバーとして活動していました。その後、団体で出会ったフォトグラファーや映像制作をおこなうともまつさんと、loneliness booksにお客さんとして通っていた丹澤さんがユニット、(TT)pressを結成。当初は寂しさをテーマにZINEの制作を開始しました。

そのZINEの制作過程で、潟見さんへの孤独や寂しさを聞くインタビューを通じて3人の関係が始まったといいます。

すでに「lonelines books」を運営していた潟見さんは、もっと誰でも自由に、好きに安心して立ち寄れる書店にしたいと考え、書店の移転と(TT)pressとの共同運営を決意。2024年8月、新天地・東中野で「platform3」がオープンしました。

映像、パフォーマンス、Podcast。変化していく書店の形。

2年目を迎えたplatform3では、従来の「ただ本を買う」という書店像から一歩踏み込み、Podcast収録やギャラリーの活用、海外アーティストを招いたパーティーなど多くのクィアやアライはもちろんクィアやアジアに馴染みのないお客さんでも楽しめる空間をつくりだしています。

壁や天井空間を使った展示スペースは週ごと、月ごとで入れ替わり、それに合わせて書店の雰囲気も変化するのもplatform3の魅力です。展示アーティストの展示内容はポットキャストシリーズ『東中野の三番線から』で聴くこともできます。

 

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2月、3月に行われていたイベント、「道をつくる」は、loneliness booksと、ジェンダーアイデンティティやセクシュアリティに関する作品の発信や自主上映をおこなうプロジェクトの「Normal screen」による企画。今年は毎年テーマにあるクィアに加え、様々な移動(エクスチェンジ、性転換や移民性などを表す)をテーマに、アートや映画、トークを通じて対話するイベントが開催されました。過去2回は場所を変えて行われていましたが、2026年の今回は「ホーム/移動/クィア」をテーマに、東中野を拠点として実施されました。

おすすめの本・ZINE教えて!

本に親しむ3人に、Steenz世代に勧めたい本を聞いてみました。platform3へ訪れてみるきっかけにもなるかも。

(TT)press ともまつさん:
『毛布 – あなたをくるんでくれるもの 』安達茉莉子・著 玄光社

作家・文筆家の安達茉莉子さんのエッセイ集。
自分のことを好きになれないとき、自分のことを信じられないとき……この本のことばが、あたたかい毛布のようにあなたを包んでくれるかもしれません。

(TT)press 丹澤さん:
『Document Your Culture』Emma Warren・著、阿久根聡子・訳 ZINE

あなたには「好きな場所」はありますか? 放課後によく行くお店、友だちと集まる公園、ひとりで落ち着けるカフェ。

もしあなたがその場所を好きなら、もうあなたはその場所を記録するのにぴったりな人だと思います。このZINEは、そんな「大切な場所」を見つけて、記録するための小さなガイド。場所の見方や、言葉や写真で残すヒントがつまっています。あなたのまわりには、まだ誰も気づいてない物語があります。このZINEを読み終わるころには、きっとあなたも、自分の好きな場所を記録したくなるはずです。

loneliness books 潟見さん:
『心音』あすかむ・著 アイプロダクション

「とてもきれいな心音だね」— 中学の健康診断で医師にかけられたその一言が、主人公の中に静かに残り続けます。言葉にできないままの感情や、まだ名前のない惹かれ方。それらは時間をかけて、自分の中で少しずつ輪郭を持ちはじめていく。本作は、そうした“気づきの前夜”のような瞬間を、繊細にすくい上げた作品です。誰かを好きになることや、自分のアイデンティティに戸惑うこと。そのどれもが間違いではなく、ただそこにあるものとして描かれている点が『心音』を読んだときに伝わってくる優しさです。はっきりと言葉にできなくてもいい —そんなふうに、自分の内側にそっと耳を澄ませるための一冊になっています。

『日本移民日記』MOMENT JOON 著 岩波書店

本書の冒頭で、著者のMOMENT JOONさん(以下、MOMENTさん)はあえて自分のことを「移民」と名乗ります。海外から来て日本で暮らす人々にとって、本来ならその呼び名を避けたり、日本社会の中で存在を曖昧にされがちな言葉。それをあえて引き受け、「いない」と言われても僕はここにいると声をあげるMOMENTさんの姿は、日本人と呼ばれるマジョリティがステレオタイプに思い込んでいる前提を静かに揺らします。他者を知ることは、外へ向かう行為であると同時に、自分がどの場所から世界を見ているのかを見つめ直すことでもある。世界は思っているよりずっと広くて、どこかにあなたを待っている誰かがいるかもしれないと、心を開いてくれる一冊です。

今回訪れたのは

「platform3」

住所:東京都中野区東中野1丁目56−5 ホシノビル 401号室
JR東中野駅・都営大江戸線東中野駅 徒歩1分

Instagram:
platform3:https://www.instagram.com/plat_form3/
loneliness books: https://www.instagram.com/lonelinessbooks/
(TT)press: https://www.instagram.com/tt_press/

営業日:
平日 14:00-22:00
土日祝 12:00-22:00
(詳細はInstagramを確認)

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