
「気になる10代名鑑」1264人目は、あきらさん(17)。建築に魅せられ、ネット上の情報だけでは足りないと、これまで20人以上の建築家や専門家に個人的に取材をおこなってきた高校生です。4月には『TSUGI HANDS』という団体を立ち上げ、さらに若者や職人を巻き込んで、文化の継承や優れた建築技術の発掘に取り組むあきらさんに、活動で印象的だった出会いや将来の展望を聞いてみました。
あきらを知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。
「一言で言うなれば、伝統建築の価値発掘です。
これまで、全国20人以上の職人を訪ね、彼らの技術や声を社会に届ける取材活動をおこなってきました。また、『ORIHONプロジェクト』 では、浅草にある8店舗と協力し、外国人向けに折り本を用いた新しい文化体験ガイドを提案しています。こうした発信活動だけでなく、理論ばかりではなく手を動かしていたいという気持ちから、 設計から施工まで2年かけて10平方メートルのドールハウスを自力で完成させました。
そして、いまいちばん力を入れているのが、2026年4月に設立したばかりの『TSUGI HANDS』 での活動です。地域に根差す職人文化をテーマとして、その記録を通した若者の成長や技術の保存に力を入れています。職人のインタビューや仕事の様子をドキュメンタリーにまとめて、発信する予定です」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小さいころからものづくりが好きで、よく幾何学的な折り紙を折ったりしていました。特に建築に興味があると気づいたのは、高校生のときにヨーロッパなどを訪れた海外旅行でした。サグラダ・ファミリアやカルカソンヌなど、世界各地で見る建築に心動かされて。この旅行を振り返ってみると、自分は建築にばかり心躍っていて、食べ物以上に魅力を感じていました(笑)。
活動の原動力は、純粋な好奇心です。 知らないことを知る快感に始まり、深く知るほどにその奥深さに魅了される一方で、現場が抱える厳しい課題が見えてきます。『もっと知りたい』が『なんとかしたい』に変わる瞬間が、ぼくの活動のスタート地点です」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「千葉の建築家兼大工のもとで、住み込み研修をしたことです。古民家のリフォームを1ヶ月間手伝いました。
そこで『日本人は昔からものを作るのは得意だが、その技術を他人に伝えることが苦手。それがこれからの若い人にできること』と言われたことが、いまの活動につながっています。
現在の住宅の寿命は30年くらいですが、昔は100年も200年も住み続けることができました。長持ちさせる技術を日本は本来持っているけれど、経済がそれをよしとしない。SDGsという言葉が生まれるずっと前から日本にある持続可能な建築技術を、再評価して未来に受け継いでいけたらと思います。
あと、自転車で日本縦断に挑戦したとき、瀬戸内海を歩いていたら地元のおじいちゃんが声をかけてきたんです。
そのおじいちゃんが、地元の風景について熱く語ってくれて。予想外の出会いでしたが、実際の声を聞いて、高齢化だけが問題なのではなく、実は地域産業のニーズが失われつつあることも問題であるということを学びました。地方の声を政策に反映させようにも、間にいくつものステップを挟みすぎて、声自体が少しずつずれていくこともあるんだなと学んで。リアルな声を聞くには、現場に赴くのがいちばんです」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「高校生という肩書きが、ときにフィルターになってしまうことです。
応援されやすい一方で、活動の内容そのものではなく『頑張っている高校生』という枠組みでしか見てもらえないもどかしさを感じることもありました。特に、職人の世界では高校生という立場はマイナスに働くことが多く、なかなかまともに取り合ってもらえないんです。
ネットの情報では足りないと感じ、全国20人以上の職人さんに自ら手紙を出して、取材のお願いをしたことがあって。そのときも返事が来ず、思い切って現場へ赴いて直接アポを取るということもありましたね(笑)。そういう泥臭いことを続けていると、知り合った建築家がほかの建築家を紹介してくれるなど、つながりが広がっていきました」
Q5. 将来の展望は?
「高校卒業後は、アメリカの大学で建築学を専攻予定です。自分の価値観をリフレッシュするためにも、日本から出てこれからの建築を学びたいです。そのあとに日本を見たらどう見えるのか、とても楽しみです。
ぼくの夢は、特定の職業に就くことではありません。日本の建築界に、新しい未来をつくることです。その手段が社会起業家かもしれないし、建築家かもしれないし、建築起業家かもしれない。でも、肩書は実はどうでもよくて、『日本の建築の課題をどう変えていくか』が、将来の目標です。職人の言葉って、ややこしくてまどろっこしいところがあるんです。でも、それをわかりやすく噛み砕きながら発信すること、それが自分の使命だと感じています」

あきらのプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都
所属:S高等学校、TSUGI HANDS、STUDENT RIPPLE EFFECT、Youth Express Japan
趣味:ひとり旅
特技:ものづくり
大切にしている言葉:The best way to predict the future is to create it.
あきらのSNS
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★note
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






