Fashion&Culture

東アジアのアート&カルチャー発信基地「SOMSOC」が仕掛けるこれからの原宿シーン。

東アジアのアート&カルチャー発信基地「SOMSOC」が仕掛けるこれからの原宿シーン。

「原宿の再発明」。 アジアのサブカルがハブになる時代

いまの原宿は、かつての日本発ストリートカルチャー「裏原ファッション」や「Kawaii」だけの発信地だけではありません。この街では、東アジアの若手アーティストやクリエイター、ビートメイカーが交差し、新しい動きが生まれつつあります。そのひとつを担っているのが、アート&カルチャーを発信するギャラリー「SOMSOC GALLERY(ソムソクギャラリー)」です。アートをただ“展示する”のではなく、編集し、接続する彼らは原宿をどのように見ているのでしょうか。

なぜ原宿に? 国境を超えたクリエイティブの交差点

SOMSOC GALLERY(以下、SOMSOC)は中国で動画クリエイターとして活動していたアートキュレーターの宮崎壮玄(みやざきたけはる)さんをはじめ、中国をルーツにもつアーティストの静電場朔(せいでんば さく)さん、アートディレクターでCEOの厳研(げん けん)さんの三人が設立したアートギャラリー。富山県出身の宮崎さんは原宿への憧れがあったそうですが、決定的だったのは原宿の持つ土地性だったといいます。「この場所が生んできたカルチャーは常に“メインカルチャーへの挑戦、反抗”という性質があります。」カウンターカルチャーが生まれやすい環境と3人のバイブスが合致したことが決め手になり、SOMSOC は2022年に始まりました。
元々、原宿にはストリートカルチャーや、Kawaiiカルチャーが同時に存在しており、SOMSOCはそれぞれの文化が交差する竹下通りから原宿通りに入ったすぐの場所に位置しています。近年は渋谷や表参道との交差点にある「ハラカド(東急プラザ原宿)」「オモカド(東急プラザ表参道)」などからくる商業的な機運にも影響を受けているとのこと。

 

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宮崎さんは語ります。「世代ごと、地域ごとによって興味関心が細分化し、コミュニティ単位でのワクワクやドキドキがあることでカルチャーは生まれます。原宿は、それをしっかり届けられるだけでなく、アーティストの価値をスケールできるカルチャーがすでに育っていることが良いところです。」SOMSOCも近年は、国内だけでなく海外からもお客さんが集まるそうです。ただ楽しいだけではなく、よりアーティストの価値が上がるような仕組みづくりにチャレンジしています。

それが、まさにアートを「編集し、接続する」ということ。

SOMSOCの特徴は、特定ジャンルに閉じない点。展示、リサーチプロジェクト、トーク、ZINE制作や、アパレルの販売などが並走し、クロスメディア的に「作品」「思想」「プロセス」が同じテーブルに置かれています。いわば“完成品のアートを見る場所”というより、“醸成中のカルチャーに触れる場所”。ここには、従来の型に縛られない意識的な編集が感じられます。

展示中の静電場朔さんのアクリル画にはプロジェクションマッピングで作品の世界観が拡張される演出が施されていたり、展示に合わせたオリジナルの楽曲が店内BGMとして流れていたりと、場が区切られることなく接続されているのが印象的です。(現在は展示終了)

ソフビからダンダダンコラボまで。アートの入り口はひとつではない。

Steenzのインタビュー記事「“気になる”10代名鑑」にも出演し、現在はSOMSOCの販売スタッフでもあるななさんにギャラリーやアイテムの紹介をしてもらいました。

なな:SOMSOCは原宿通りに面していて交差点からも看板が見えるんですけど、壁面にコラボのポスターやビジュアルを掲げることで、さらに多くのお客さんがくるようになりました。

—おすすめはありますか?

なな:たくさんあるんですけど、最初にわたしが取材されているZINEを紹介させてください(笑) 『Ouch & Oops Art Magazine』は香港の二人組ソフビトイアーティスト「Ouch & Oop‼」さんが発行した雑誌で、サイケデリックでユーモアのある世界観がわたしは好きです。人間から逃避するヤモリちゃんが可愛い……!

 

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なな:SOMSOCはアパレルにも力を入れているところがわたしは好きです。「NØИSENSE」は日本のブランドで、私がいま着ているような普段使いもできる服や、アニメ『ダンダダン』や『チェンソーマン』との公式コラボも行っています。他のアイテムもそうですが、お客さんの「可愛い!」「好き!」に立ちあえると、このお仕事をしていてよかったなって思います。外国人のお客さんもよくいらっしゃるので、言語の壁で苦労することもあるけど、そういう気持ちって世界共通じゃないですか! 学生時代からわたしも憧れていた場所で、こういう体験が日々生まれていることをもっと多くの人に知ってほしいですね。

—2階には何がありますか?

なな:基本的に企画展やPOP-UP、イベントが行われるスペースで、いまは「アンノウン・カワイイ・ソフビ展」が開催されています(2026年2月15日で展示は終了)。日本のソフビ怪獣の巨匠・赤松和光さんの作品や、ちょっと「こわかわ」な「悪玉菌製造工場」さんなど、個性豊かな国内外のソフビ作家の作品が並んでいます。わたしもSOMSOCで触れてから気づいたんですけど、ソフビは老若男女や国を超えて通じ合える共通言語なので、SOMSOCでも重要なアイテムとして展示されていて。わたしも、どの子をお迎えしようか迷っています。

なな:日々、作家さんから送られてくるアート作品の段ボールを開ける瞬間が、わたしにとっては特別な瞬間だと思ってます。開けた瞬間びっくりしたり、うっとりしたり……こういうパッションをどうやって伝えようかな?と考えるのも楽しみながら作品と関わっています。ぜひ、いまの原宿を感じに色々な人にSOMSOCに来てほしいです。待ってます!

「裏原」「カワイイ」の次。 SOMSOCが描く次世代のストリート地図

ここでは、消費されるトレンドよりも、生成されていく関係性が重視されている傾向が見られます。宮崎さんが強調していたのは展示もイベントも、単発で完結するのではなく、次のコラボレーションや出版、別都市での展開へと形を変えて接続され続けること。そうした編集がなされているのはアーカイブとして連なっているHPからも伝わります。SOMSOCは場所であると同時にネットワークでもあります。

今後は、海外に拠点を持った上で原宿カルチャーを伝えていくことも視野にあるそうです。SOMSOCがアート&ポップカルチャーの電波受信局として機能し、自分たちだからこそできる視点で “編集・接続”を行っていく……。文化の交差点として「原宿といえば」の枕詞がつくようにこれからもSOMSOCは発信基地としてうごめいていくこと間違いなし。

今回訪れたのは

『SOMSOC GALLERY』

住所:📍東京都渋谷区神宮前3丁目22−11
千代田線,副都心線 明治神宮前〈原宿駅〉から徒歩5分/JR原宿駅から徒歩10分

Instagram・HP:
https://www.instagram.com/somsocgallery/?hl=ja

https://somsoc.jp/pages/project/unknown-kawaii

Text・Interview
kai

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エディター・ディレクター

Steenz Contents Director , Editor。北海道出身。 自身のクィアや北海道のルーツなどから社会問題やアジアのカルチャーに関するコンテンツに携わる。 Independent Magazine 「over and over magazine」共同編集者。

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