
Steenzがお届けるする政治連載企画「政治POPS.」の特別編。今回は、小学館のニュースサイト「NEWSポストセブン」とのコラボ企画として、国民民主党代表の玉木雄一郎さんを招き、2人の10代と座談会を実施。10代の若者の政治観のリアルを玉木氏とともに紐解いた。ナビゲーターは「気になる10代名鑑」にも出演経験のある中村眞大。前編はNEWSポストセブンで!
津田あかりさん:秋田県秋田市出身。大学1年生。中学生の頃から地元の衰退に危機感を持ち、大学では保守サークル「早稲田大学國策研究會」に所属。
ISSHINさん:兵庫県尼崎市出身。高校3年生。中学生からラッパーとして活動。18歳未満の選挙運動解禁を求め、国を相手に裁判中。
玉木雄一郎さん:香川県さぬき市出身。国民民主党代表の衆議院議員。「対決より解決」を掲げる。最初の選挙で落選後、7回連続当選。
保守とかリベラルとか、そういうのじゃなくて
―若い人たちに政治家という仕事にもっと興味を持ってもらうにはどうしたら…?

玉木:わかりやすいのは、選挙にいったらちゃんと変わるということを実感として見せていくことですよ。日本人はバカじゃないし、意味がないことはしないので、成功体験を積み上げて、意味があると理解してもらうしかないんです。実際に「103万円の壁」についても、大学生に言われたことがきっかけでスタートした政策です。親の税控除がなくなるので、最低時給は上がっているのに103万円に抑えてね、と言われていたところから150万円にまでなった。(8月から178万円に引き上げ予定)
ISSHIN:政治家のうさんくささっていうのはそれですよね。「この国を良くします」とか薄っぺらいことを言うという……。
玉木:(笑)不信感を増幅させることはいろいろあるけど、選挙で約束していることを実現しないことですよね。与党も野党も。

津田:めっちゃその印象です。
玉木:選挙のたびに「ぼくのかんがえたさいきょうのなんちゃら政策」を出すけど、次の選挙では言わないんだよね。それと、SNSも報道もいいことよりも悪いことの方が広がりやすい。
― 特に最近、「保守」「リベラル」といった言葉が一人歩きしている気もしますよね。

津田:そうですね。私の所属も保守サークルとは言われているんですけど、別に考え方が凝り固まってるわけではなくて。フラットにいろんな政策を見て、より良い日本のために国民が幸せになると思えるかどうかを、先輩とか仲間と話しているって感じですね。
ISSHIN:僕はラップをやってるんですけど、アーティストって結構思想的にはリベラルな人が多いんです。僕もジョンレノンとかの「世界が一つになれば良いな」って思想に影響を受けてきたんで、それで言うと、リベラルって言われることには違和感はないですけど、「リベラルのISSHINです」って言うことには、「それはちゃうな」と思っちゃう。
玉木:日本の”リベラル”も誰かがどこかでつくった言葉なので、特に若い世代はそういうことにとらわれずに考えていってもらいたいよね。
―ふたりは当てはまらない気もしますが、それぞれが相手を「敵」のように認定するような空気感がありますよね

ISSHIN:だから「リベラル」と名乗りたくないですね。
玉木:私たちは「中道政党」って名乗っているけど、中道って難しいのはね、右から見たら左に見えて、左から見たら右に見えるから敵ばっかりなの。ミサイルがあらゆる方面から飛んでくる状態だから、個別に迎撃していくしかないんですよ。でも、右や左の人は攻められても仲間が迎撃してくれて、集団的自衛権を行使してくれる仲間がいるわけ。でも、考え方はベルカーブで分布しているから、ほんとは真ん中の、穏健な中道の人が多いはずなんです。でもこの人たちは、怖くなっちゃって、無言になっちゃっているよね。

ISSHIN:そう思います。
リアルなコミュニケーションの価値
― どうしたらその流れに抗えますかね?

玉木:もっと直接会って話すことがすごく大切だと思いますね。匿名性が人を凶暴にしている気がするね。面と向かってこんなん言えんのかよってことを、フェイクも含めて毎日ぶつけられてる。
津田:結局、本質的なコミュニケーションってリアルで顔を合わせてしゃべることですけど、それが苦手になっている若い人が多いのは問題だと思っています。わかり合うために受け入れたり妥協したりすること、もっと練習した方がいいんじゃないですかね。
ISSHIN:僕も同じ意見です。ジェンダーの話とかにしても、当事者に話を聞いてみないと「そういう負担があったんや」ってことはわかんなくて。だから差別とかって、直接のコミュニケーションじゃない場で起きやすいのかなって思いました。
玉木:やっぱり右も左も、色がついてしまっているから、皆さんの世代はあまりそういうことにとらわれずに、自由に発想するってことが大事なんじゃないかな。
「怖くないデモ」にするために
― SNS以外で直接声を届ける方法として、デモなどの手段については?
津田:日本人ってあまりデモをしない体質だと思うんですけど、最近は少し盛り上がってきているように感じます。こういう日本でいてほしいという気持ちのあらわれと考えれば、そういう変化の流れが見えてきているのは、良いことなんじゃないかなと思います。
ISSHIN:僕はもともと「デモって怖いな」って思うような典型的な日本人だったんですけど、声をあげる手段としてはありかなって思いました。
―政治家の人ってデモをどう見てるんですか?

玉木:活動家がやっているのか、一般の人が本当にやっているのかをよく見定めてますけどね。これ労働組合の人にも言ってるんだけど、見え方って大切だよね。旗とか立てていくと、いかにもそれっぽくなっちゃうから、別になくても良いんじゃないかなって。なんかね、日本って全部様式美があるの。「頑張ろう三唱」っていう儀礼にしても、しなくていいじゃん……とか。右系の団体の「頑張ろう」はこうだけど、左系の団体の「頑張ろう」はちょっと違うとかね。
ISSHIN:そんなんあるんすか?
玉木:そうそう。労働組合の「頑張ろう」を三唱する前に「構えて」って言ってやるのと、「団結用意」って言ってやるのとあるとか。そういうのも「もうやめたらどう?」って。だから皆さん世代に合わなくなっているものは無邪気に壊していってほしいね。

ISSHIN:はい、ラップとかしちゃって。
玉木:ぜひやってください(笑)。
右翼でも左翼でもなく仲良く
― 今日の座談会、いかがでしたか?
ISSHIN:政治家さんや政治に対して親しみをもてたなと思いました。実は僕、いま18歳未満の選挙運動解禁の運動を進めていて、実は裁判をやっているんですよ。
玉木:うん。どんどんトライしていったらいいですね。そういうことから制度や法律を変えようということになりますから。私もその問題をちゃんと調べてみようと思います。

津田:SNSでは「保守かリベラルか」といったレッテル貼りによる対立をよく目にしますけど、今日話してみて、そのラベリングは本質的ではないと感じました。たとえ自分を保守だと思っていても、保守すべきものが個人の自由であるなら、そこには寛容の精神やリベラルの精神を持っているはずだから、本当に関係ないなと感じました。政治も「これだけ言っておけば国民の理解を得られる」というような時代でもないので、政治家個人が目指す世界や政策の背景をしっかり持っていないといけないだろうと思います。国民のリテラシーと同時に政治家のリテラシーも高めていけるような世の中であってほしいと思いました。

玉木:2人とも政治家の素質があるなと思いました。私がよく演説で言っているのは「右翼でも左翼でもなく、仲良くやろう」っていうこと。地域の自治会やPTAでも、お互い妥協しながらちょっとずつ物事を決めて前に進めていくっていうが、かつての日本人の良さだったように思うけど、いつしかお互いが指を差し合うようになってしまって。国会に来ると急に「我々の主義主張が最高だ」みたいになって、批判ばかりして何も決まらない。そういうところから抜け出す政治をやっていかないといけません。そのためには皆さんに「政治は自分が操縦桿を持っている」と思ってもらいたいし、そのための生の情報提供が私の仕事です。
― 年齢も立場も違う3人でしたが、意外と考え方が共通している部分も多くて面白かったです。ありがとうございました。

司会・構成 中村眞大






