
「気になる10代名鑑」1243人目は、松村滉さん(19)。ロボット制作のほか、ロボットを媒介としたイベントやワークショップ企画に挑戦しています。“人が人らしく”生きられる社会や「救えなかった」という後悔のない社会の実現を目指す松村さんに、活動のきっかけや将来の展望を聞きました。
松村滉を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「大学の精密機械工学科で、ロボット作りを学びながら、憧れのロボット会社「OriHime」のカフェでアルバイトをしています。そのほか、子どもや高齢者、学生が同じ空間で自然に関われるロボットイベントやワークショップの企画・運営にも取り組んでいます。
特に、ロボットを媒介に、人が人らしく振る舞える場や体験をつくる活動に力を入れていて。
一貫したテーマは『救えないをなくす』です。孤立や沈黙が生まれにくい環境をロボットで設計することで、間接的に誰もが人を救える社会をつくりたいです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「家庭環境の変化や人との別れを経験した、寂しさを感じている人が周りに多かったことがきっかけです。自分自身、『誰かを助けたい』と思っても、その人を救うことのできる言葉や行動の正解が見つからず、何もできなかった経験が何度もありました。
それならば、人が何もしなくても関われる媒介として、ロボットを使ってはどうかと思いつき、制作を始めました。それまで何となく興味のあったロボットの分野に自信が持てなかったのですが、自分のやるべきことややりたいことがはっきり見えた瞬間でした」
Q3. 影響を受けた人物は?
「世界初の家族型ロボットである『LOVOT』を開発した林要さんと、遠隔操作ロボットの『OriHime』を開発した会社『Ory』に憧れています。
特に、Oryは『孤独をなくす』を目標に掲げていて。自分が全員を救うヒーローになる必要はないけれど、ひとりひとりが『救えなかった』と後悔するのをなくせたらと、ぼくも思っていて。
ロボットを『人が人でいられるための存在』として位置づけ、孤独や分断が当たり前になる前に、関係性が自然に生まれる仕組みをロボットを使って実現することが目標です。いつかは林さんや『Ory』を越えて、技術が人を管理する社会ではなくて、人の感情を守る社会を実現したいですね。」

Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「福祉センターで開催したロボットイベントで、普段ほとんど話さないひとりの入居者が、ロボットをきっかけに、隣の子どもへ自分から話しかけた瞬間は忘れられません。
たとえば、弱いロボットと呼ばれるLOVOTは、『守ってあげよう』『何とかしてあげよう』と人に感じさせることで、特に老人ホームなどで人の自然な動きを誘発する効果が報告されています。
実際に、福祉センターではロボットを通じてその実例を目にすることができて。同じテクノロジーでも、スマホひとつでは、こうはならないと思っています。いまは、スマホで何でも完結してしまう時代ですが、この経験から、ロボットのテクノロジーで自然な交流を生み続けたいと改めて思うようになりましたね」
Q5. 将来の展望は?
「将来は、ロボットを使って人が能動的に生きられる社会を、起業を通じてつくれたらいいなと思っています。大きな成功よりも、誰かの人生の歯車が少し噛み合う瞬間を増やしたくて。孤独や分断を、人との関係性で解消できる仕組みをロボットを使って提供したいです。
目標は、『月』のようなロボットを作ることです。月は、いまの社会で誰にとっても支えとなる存在だと思っていて。昼間は見えないこともあるけれど、必ず空のどこかにいることが、心の支えになります。そんなロボットを作って、誰でもが周りの人を救うことのできる社会を実現したいです」

松村滉のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県小田原市
所属:日本大学、AQUORO
趣味:美術鑑賞
特技:水泳
大切にしている言葉:救えないをなくす
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Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






