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研究が進む「地球を冷やす技術」気候工学の可能性とリスク【Steenz Breaking News】

研究が進む「地球を冷やす技術」気候工学の可能性とリスク【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、温暖化に対して研究が進んでいる「地球を冷やす技術」についてご紹介します。

止まらない地球温暖化

地球温暖化が止まりません。今年1月14日にEU(欧州連合)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスが発表したところによると、2025年は世界の平均気温が産業革命前の1850~1900年の平均気温と比べて1.47度も高くなったそうです。これは2024年、2023年に次ぐ史上3番目の高さ。気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前の1.5度にとどめる目標を掲げていますが、その達成が危ぶまれています。

日本においても、気温上昇は顕著です。2025年末、気象庁が2025年1月から11月までの国内の天候についてまとめた「2025年(令和7年)の天候のまとめ(速報)」を発表。これによると、2025年の日本の平均気温は平年(1991〜2020年の平均値)よりも1.25度高くなったそう。統計を開始した1898年以降、3番目に高い値となる見込みだといいます。

温室効果ガスの削減といった温暖化対策は待ったなしの状況にあると言えますが、昨今、AIの発展などにより電力需要はますます増加。温室効果ガスの原因のひとつである「ガス火力発電」の設備を増やそうとしている地域もあるほどで、国際社会で掲げた気候変動目標の達成が遠のいてしまうかもしれません。

「地球を冷やす技術」の開発が活発化

そうした中、世界では「科学技術の力で地球を人工的に冷やすことができないか」という観点から、研究開発が進んでいます。

そのうちのひとつが、2022年設立の英国企業・Real Iceがケンブリッジ大学などと共同で開発を手がけている、「北極海の海氷を再生させる技術」です。北極海に浮かぶ氷は、太陽からのエネルギーを宇宙に反射し、地球を冷やす役割を担っています。しかし、近年は海氷が減少。地球温暖化を加速する要因のひとつになっていると言われています。

Real Iceでは、大規模に作業ができる水汲み上げシステムを水中ドローンで運搬。氷が薄くなっている箇所を探し出し、冬の初めに海水をくみ上げ、海氷の表面に氷の層を増やします。冬の終わりになると、水の汲み上げ方を変更。断熱材の役割を果たす雪の層を海氷に生成し、夏の間に海氷をなるべく維持できるようにするといいます。

技術はまだ開発の途上にありますが、実験の中では、すでに大規模な面積の氷を最大30cmも厚くできているとのこと。イギリスの研究開発資金提供機関・ARIAが2025年に100億円規模の支援を決定しており、技術の実現可能性やリスクの検証が加速することに期待が高まっています。

気候工学は地球環境の救世主となるか?

北極海の氷を増やす技術など、人為的に地球環境に変化を加え、地球温暖化を抑えようとする研究のことを「気候工学」といいます。19世紀中頃に始まり、1995年頃から注目を集めるようになったと言われているこの学問。技術には大きくふたつの方向性があり、「地球に届く太陽光を管理する手法」と「大気中から二酸化炭素を除去する手法」の開発が進められています。

なかなか進まない温暖化対策に一石を投じる研究として熱い視線が注がれている一方で、自然環境や生態系への影響など、課題やリスクも無視できません。また、気候工学はどこか一カ国でも実施をすると、地球全体の気候に少なからず影響を及ぼします。技術が確立される前に、国際的な枠組みや規制を設ける必要もありそうです。

さらに、そもそも温暖化の原因は人類の活動によるものであると言われており、国際社会で温室効果ガスの削減などを強化しなければ根本的な解決には繋がりません。そのため、現時点では、気候工学の活用に否定的な態度を示す国や研究者も少なくはないようです。

加速する温暖化に対して、人類はどう行動すべきなのか。最新技術の開発が進むかたわらで、環境対策のあり方が問われています。

Reference:
The Copernicus Climate Change Service 「The 2025 Annual Climate Summary Global Climate Highlights 2025」
2025年(令和7年)の天候のまとめ(速報) | 気象庁

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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