Steenz Breaking News

イスラエルが“独立国家として承認”したソマリランドって? 未承認国家とは?【Steenz Breaking News】

イスラエルが“独立国家として承認”したソマリランドって? 未承認国家とは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、イスラエルがソマリランドを独立国家として承認した背景について紹介します。

ソマリアとソマリランドって何が違うの?

ソマリランドは、アフリカ北東部、サイのツノのように見えることから「アフリカの角」と呼ばれる半島に位置しています。1991年にソマリアから一方的に独立を宣言しましたが、これまでどの国からも承認されなかった「未承認国家」でした。ところが、2025年12月、イスラエルが世界で初めて、ソマリランドを独立国家として正式に承認したのです。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Al Jazeera English(@aljazeeraenglish)がシェアした投稿

ソマリランドは未承認国家ではあるものの、独自の政府組織、通貨、パスポート、軍隊を維持しています。人口は620万人ほど。言語は主にソマリ語とアラビア語ですが、第二公用語として英語も話されています。

19世紀後半から20世紀前半にかけて、現在のソマリア地域はヨーロッパ列強の統治下にあり、南部や中部はイタリア、現在のソマリランドにあたる北西部は、イギリスが支配していました。1960年6月26日にイギリス領ソマリランドが独立、7月1日にはイタリア領ソマリアが独立しましたが、同日に両者はソマリア共和国として合併しました。

しかし、1991年にシアード・バレ大統領の軍事政権が打倒された後、ソマリアでは内戦が勃発し、無政府状態に陥ります。この混乱の中で、旧イギリス領ソマリランドは独立を一方的に宣言しました。

その後、ソマリアでは国連やアフリカ連合の介入を経て、2012年に新たな政治体制が発足しましたが、現在も武装勢力による攻撃が続くなど、非常に不安定な状態にあります。紛争や政治的不安の影響で、人口の1割を超える200万人以上が国外に移住。世界各地にソマリア人のコミュニティが形成されました。筆者の住むウガンダにも、ソマリア人の居住地域があります。

こうした状況の中で、ソマリランドでは2001年に国民投票で憲法が制定され、大統領選挙や選挙による政権交代もおこなわれてきました。独自の政治制度が築かれてきた一方で、国として承認されてこなかった背景には、植民地から独立する際に引かれた国境線を維持するという国際的な原則があります。領土をめぐる武力衝突を避ける目的や、同様の独立要求が他の地域に連鎖する事態を防ぐ狙いがあるためです。さらに、国家としての承認は、各国が外交政策として判断するため、地域の安定や国際社会との関係など、政治的な要素も考慮されます。こうした事情から、ソマリランドは長くどの国からも国家として承認されてきませんでした。

イスラエルがソマリランドを承認した背景は?

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ソマリランドとパートナーシップを構築し、農業、医療、技術分野での協力を直ちに拡大する意向だと述べています。

一方、イスラエルの承認後におこなわれた国連安全保障理事会の会合では、ソマリアをはじめ、エジプト、トルコ、ジブチなど周辺国の外相が、イスラエルの決定を非難しています。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Al Jazeera English(@aljazeeraenglish)がシェアした投稿

ソマリアでは、数千人のデモ参加者が集まり、承認に抗議しました。承認はソマリアの主権や独立に反しているとする声も多いようです。

 

この投稿をInstagramで見る

 

PUMZI HUB AFRICA(@pumzihub)がシェアした投稿

イスラエルにとって今回の承認は、紅海地域での影響力を高めるための戦略的な判断だとする見方もあります。この決定がどのように周辺地域に影響するか、今後の情勢が注目されます。

References:
日本経済新聞「イスラエル外相、ソマリランド承認後初訪問 大使館開設へ」
BBC「Somalia country profile」
The Guardian「Israel becomes first country to recognise Somaliland as sovereign state」
Worldometer「Somalia Population 」
Danish Refugee Council「Somali Diaspora」
Britannica「Six-Day War」
ABC「The strategic plays that may have driven Israel’s recognition of Somaliland」

Text:Hao Kanayama

SNS Share

Twitterのアイコン

Twitter

Facebookのアイコン

Facebook

LINEのアイコン

LINE

Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

View More