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高校生ラッパーが歌うのは「未成年が選挙立候補者を応援できない不条理」。等身大のリリックで政治を語る【ISSHIN・18歳】

高校生ラッパーが歌うのは「未成年が選挙立候補者を応援できない不条理」。等身大のリリックで政治を語る【ISSHIN・18歳】

「気になる10代名鑑」の1191人目は、ISSHINさん(18)。学校の校則への違和感から、未成年の選挙活動規制まで、民主主義をテーマに歌うラッパーとして活動しています。自分の気持ちに嘘をつかず、等身大の表現を続けるISSHINさんに、ラッパーになるまでの歩みや、これからの展望について聞きました。

ISSHINを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

ラッパーとしての音楽活動と、未成年者の選挙運動禁止の規定に関する訴訟などの政治的な活動です。

2024年に、地元である尼崎市で音楽の力で選挙を盛り上げる『尼崎democracy』というイベントに参加して。若者たちに投票を呼びかけるステージで高校生ラッパー『ISSHIN』として出演しました。ぼくにとって、音楽と政治は分かれているものでなく、どちらも自分の声を社会に響かせるための大切な手段になっています。

ですが、政治を伝えるためにラップをしているという感覚はなくて。ラップをするなかで自然と自分の実体験や考えがあふれ出してくといった感じですね。例えば、中学生時代に感じた校則や選挙制度への違和感のような、実際に肌で感じてきたことを等身大の姿でリリックに落とし込み、表現しています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

板書が苦手だったり、人とのコミュニケーションでしんどい思いをしたりしてきた時代がありました。

小学校5年生のときに発達検査を受け、自閉スペクトラム症(ASD)や学習障害があることが発覚して。中学時代は、納得のいかない校則に対して声を上げても、大人たちから十分に納得できる説明をしてもらえず、疎外感を抱えていたんです。そんなときに出会ったのが、ラップでした。

YouTubeでMCバトルを見て、ラッパーたちがステージで誰にも遠慮せず、言いたいことをぶちまけている姿に、『こんなに自由に、好きにやっていい場所があるんだ』と救われて。

特に、変態紳士クラブの『好きにやる』を聴いたときの衝撃は忘れられません。『肩を緩めて自由にやりな お前の人生なら好きにやれってな』という歌詞が、稲妻のように体を走りました。自分の言葉で生き方を語るその姿に強く惹かれ、どんどんラップの世界にのめり込んでいきました」

Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?

ラップのスタートは、中学2年生のとき、ひとりで大阪・心斎橋のアパレルショップへ向かったことです。

そこには、憧れのラッパー・CIMAさんが働いていて、震えるほど緊張しながら扉を開けました。『ラップをやりたいです』と伝えると、CIMAさんはぼくに一冊のノートを渡して『ここにリリックを書いてこい』と。1週間後に持っていくと、赤ペンを入れながら、リズムや韻について丁寧に教えてくれました。

実は、政治活動のスタートもまったく同じ時期です。ツーブロック禁止などの校則への違和感から、『おかしくないですか?』と校長室をノックしたのが最初の一歩。そこから、尼崎市のユースカウンシル事業『UP TO YOU!』への参加や、現在おこなっている『18歳未満にも選挙で応援する自由を』の訴訟へと発展していきました」

Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?

高校2年生のとき、日本の民主主義を変えたいとデンマークへ留学して、若者の政治参加のために行動する社会活動家の能條桃子さんと出会ったことです

当時のぼくは、選挙で応援したい候補者がいるなかで『未成年だからSNSのいいねも禁止』という規定に理不尽さを感じ、声を上げていた時期でした。能條さんは、ぼくのSNSを見て弁護士さんへと繋いでくださり、そこから未成年者の選挙運動禁止の規定に関する訴訟の活動がスタートしました。能條さんとの出会いが、いまの裁判というアクションに繋がっています。

もうひとりは、先ほども話した弟子入り時代にお世話になったCIMAさんです。自分の発達検査の経験や葛藤を歌詞にしたとき、『これこそがお前の曲だ』と肯定してくれました。その言葉は、いまもぼくの大きな支えになっています」

Q5. 将来の展望は?

民主主義を歌うラッパーとして、その熱狂を体現し続けたいです。

世界中を旅しながら音楽の力で選挙を盛り上げ、地域から熱狂を生み続けながら、曲を作りたいと考えていて。 さっそく、3月からはフィリピンに4ヶ月間留学します。

アルバイト先でネパール人やミャンマー人の仲間たちができ、日本で暮らす外国人が生きやすい世界になればいいなと思うようになりました。今度は、ぼく自身が言葉も通じない場所で『外国人』として生きることで、彼らが生きやすい社会を作るためのヒントを得たいと思っています。

被選挙権の引き下げや、選挙運動禁止の撤廃。やるべきことはたくさんありますが、これからも自分に嘘をつかずに等身大の生き様を歌に乗せて、法律も国境も境界線も、すべて越えて届けていきたいです」

ISSHINのプロフィール

年齢:18歳
出身地:兵庫県尼崎市
所属:兵庫県立西宮香風高等学校
趣味:さらば青春の光YouTubeをみること
特技:柔道
大切にしている言葉:等身大であること

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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

10代名鑑ディレクター兼ライターとして、2024年1月にSteenzへjoin。東京と伊豆の二拠点で活動中。インタビューを中心とした記事をはじめ、学生、スタートアップ企業、まちづくりの現場まで多方面で活躍。

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