
「気になる10代名鑑」の1171人目は、木鼓さん(19)。ジャンルにとらわれず、伝統的な先人の知恵を活かすべく、デザインを学んでいます。島根県温泉津の「Mujun Planet」でインターンをした経験が価値観に影響を与えたと語る木鼓さんに、印象的な出会いや将来の展望を聞いてみました。
木鼓を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。
「いまは漠然と、デザインに力を入れています。
きっかけはカナダの高校に転入したことでした。そこで、改めて日本の伝統ってすごいなって実感して、そこからデザインへの興味が本格的に深まりましたね。
いまは、デザインで海外大学を受験中なので、その課題として、たとえば『壊れたものと対話する』というテーマで破れたふすまを使ったデザインを考えました。ふすまのことを普段意識することは少ないですが、デザインを通して向き合うことでふすまについて深く知ることができました。デザインを通して世界の解像度を上げることが、わたしの創作活動の動機になっています」
Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「普段はあまりテーマは意識していないのですが、あえて言葉にするならば、『自然の一部であるわたしたちのデザイン』になるのかもしれません。
テクノロジーが発達していなかった時代に、自然の力を利用しながら試行錯誤して生きてきた人たちがいて、いまはそれを取り戻す時代が来ているんじゃないかと思うんです。現代の生活は、自然から切り離されていて、何でも既製品に頼りすぎていると感じます。
原点回帰して、先人たちの知恵から学べることがあるんじゃないかと模索中です」

Q3. 自身のクリエイティブに影響を与えたものは?
「島根県温泉津に山を買い、そこで里山の生活を取り戻し誰もが職人になれる『Mujun Planet』と呼ばれる村づくりをしているデザイナー小林新也さんとの出会いです。
父がもともと知り合いだったこともあり、インターンとしてお世話になって。『Mujun Planet』のコンセプトは、里山文化を復活させて地方にある職人文化を再構築させることです。このインターン期間でとても影響を受けました。山を見ていると、全部が資源に見えてくるんです。木とか薪とかを拾えば火になるし、水道が通っていなくても山の水で生活ができるし……。わたしにとって大きな経験になりましたね」

Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「熊本県の小国町で開催された小さな芸術祭で、地元の川のマップを作ったときに出会ったおじいさんは忘れられません。
出会ったとき、ちょうどおじいさんは川で手作りの機械を使って銀杏を洗っていて。その仕組みが気になって話しかけたら、おじいさんが『芋車だよ』と教えてくれました。川の流れをそのまま利用した、素朴で賢い仕組みでしたが、当人は『どこにでもあるよ』と言っていて。
その一言を聞いて、自然と共存していく知恵っていっぱいあるんだろうなと感じたんです。と同時に、そういうものが消えていくのが悲しいなって。日本人の大半はそのすごさに気づいていないんじゃないかなという危機感が、いまのデザインへの興味につながっているのかもしれません」
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Q5. 将来の展望は?
「ヨーロッパの大学を受験中なので、まず大学生時代は海外でデザインを学びたいです。いつかは日本に戻ってくるつもりですが、日本と海外をデザインの力でつなげたいですね。
自分の足で地方や海外に行って、眠っているデザインを発掘して光を当てられたらなとも思っています。既存のデザインをどう現代に持ってくるかを考えていきたいです。たとえるなら、キュレーションに近いイメージだと思います。その過程で、自分でデザインを考えることもあるのかもしれません」

木鼓のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県
趣味:音楽を聴く、映画鑑賞
特技:水泳
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Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






