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競うのではなく、「みんなの大切」を大切にする。出会いの一つひとつから自分なりの世界平和を広げる大学生【コスモ・19歳】

競うのではなく、「みんなの大切」を大切にする。出会いの一つひとつから自分なりの世界平和を広げる大学生【コスモ・19歳】

「気になる10代名鑑」の1143人目は、コスモさん (19)。武蔵野大学ウェルビーイング学部で学びながら、7人制サッカー・ソサイチサークルの運営や地域実習で訪れた気仙沼での企画から、学びと現場を行き来しています。「わたしの大切にしたい人の“大切”を大切にする」という言葉を胸に歩むコスモさんに、その理由と原点となったエピソードについて聞いてみました。

コスモを知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?

「『これが自分の活動です』と言い切れるものは、まだありません。

けれど、いまの自分にとっては、所属する武蔵野大学ウェルビーイング学部の仲間と動く時間そのものが、大切な活動になっています。学部教員であるカズさんと企画をつくる『カズプロ』、立ち上げに関わったソサイチサークル、地域実習で訪れた気仙沼での企画などそこで過ごす時間が自分をつくっていると感じています。

ソサイチとは、7人制サッカーのこと。競技というよりも、世代や属性を越えて対話が生まれる“つながりの媒体”として大切にしています。園児向けのサッカー教室を開いたこともあって、そのときは、大きなボールを使って誰でも参加できる場をつくりました。

活動のたびに、仲間が『それって本当にコスモがやりたいこと?』と問い返してくれて。それは、内側に矢印を向け直す機会になっていると思います」

Q2.その活動をしようと思ったきっかけは?

「学部の友人が口にした『“大切”を大切にする』という言葉に、心が大きく揺れました。

それまでは、自分をどう見せるかとか、評価されやすい役割はどれだろう、みたいなことに意識が向きがちでした。でも、この言葉を聞いたときに、『自分の大切にしたい人は誰で、その人たちが大切にしているものって何だろう?』と考えるようになったんです。

そこから、“誰かの大切”に触れられる場に、自分から飛び込むようになりました。 学部のみんなが場に出してくれる言葉は、繊細で、美しくて、その一つひとつに影響を受けるたびに、いまの自分が更新されていく感覚があります。

発見に出会って、モヤモヤに出会って、またそれを乗り越えるヒントをもらう。その循環の中で、『仲間と過ごす時間そのものが、自分をつくっている』と実感するようになって、いまの活動へとつながっていきました

Q3.活動を始めるときに、最初におこなったアクションは?

入学したばかりのころのわたしは、かたちや成果ばかりを追いかけていました。

『リーダーでいること』『わかりやすい肩書きを持つこと』に価値を感じていて、目の前にいる人を大切にすることを取りこぼしていたと思います。

転機になったのは、学部で繰り返し行われていた対話の場でした。『今日は何が心に残った?』『本当はどうありたい?』と話す時間がよくあって、そのたびに自分の内側を言葉にすることに向き合えたんです。

そこではじめたのは、みんなが自分にしてくれたように、『相手が大切にしているものを聞きに行くこと』をはじめてみて。たとえば、ソサイチサークルでも、いきなり練習を始めるのではなく、『なんでここに来ようと思った?』を一人ずつ話してもらう時間をつくるようにしました」

Q4.活動を続ける中で、印象的だった出会いや出来事は?

「気仙沼での共同生活で、疲れていて家事を後回しにしてしまった日、シンクに食器が溜まったままになってしまったことがあったんです。たったそれだけのことなのに、朝の空気が少し重くなっていたり、誰かが余計に負担を抱えていたりして、自分の些細なふるまいが、場全体の居心地に影響してしまうことに気づいて。

そこからは、『みんなが居心地よくいられるには、どんなふるまいを選びたいか』をより考えるようになって。競い合うことだけが大事なのではなくて、みんなの大切をわかろうとし続けることを、大切にしたいと思うようになりました」

Q5.今後の展望は?

「わたしの夢は、世界平和です。

といっても、遠いスローガンのような世界平和ではなくて、わたしの大切にしたい人の“大切”を大切にする人が増えていく状態のことだと思っています。

自分の信念となるものに気づき、それを言葉や行動で表現していく。その世界観に共感してくれる人が集まり、『コスモの世界の住民』が少しずつ増えていく。やがて、そこからまた新しい輪が広がっていって、誰かの笑顔や心のゆとりとして返ってくる。そんな共創の風景をつくりたいです。

サッカーや対話、地域での実践を通じて、居心地のよい場をていねいに増やしていくことが、いまの自分にできる一歩だと思っています

コスモのプロフィール

年齢:19歳
出身地:福岡県生まれ(愛媛・大阪・岡山を経て)
所属:武蔵野大学 ウェルビーイング学部/武蔵野大学ソサイチサークル/カズプロ
趣味:サッカー、ライブ、旅行、対話、散歩
特技:直感と違和感、歯笛

Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura

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SawamuraTaisei

ライター

青山学院大学文学部在学中。 構造化と言語化をこよなく愛する21歳。 趣味は小旅行で、夏には瀬戸内うさぎ旅を決行。 12球団本拠地制覇と47都道府県制覇を目標に日々歩みを進める。

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