「気になる10代名鑑」の1129人目は、伊藤愛菜さん（19）。防災普及活動をおこなう学生団体の副代表として、防災をより身近に感じてもらうための活動をしている大学生です。東日本大震災の被災地での出会いや人との関わりが活動の原動力だと笑顔で語る伊藤さんに、活動のきっかけや将来の展望をお聞きしました。
伊藤愛菜を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は？
「防災普及学生団体『Genkai』の副代表を務めています。
『Genkai』は、防災をもっと身近に感じてもらえるようなイベントを企画・運営をしていて、高校生から大学生まで現在は総勢75人が活動しています。団体に入って最初のイベントでは、湘南江の島モノレールでの非常食の展示や、防災無線がどこまで届くのか、実際に無線を使って検証をしました。
今年で所属4年目になりますが、防災を『かたいもの』ではなく、『身近なもの』として届けることを大切に活動しています」
Q2. 活動を始めたきっかけは？
「高校時代の友人が元副代表だったんです。そのつながりから元代表から『人手が足りないから手伝って』と声をかけてもらいました。
もともと防災にはあまり興味がなかったのですが、小学校でおこなった防災運動会で子どもたちと楽しく防災を学ぶ体験を通して、防災の大切さや面白さに気づいたんです。それで、自分も団体の一員として活動したいと思うようになりましたね」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は？
「東日本大震災をきっかけに行っている東北支援では、現地を訪れて学生さんや地域の方々と交流し、防災や復興への思いを直接学ぶことができました。
『夢団』という岩手県釜石市の防災・復興活動団体とつながることができて、同世代の語り部の話を聞いたり被災地をいっしょに歩いたりしたんです。自分たちがそれまで何気なく歩いていた町で、『ここでこういうことが起きたんだよ』など教えてくれたり写真を見せてくれたりして。
あと、被災地では『町の復興は進んでいると報道されるけれど、心の復興はまだまだだよ』という言葉をよく耳にしました。被災の記憶なので、深くは聞けなかったのですが、震災のトラウマの傷はまだ癒えていないという意味なのだと、わたしなりに理解して。それでも、現地の同世代の子たちは『わたしたちには聞いても大丈夫だよ』と言ってくれたんです。そういうつながりができたことは、嬉しかったですね」
Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「同年代への防災意識の広げ方です。
小学生向けの講習だと、楽しみながら学んでくれる子が多く手応えがあるのですが、同世代と話していると『自分には関係ない』と感じてしまうことも少なくありません。特に首都圏では大災害の記憶があまりなく、住んでいなければ分からないこともあるんだなと被災地訪問などを通して感じました。
ただ、同世代への発信ではSNSの活用に手応えも感じています。鎌倉の花火大会の警備を団体として依頼されたときに、『もし花火大会中に災害が起こったらどうやって逃げる？』という動画を作成しました。そうしたら、それがかなりバズって。自分たちが実際に出演して直接言葉を伝えるほうが、思いも伝わりやすいのかなと感じています」
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Q5. 将来の展望は？
「まだはっきりとした将来の夢は決まっていませんが、どんな世代の人とも関わりながら、誰かの力になれる仕事がしたいと思っています。
メディア関連の仕事について防災意識を高めたり、災害対策を広報活動などを通して進めたりするのもいいななんて考えています。わたしは人と関わることが好きなので、それを活かして同世代や高齢者など幅広い世代に『防災への意識向上』や『逃げるのを諦めない』気持ちを伝えていきたいです。
団体のモットーである『好き×防災』を大切に、誰もが楽しく防災に触れられる社会にしていきたくて。防災はかたいイメージがあるけれど、個人の好きなこととかけあわせることで、もっと身近で前向きなものにしていきたいですね」
伊藤愛菜のプロフィール
年齢：19歳
出身地：神奈川県鎌倉市
所属：日本大学法学部
趣味：野球観戦、ピザを食べること
特技：バスケ、スノーボード
大切にしている言葉：感謝
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Photo：Nanako Araie
Text：Haru Ninagawa
