Fashion&Culture

世界観を、どう届けるか。服の本当の完成まで。【KANEIができるまで】

世界観を、どう届けるか。服の本当の完成まで。【KANEIができるまで】

世界観を写真に託す——ルック撮影という入り口

最新の服をモデルに着せ、スタイリングを組み、カメラの前に立たせる。コレクションブランドにとって、この「ルック」を撮ることは避けて通れません。ここで初めて、シーズンの世界観やブランドのコンセプトが「写真」というひとつの表現に結晶していきます。

若いブランドであるKANEIにとっては特に重要です。ブランドをまだ知らないバイヤーやメディアにとっては、「この写真を見て展示会に足を運ぶかどうか」を判断する大きな材料になるからです。だからこそ、どこを強調し、どんな空気を伝えるのか。その一点に集中しながら、撮影チームと共有し、形にしていきます。ヘアメイク、スタイリスト、カメラマン、モデル……それぞれのプロフェッショナルが視点を持ち寄り、ブランドの想いをどう増幅できるか。その現場は、緊張感と高揚感が入り混じる瞬間です。

届けるための最初のかたち

撮影したルックは、すぐにルックブックや展示会資料へと編集されていきます。それは単なる写真集ではなく、「ブランドの入り口」として、バイヤーやお客様に最初に届くかたち。展示会に来ていただくための案内状であり、個人オーダーを検討していただくための道しるべでもあります。

「見てもらうためにどう整えるか」──そこにもまた細やかな判断と工夫が求められます。

展示会という対話の場

そしていよいよ展示会。

シーズンごとに用意した服を並べ、空間を整え、バイヤーやメディアの方々を迎える。そこは単なる「商品発表の場」ではなく、服を通じた対話の場だと感じています。

展示会では、実際に服に触れていただきながら、その背景や想いを直接伝えることができます。反応を見ながら話を深めることで、自分が気づいていなかった服の魅力や可能性が浮かび上がってくることも少なくありません。

展示会を終えて

展示会が終わると、オーダーが確定し、次のシーズンに向けた準備が始まります。そこで感じるのは、展示会がゴールではなく、むしろスタート地点だということ。

服はつくって終わりではなく、人に届き、着られることで初めて完成していきます。そのためのプロセスが展示会であり、ルック撮影であり、すべてが「誰かに届けるための橋渡し」なのだと思います。

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Kanei Yamaoka

デザイナー

2002年、岐阜県生まれ。 幼少期から創作活動に没頭し、16歳でアートピースの鯉のぼりブランドを立ち上げる。京都の染色職人とともにものづくりを行った経験から、生地や染めに興味を持ったことからファッションの道を志す。 文化服装学院に進学し、在学中はコレクションブランドでのインターンを経験。その間に、手掛けた鯉のぼりのアートピースがGOOD DESIGN NEW HOPE AWARDを受賞し、KITTE丸の内での大規模展示やPaul Smith氏への贈呈を果たす。 2024年に文化服装学院を卒業すると同時に、東京都主催のNext Fashion Designer of Tokyo 特別選抜賞を受賞。2025年秋冬シーズンより、自身のブランド「KANEI」をスタートさせる。

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