Fashion&Culture

プロの出店不可、だから面白い。中目黒のローカルフリマで出会った、心ゆるむTシャツたち【東京フリマ事情】

プロの出店不可、だから面白い。中目黒のローカルフリマで出会った、心ゆるむTシャツたち【東京フリマ事情】

―誰かが手放したものは、誰かの宝物になる。

フリマで出会うアイテムってそれぞれにストーリーがある。服のシミやほつれから、前の持ち主の生活がわかったり、ハンドメイドのアイテムから、作り手の人柄や想いを感じたり……。そんなビハインドを想像したら、そこで出会ったモノをもっと大切にできる気がする。

そして何より、フリマって”宝探し”そのもの。

無造作に積まれたアイテムの中から、お気に入りを見つける瞬間がたまらなく気持ちいい。古着屋やリサイクルショップもいいけれど、トレンド関係なく、ジャンルや出展者も多種多様なフリマから、自分だけのお宝を探したいんです!

気取らないフリマの、気取らない古着

中目黒の駅から少し歩いた場所で、のんびりと開かれていたのは、出店者もお客さんも、ゆるくつながるローカルなフリマ。川沿いの広場のような空き地に、小さなシートがぽつぽつと並ぶその光景は、まるで町内のお祭りみたいで、すこし懐かしい気持ちになった。

「プロ不可」の貼り紙のとおり、並んでいるのは、暮らしの中で手放されたものたち。洋服もあれば、世界一周で集めたという陶器もあって、その人の暮らしを覗き見しているみたいでなんだかワクワクしてしまう。

出店数も15店ほどとだいぶこぢんまり。でもその分、会話も距離も近いのがすごく暖かくて安心感がある。

それではいざ、中目のローカルフリマをディグってみる。

”ピスタチオゴリラ”

ひと通り見てまわって、目に留まったのはいかにもセンス抜群なお姉さんのシート。「ここには絶対、何かある」って、直感は意外と当たる。しかも並んでいるアイテムは100円、300円、500円。むしろこっちが申し訳なくなるくらいのプライス。この価格設定は大分嬉しい。300円の山を軽くディグってたら、不意にゴリラと目が合った。

「え、なにこのTシャツ」

センス抜群なお姉さんがこんなシュールなTシャツを持ってるっていうギャップに、まずやられる。しかもピスタチオみたいなヅラをかぶったゴリラ。プリントの切り抜きも妙に雑で、そのチープさが逆にグッとくる。

たとえば、通勤中にこのTシャツを着た誰かを見かけたら、くすっと笑えて、なんだか少し気持ちもラクになる気がする。心をほぐされるようなちょっとのユーモアこそ、シュール系プリントTの魅力のひとつだよね。

前面にシミがあるけど、それもご愛嬌!ゴリラの可愛さと小さなシミを天秤にかけたら、ぶっちぎりでゴリラの優勝だ。開始5分でこのテンション。まだまだお宝の匂いがぷんぷんする。

チェックポイント

✅️プリント技法の違いを見分ける
・染み込み、ラバープリント、インクジェット、パフプリント(発泡)などで風合いや経年劣化が変わる。
90s以前のものは染み込み系が多く、着込むほど味が出る。インクジェットは2000年以降に普及した。

✅️グラフィックの「チープさ」がリアルか演出か
・フォントの配置や画像の切り抜きが雑すぎる場合、本物のデザイナーじゃなく、家庭用プリントTの可能性も?そのDIY感が大量印刷っぽい均質さとの違いが面白い!!

なかなか出会えない、コットンサッカーT。

次に出会ったのは、綺麗な色をしたベルギーのサッカーユニフォーム。ユニフォームって、ツルッとしたポリエステルのイメージが強いけど、これは厚手のコットン。しっかりしてて、街着としてもちょうど良い。

「それ、ベルギー代表の古いやつなんだよ〜」って話しかけてくれたお姉さん。「でも、生地コットンですよね?」と聞くと、「そう、サポーター向けのやつ。昔ベルギーにちょっと住んでてさ」と笑う。

聞けば、お姉さんがワーホリで滞在していたブリュッセルにあるスタジアムで、ルームメイトが買ってくれた一枚。「サッカーのルールは知らないけど、このTシャツをみると、ベルギーの街の匂いとか湿った空気を思い出すんだよね」とのこと。

そんな話を聞いたら、このTシャツが一気に絵葉書みたいに見えてきた。

着れば着るほど味が出るコットン特有の質感のおかげで、すでにサマになってる一枚。色褪せも生地感も、そのまま大事に着たい。色落ちデニムとワークブーツでボーイッシュに着飾るのも、スカートにバレエシューズで、あえてのスタイリングも楽しそう。

チェックポイント

✅️チームロゴや紋章のマイナーチェンジ年
RBFA(ベルギー代表)のロゴは時代で王冠の形や配色が変化している。公式記録と照らし合わせて「お、これは○○年のサポーターモデルかも」と気づけると楽しいかも!

✅️アジア圏でのリリース有無をチェック!
ヨーロッパのサポーターTはアジア圏で流通してない場合が多く、フリマで出てきたらかなりレア!買うしかない!

✅️洗濯タグ・内タグの表記でストーリーを辿る
コットンのユニフォームには、イベント名・大会名がタグに刻まれていることも。
「UEFA」や「Road to Qatar」みたいな文字があると、いつ・どんな文脈で作られたかが掘れるはず。

色で遊ぶなら、こんな一枚。

最後に出会ったのは、オレンジがまぶしいベースボールTシャツ。出店していたのは、どこか親しみやすいお母さんのような雰囲気の女性で、「これ?ああ、旦那のタンスから出てきたの〜」と笑っていた。

Tシャツにプリントされているのは、選手たちのハイタッチを切り取った連続写真のようなデザイン。スポーツ系だけど気合も威圧感もなく、ゆるくてちょっと楽しげで、それが逆にかっこいい。

それにしてもこのオレンジ、いい色。着てるだけで、無理にでも元気が出ちゃいそう。スポーツに疎くても、ただ「色」で選んだっていい。むしろ、よくわからないくらいの距離感のほうが、かえって自由に楽しめる気がする。

プリントもどこか懐かしいタッチで、擦れすぎず、擦れなすぎずの完璧な色褪せ具合が見た瞬間に「これ、着たいな」って思わせてくれる。

色落ちデニムにタックインして90sストリートっぽく着てもいいし、逆張りしてカラーパンツと合わせてしまうのも上級者。

チェックポイント

✅️褪せた蛍光色は当時モノの証
・90年代〜00年代初頭はこうした発色の良いボディカラーが多く使われていた!褪色の仕方がナチュラルなら、それは年代物の可能性あり!

✅️連続写真プリントはレアなジャンル
・MLBや大学チームの中でも、選手の動きをコマ送り風に表現したデザインは珍しく、ファンでなくても惹かれるデザイン。ユニークで可愛いので一枚あると気分転換になるよ。

戦利品スタイリング

たくさんのお宝に出会えた私たち。お気に入りのTシャツたちは、すでにクローゼットの中で新しい居場所を見つけている。

また週末、あのわくわくを探しに行こう。

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yu tanoi

ライター

2004年1月1日生まれ、東京都出身。ダンスやサーフィンなどカルチャースポーツに長く慣れ親しんできた。

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