
「気になる10代名鑑」の987人目は、大神祐理さん(19)。コントラバス奏者として、フィリピンの子どもたちに音楽を届ける活動をしています。曲のフレーズごとのイメージを届けられるように演奏しているという大神さんに、フィリピンでの経験や将来の展望について聞いてみました。
大神祐理を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「セブンスピリットというNPO法人主催の音楽ボランティア『フィリピンの子どもたちのためのオーケストラプロジェクト(UUU)』に、大学1年生の夏から参加しています。
UUUは、フィリピンの子どもたちに生の音楽を届けるオーケストラです。わたしはコントラバス奏者として、フィリピンで子どもたち向けに音楽教室を開催したり、ショッピングモールで子どもたちといっしょにコンサートを開いたりしています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「家族の音楽好きの影響で、『音楽ってかっこいい』と漠然と思うようになりました。星野源の曲が好きなのですが、悲しいときに『元気出して!』ではなく『そうだよね、悲しいよね』と悲しみに寄り添うこともできるのが音楽の魅力だと感じています。
コントラバスを始めたのは、中学生のころ。室内楽部に入って、数ある楽器の中でもその低音の魅力にひかれて、始めました」
Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「フィリピンの子どもたちといっしょに開催したコンサートです。
音楽に触れることが当たり前ではない子どもたちが、楽器を見ただけで『なにこれ?』と目をきらきら輝かせていて。その笑顔を見て、わたしがいかに恵まれているか気がついたんです。
UUUの音楽教室に参加している貧困地区出身の子どもたちは、普段はガードマンに止められてしまって、会場のショッピングモールに入ることすらできません。コンサートを開催したときは、特別に入ることができるんです。そんな場所で、子どもたちと音楽を届けることができて、感動しました」
Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?
「曲のフレーズのイメージや色を考えながら弾くようにしています。
コントラバスは曲のベースを担う楽器だからこそ、曲のイメージを持つことが大切です。
フィリピンでコントラバスを演奏したときは、客席の子どもたちとアイコンタクトをしたり身体を揺らしてリズムを取ってみたり。その場の臨場感や曲の雰囲気を感じ取ってもらえるように工夫しました」
Q5. 将来の展望は?
「音楽で地方活性化に貢献できるようなプロジェクトを考えてみたいです。
小学校入学前まで徳島県に住んでいて。そこは、近くのスーパーが車で1時間くらい山を下りた場所にあるような山奥でした。
引っ越してからも、柚やすだちを送ってもらったり家族でときどき帰省したりしていて、そういうつながりを通して地方の魅力はひとだと思うようになって。だから、地方のために、自分の好きな音楽で貢献する方法を模索中です」
大神祐理のプロフィール
年齢:19歳
出身地:茨城県つくば市
所属:国際基督教大学、ICU LAMBS
趣味・特技:歌うこと、野球観戦、オードリーのラジオを聴くこと、旅行、書道、料理
大切にしている言葉:迷ったらやる
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa