
「気になる10代名鑑」の995人目は、篠原一騎さん(17)。声にならない声を拾い上げるため、政党へのロビー活動や街頭演説など、幅広く発信活動を続けています。直近では政治団体を設立したという篠原さんに、活動のきっかけとなった幼少期の経験や活動を通して目指すヴィジョンについて聞いてみました。
篠原一騎を知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「政治家や政党へのロビー活動をしています。
ロビー活動とは、実現してほしい政策について交渉し政策決定に影響を与える活動のこと。特に、若者の政治参加、貧困、障がい者政策のテーマを大切にしながら、国会議員との意見交換や提言書の提出に励んでいます。
さらに、トークショーやシンポジウムなどのイベントに登壇し、選挙や地方自治について、マイクを片手に自分の意見を発信しています。
先日、わたし自身を代表として、『未来共創(きょうそう)の会』という政治活動を行う団体を立ち上げました。今後地元を中心に交流会などを開催していき、地域の課題感を取り入れるようにしていきたいです。政治家のみなさんにも、その課題感を届けることで、政治と生活の橋渡しがしたいです」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「幼少期から、家族が障がいを持っていたことが理由で、周囲からからかわれることがあって……。さらに貧困で精神的に不安定になりつらい不登校も経験しました。『早く寿命が尽きて欲しい』『今すぐ消えてしまいたい』と思うことも多かったです。
でも、そんなときにこそ、行政の公共サービスの存在がすごく心強かったんです。誰のどんな人生でも、『自己責任』という言葉では片付けられないようなことが起こりうる。だからこそ、政治が社会の基盤となって、行政のサービスが当たり前にみんなの手に届くようにならないといけません。
そう思ってはじめて自分で企画した政治の講演会が成功して、政治の世界に足を踏み入れました」
Q3.活動で大切にしていることは?
「支えてくれるひとの存在を忘れず、どんな声にも耳を傾ける姿勢を大切にしています。
自分は、年齢を理由にせず、真摯にひととの対話を重ねていくことが政治では何よりも大切だと思うんです。大それた政策を考えることから始めるのではなくて、まずはひとと向き合い対話することを諦めないでいたい。自分も声をあげたいし、周りにも声をあげてほしい。そしてその声が届く社会であってほしい。この姿勢とヴィジョンを持ち続けたいです。
実際に、イベントに登壇し、自分の言葉で思いを伝えると『あなたの言葉に圧倒された』『希望が持てた』と、わざわざ連絡をくれるひとがいるんです。自分が目指す社会に一歩ずつ近づけている気がして、とても嬉しい瞬間です」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「『消えたい』と思うひとのいない社会をつくりたいです。
いま、日本では自死は、10〜30代の若者の亡くなる原因の1位となっています。これからを生きるみんなが、将来に希望を持てない国では意味がないと思うんです。『この国で一番偉いのはあなただ』と自分は声を大にして言いたいです。
全てのひとが未来に希望を持って生きることのできる国にするため、政治の力を使って自分のできる行動を続けていきたいです」
Q5.将来の展望は?
「リアルな声を届けることのできる政治家になることです。
これからの政治は、投票をするだけでなく政治家を“育てる”時代だと思っていて。国民1人ひとりがもっと政治について気軽に語れるようになる時代をつくりたいです。
政治について語り始めると、周囲からけげんな顔をされることがあります。でも、政治って、実はいのちに直結していて、タブーな話題なわけではないんです。
だからこそ、自分はその先頭に立って、声を上げやすい雰囲気づくりに貢献したいです」
篠原一騎のプロフィール
年齢:17歳
出身地:栃木県宇都宮市
所属:学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校、日本若者協議会、未来共創の会
趣味:総合格闘技、ラーメン巡り
特技:空気を「読まない」こと
大切にしている言葉:駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人
篠原一騎のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami