「気になる10代名鑑」の984人目は、森永理子さん（19）。社会課題に関心を持つ学生同士がつながるプラットフォームの構築を進めています。高校生の頃から食品ロスの課題に取り組んできた森永さんに、活動をはじめたきっかけや印象的な出会いについて、あれこれ聞いてみました。
森永理子を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは？
「大学生が社会課題の解決に主体的に関わるためのハブとして、一般社団法人UniConn（ユニコン）の立ち上げに取り組んでいます。
このプロジェクトは、大学で出会った仲間たちと始めたんですが、それぞれが異なる社会課題に関心を持っていたことから、学生同士がつながる場の必要性に気づいて。社会課題に関心を持つ学生は多いけれど、それぞれが個別に活動している現状に課題を感じて、つながりをつくることでより大きな影響力を生み出せると考えたんです。
この構想は『NIKKEI未来社会共創コンテスト』で最優秀賞を受賞して、今年7月には大阪・関西万博での発表も予定されています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは？
「きっかけは、高校2年生のときに取り組んだ食品ロスの課題でした。父が飲食店を経営していることもあり、実際に廃棄の現場を目にして強い衝撃を受けて。『この現実をなんとかしたい』と、声をあげられない自然の代弁者になることはできないかと行動を始めました。
そこから東京都主催の社会課題解決プログラムに参加して、6〜8人のチームで1年半にわたって、食品ロスや規格外野菜のアップサイクルに取り組みました。
さらに、社会課題全般に視野を広げていく中で、課題意識を持つ学生同士のつながりが弱いことに気づいて。そこで、別プロジェクトで校内改革案に取り組んだ仲間と共に、UniConnとして実現に向けてかたちにしているところです」
Q3.活動をする中で、印象的だった出会いは？
「高校時代、食品ロスの問題に取り組んでいたときに出会った、食品ロスジャーナリストの井出留美さんとの出会いが、とても印象に残っています。
一学生だった私の課題意識に対して、真剣に耳を傾けてくださって。自分が『正しい』と信じていたことも、主観に基づいていた部分があることに気づかされました。この出会いを通じて、自分のものさしを柔軟に変えていく大切さを学びましたね。
現在も、プロダクト開発や人件費、システム運営費など、実現性のある活動を進めていくうえでの難しさを日々感じています。足りない要素を一つずつ補うためにも、ときに自分のものさしを変えていきながら、地に足をつけて行動することを意識しています」
Q4. 活動するうえで大切にしていることは？
「自分も社会の一員であるという“当事者意識”を持つことを大切にしています。
たとえば食品の問題ひとつとっても、私たちの暮らしは自然や他者に支えられて成り立っていて、当たり前だと思っていることの多くが、誰かの努力によって可能になっていると実感しています。
そうした気づきの中で、学生の持つ課題意識が“夢で終わらないように”、社会に影響を与える具体的なアクションへとつながる未来をつくっていきたいと考えています。ひとりの小さな関心が周囲に連鎖して、大きな社会のうねりになる。その可能性を信じて、『できたかもしれない』を『実現できた』に変えていけるよう、活動を続けています」
Q5. 将来の展望は？
「まだ明確に職業や進路が定まっているわけではありませんが、環境問題の解決に貢献できるひとになりたいと考えています。
自然資源は有限であり、わたしたちの生活を支え続けている存在です。しかし、その『声なき声』が十分に尊重されていない現状に対して、強い危機感を抱いています。
でも、ただ理想だけを語るのではダメだと思うんです。課題の本質をデータで可視化して、制度設計やルールづくりに反映できるような仕組みが必要じゃないかと考えています。持続可能な社会を実現するために、行動と思考の両輪でアプローチしていきたいです」
森永理子のプロフィール
年齢：19歳
出身地：東京都世田谷区
所属：一般社団法人UniConn、シモキタカレッジ5期生
趣味：人の趣味に付き合うこと、カフェ巡り
特技：根拠のない自信を持つこと
大切にしている言葉：人生一度きり
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Photo：Nanako Araie
Text：Honori Kukimoto
