
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日比谷花壇が提案する新しい葬儀のあり方についてご紹介します。
葬儀業界にも大きな変化をもたらす2025年問題
日本では高齢化が加速しており、2025年には団塊の世代が75歳以上となることから、「2025年問題」が注目されています。地方の過疎化がさらに進むとされている上に、運送、建設、介護などの現場では人手不足が深刻化。その影響は国内の各所において、さまざまな形で表れてきています。
この問題は、葬儀業界も例外ではありません。多死社会の到来により、葬儀のニーズは高まっています。実際、経済産業省のデータによれば、2024年には国内で過去最高となる50万件以上の葬儀が行われました。高い需要がある一方で、葬儀業界はかねてからスタッフの人手不足に悩まされてきました。その上、葬儀に対する価値観が多様化し、大規模な葬儀を行う人が減ったことなどから葬儀会社の倒産も増加。業界は多くの課題に直面しているのが現状です。
今後もこの傾向は続くと予想されます。そのため、葬儀業界の企業は自らの強みを生かしながら、業界課題に取り組む動きを始めています。
日比谷花壇が提案するソーシャルグッドな葬儀って?
業界に関連した企業からも、ソーシャルグッドな葬儀の実現を目指す取り組みがおこなわれています。花や観葉植物、園芸用品の生産、販売、流通を担う花き業界のリーディングカンパニーである日比谷花壇もそのうちのひとつ。同社は「花とみどりを通じて、真に豊かな社会づくりに貢献する」という理念のもと、サステナビリティに配慮した事業活動を続けています。
花は、日々の生活に彩りを与えるだけでなく、入学や卒業、結婚、誕生日など、人生の節目にも欠かせない存在です。人生の終わりを彩る葬儀の場面でも、その装花技術を生かしながら社会に貢献するサービスを展開しようと、日比谷花壇は葬儀に関連した新たなサービスを相次いで社会に提案しているのです。
たとえば、従来の葬儀のやり方は、喪主や参列者の負担の大きさが課題となっていました。そのため、近年はごく親しい人だけを呼んでシンプルに葬儀を執り行う家族葬を選ぶ人も増えています。そうしたトレンドを踏まえて2024年10月にスタートしたのが『お別れの会 petit』です。これは故人を家族葬や直葬で送った後、友人や知人などを招いたお別れ会をおこないたいと考えている方に向けたサービスです。式の進行順序をなくし、参列者が開場中に自由に献花できる形式を採用しており、個人から企業まで気軽にお別れの会を開けるようになりました。
また、親族や参列者が共に故人を偲びながら祭壇などのフラワーアレンジメントを作る『みんなでつくるおそなえアレンジメントキット』も好評です。その背景には、日比谷花壇のサービス利用者の約67%が、葬儀の装花においてカタログの定型デザインから花材を変更するなど、オリジナルの花装飾で故人を見送っていたことがあります。
3種類のアレンジメントキットがあり、故人への思いや個性を自由に表現することが可能です。
さらに、葬儀業界の人手不足解消を目指して開発されたのが、葬儀社向け装花プレート「だれdemo供花」です。生花のアレンジメントが未経験でも、短時間で美しい菊の供花を作れる独自設計で、供花を作る作業の効率化と負担軽減を実現しています。また、従来の給水性スポンジを使わない設計により、コスト削減と環境負荷の軽減にも貢献しています。
日比谷花壇はこうした取り組みにより、心に残る葬儀とサステナビリティを両立したサービスを実現しているのです。
時代とともに変わる葬儀のあり方
かつての日本では、親族や友人、地域の人々が集い、自宅で通夜と葬儀を行って故人を見送ることが一般的でした。故人に「ありがとう」を伝える方法はその時代に合わせて変化していくもの。正解がないからこそ、柔軟にそのあり方を模索していきたいものですね。
Text:kagari
Reference:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」