
「気になる10代名鑑」の919人目は、けんけんさん(19)。多摩美術大学でプロダクトデザインを学びながら、工場地帯のような人間の持つパワーを感じる風景を、“光”に対するこだわりを軸に表現しています。小学生の頃、絵を描くことで周囲とつながれた経験をきっかけに創作を続けてきたというけんけんさんに、将来の展望についてなど詳しく伺ってみました。
けんけんを知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「高校卒業までに、自分が描きたいものを自由に描くことで作家性を育んできました。現在は多摩美術大学でプロダクトデザインを学びながら、さまざまな人と対話し、多様な意見を吸収し、より深く考えることを大切にしています。
以前は『何が正しいのか』に囚われがちでしたが、制作を続けるなかで、『周りのひとが好きなものは何か』考え抜くことで、結果的に誰かに寄り添えるような作品が生まれると感じるようになりました。同時に、自分が本当に好きだと思えることも大切にしながら、将来の仕事にもつながるようなデザインを模索し、日々課題に取り組んでいます」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小学生の頃、勉強や運動が苦手で自信を持てることが少なかったんです。そんななか、リメイク版の『宇宙戦艦ヤマト』に夢中になり、自由帳いっぱいに絵を描いていました。描いた絵を周りの人が褒めてくれるうちに、自分が絵を描くことが好きだと自覚すると同時に、得意でもあると感じるようになって。次第に絵を描くことが自分のアイデンティティになっていきました」
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Q3.どんなことをテーマに活動を行っていますか?
「僕が絵を描くときのテーマは、『人間の持つパワー』です。例えば、川崎の工業地帯に行くと、地平線まで広がる圧倒的な人工の風景に圧倒され、『人間ってすごい……』と感じる瞬間があります。
僕の作品では、そんな人間の創造力が生み出した光景を描いています。工業地帯の配管や煙突に対してネガティブな印象を持つひともいますが、僕自身はそれをそのまま圧迫的なものとして描くつもりはありません。
とはいえ、同じ風景を見ても感じ方はひとそれぞれ。だからこそ、鑑賞者が自由に解釈できるような余白を残すことも意識していることです」
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Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?
「絵や創作が誰にとっても自由で、強迫観念に囚われず楽しめるものであってほしいということです。
僕自身、こだわりが強いタイプだけど、それが必ずしも効率的なものではないんです。でも、そのおかげで『みんなが通り過ぎてしまうものに目を向けて拾える』と言われたことがあります。だからこそ、これからも『楽しい』という気持ちを大切にして、幼い頃にノートへ落書きしていたときのような、気ままな心持ちで描き続けたいと思っています」
Q5. 将来の展望は?
「将来的には、光に関するプロダクトを作りたいと考えています。
美大受験の際、デッサンを重ねる中で、すべての課題に共通して光の表現にこだわっていたことに気がついて。それ以来、光に対する感度が高まって、日常の何気ない景色の中にも自然と目を向けるようになったんです。
周りの美大生が特定のものに強いこだわりを持つなかで、僕はさまざまなものに興味がある人間なので、少し羨ましく感じることもありました。でも、自分には“光”という一貫したテーマがあると気づいてからは、それが自分の軸になっています。
光と聞いてまずは照明器具が思いつくと思うんですが、それだけじゃなくて、光の反射や透過、歪み、影の美しさに着目したプロダクトを生み出していきたいと考えています」

けんけんのプロフィール
年齢:19歳
出身地:広島県
所属:多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻
趣味:絵を描くこと
特技:絵を描くこと
大切にしている言葉:温故知新
けんけんのSNS
できたーー!!! pic.twitter.com/npE2CQTRcW
— けんけん@TAU (@Kenxxth2) September 11, 2024
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Photo:Nanako Araie
Text:Honori Kukimoto