
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、未来へ希望をつなぐ京都のサステナブルツーリズムの取り組みについてご紹介します。
改めて知りたい「オーバーツーリズム」
観光客が押し寄せ、地域の受け入れ許容範囲を越えてしまい、景観や自然などへの悪影響を及ぼすことを「オーバーツーリズム」といい、国内外で課題となっています。
実際、国内においても、コロナ渦が明けた後からインバウンド需要が順調に回復しています。大手旅行会社の調査によれば、2025年の訪日外国人数は、過去最高となった2024年を108.9%上回る4,020万人になると見込まれています。今年も各観光地に大勢の観光客が訪れ、中にはオーバーツーリズムの問題に頭を悩ませる地域も出てくるかもしれません。
そうしたなか、観光業界では経済的な利益だけでなく、地域への負担を考慮した持続可能な観光のあり方が求められています。
各地で観光税の導入や入場規制などの対策が進む中、京都でこの春スタートするサステナブルツーリズムの取り組みから、これからの旅のあり方を考えてみましょう。
「京都サステナブルツーリズム」とは
「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの新たな取り組みとして、オーバーツーリズムに配慮しながら、サステナブルな旅行プランを提案する「京都サステナツーリズム」をJR東海が今年2月に発表し、特設サイトが公開されました。
1,200年の歴史を持つ古都・京都の文化や伝統、自然をなど後世につなぐことを掲げた特設サイト内では、地域社会と旅行者が共に未来を見据えられる旅の形が提案されています。
たとえば、お寺と植物をテーマにした「【“蘭”に出会う寺・西来院】プラントハンター西畠清順トークショー」では、京都祇園の西来院のシンボルとなった「枝垂れもみじ」や「蘭」の植樹を行ったプラントハンターから植物の魅力を聞くことができます。
地元農家と交流しながら伝統野菜の収穫ができる「京都西山“大原野”の『京たけのこ』掘り体験ツアー」など、自然の中で五感を使う体験型プログラムも魅力的です。
また、市場に出回らなかった宇治茶の活用に着目したアートフラワーやアロマポットの制作体験に参加することもできます。宇治ならではの文化に触れ、楽しみながらSDGsに貢献できるため、新たなインスピレーションをもたらしてくれそうです。
その他にも、「紫式部とあるく京都」などのテーマ別特集や、定番の時間や交通手段をあえてずらして快適な旅を提案する「春の京都旅はずらして快適!」など、さまざまな切り口から京都のサステナブルツーリズム情報がサイト内に掲載されています。ぜひ、特設サイトをチェックしてみてください。
これからの旅のあり方を考える
訪れた土地の固有の文化や伝統、自然を皆で分かち合い、楽しむことが旅や観光のだいご味です。サステナブルツーリズムの広がりが、観光客と地域住民との分断を生むことなく、ポジティブにオーバーツーリズム解決へつながっていくと良いですね。
Text:kagari