
「気になる10代名鑑」の915人目は、中田結さん(18)。高校生を中心に平和について考えるゼミで、署名活動やデモに参加しながら、大好きな演劇にも力を入れています。将来は役者という職業を通じて、社会課題に関心を持ってもらうきっかけとなりたいと話す中田さんに、活動についてあれこれ聞いてみました。
中田結を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「『東京高校生平和ゼミナール』という、社会のさまざまな問題について学んだり行動したりする団体に入って、社会問題に対する署名運動やフィールドワークに力を入れています。
また、個人では、高校の有志メンバーで『どーする未来???』という団体を立ち上げて、校内で投票体験ができるイベントも企画・実施しました。年齢を超えて、社会に向けて発信したいメッセージを明るく前向きに発信できる、そのファーストステップになれば良いなと思って始めたんです。少しでも社会で起きていることを身近に捉えてもらえるきっかけづくりとなるよう、日々アクションを続けています」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「中学3年生のとき、毎日流れてくるロシアとウクライナの戦争のニュースをただ受け取るだけで、何も行動できていない自分に悶々としていました。それを周囲に話していたら、わたしが通う高校の卒業生のひとから『東京高校生平和ゼミナール』を教えてもらったんです。
ゼミでの最初の活動は、戦争に対するデモと署名活動でした。すべてが初めての経験だったので、右も左もわからず、終始緊張していて。でも、ロシアとウクライナへの周囲の思いや逼迫した状況を実感して……。そのときは思わず涙がでてしまうほど衝撃的な1日になりました」
Q3. 活動をする中でつらかったことは?
「署名活動は、通り過ぎるひとに足を止めてもらうことすら大変で。何度活動を重ねても緊張します。でも試行錯誤して、とにかく自分から声をかけたり、目線があったら話かけてみたりと、積極的に声をかけることで、耳を傾けてもらえることも多くなりました。
わたしは、高校の社会科の授業で、たまたま最近の社会問題について知ったり議論する場があったんです。でも、ただ日常を過ごすだけでは、興味を持つきっかけがないと気づいて。次は、まだ社会課題に関心が低いひとに、どうアプローチや発信をしていくのかを考えています」
Q4. 活動以外に、ご自身のパーソナリティが伝わるような、好きなものや、興味があることは?
「演劇が本当に大好きで。小学2年生のときからミュージカルをやっていたのですが、演劇は高校1年生のときに『わが町』という市民劇団に入ったことで始めました。目線や声色など、こだわる要素がたくさん詰まっている芝居の面白さに、いまでもハマっています。
演劇と平和活動には通じあうことも多くて。例えば、教科書では語られにくい「加害」の歴史に踏み込んで、平和とは何かを考えさせられる作品もあるんです。実際に『あしもとのいずみ』という、日本の戦争時の出来事をテーマにした作品にも出演しました。関係する史実や資料を読み込んで稽古に取り組む中で、演劇を手段として平和に対する強いメッセージを伝えることができると実感しています」
Q5. 将来の展望は?
「役者として生きていけるようになることが私の夢です。進路も演劇専攻を選んでいて、ゼミや学内外で得た活動の経験や学びを、演劇を通して発信できるひとになりたいと思っています。
芸術は暮らしを豊かにしたり、他者のことを考える余裕を生んでくれたりする存在だと思います。表現者として責任を持って、自分が見てきたものや考え抜いたことを発信し、少しでも平和な世界に近づけていきたいです」
中田結のプロフィール
現在の年齢:18歳
出身地:神奈川県
所属:和光高等学校、高校生平和ゼミナール、劇団わが町、どーする未来???
趣味:韓国ドラマを見ること、美術館巡り
特技:韓国語、歌唱
大切にしている言葉:根拠のない自信
Photo:Nanako Araie
Text:Mizuki Maeda