
「さっぽろ雪まつり」と聞くと、巨大な雪像や幻想的なライトアップを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。いまや世界各国から200万人以上の来場者を迎える巨大イベントですが、その歴史の始まりは中高生が雪捨て場だった大通公園で「雪像を作って地元を盛り上げよう!」と始めた小さな取り組み。
75年近くが経ち、今や札幌の冬を象徴するお祭りとして定着し、地元の人々や観光客に愛されてきた「さっぽろ雪まつり」ですが、近年、気候変動の影響が深刻になっています。
今回は3月9日にSteenzと外務省がタッグを組んで開催予定の「JAPAN CLIMATE CHLLENGE LAB 2025 - SAVE THE MATSUR-」開催に即して、さっぽろ雪まつり運営に関わる尾上さんへのインタビューを行いました。本記事では、そのインタビューを元に「さっぽろ雪まつり」の気候変動によってもたらされている課題、そして未来への想いについてを紹介していきます。
最初は7~8基。地元のティーンからはじまった雪まつりの歴史
さっぽろ雪まつりは1950年に始まりました。戦後間もない時代、まだ娯楽が少なかった頃に、地元の学生たちが雪像を作り始めたのがきっかけでした。

今回インタビューした尾上さん
「最初は7~8基ほどの雪像だったんですよ」と尾上さんは語ります。学生達の熱意が伝わり、地元の人たちが協力してくれるようになり規模が拡大。後に陸上自衛隊も加わり、大きな雪像を作る技術が発展していきました。1972年の札幌冬季オリンピックの際に世界的な注目を集めたこともあり、いまや毎年200万人以上の人が訪れる大イベントになりました。
雪不足とあたたかい冬が「さっぽろ雪まつり」にもたらす深刻な影響
雪がなくてはならないさっぽろ雪まつりですが、近年は気候変動による「雪不足」という深刻な問題に直面しています。尾上さんによると、「札幌市内に十分な雪がなくて、郊外からきれいで、まっしろな雪を集めるため
に多くのダンプを使わなければならない年が増えてきている」とのこと。
また、気温の上昇により雪像が崩れやすくなって、削っても思うような形になりにくく、それを補修するための手間も費用もかかるという現状にも直面しています。
雪不足の中、きれいな雪を集めるにも、気温が上昇する中雪像の維持をするにもお金がかかります。気候変動の影響により、予算面でも安定しない状況に直面してしまっているのが現状だそうです。
だったらやめる、ではなく環境に優しい選択を
この先も「さっぽろ雪まつり」を続けていくためには何ができるのでしょうか。
尾上さんは「まずは、気候変動の影響で何が起きているのかを理解し、それをどうすれば変えられるのかをみんなで考えることが大切」と話します。
実際に札幌市や札幌観光協会では、二酸化炭素の排出量削減や、水素エネルギー・太陽光発電などの新しいエネルギーへの切り替えを進め、雪まつり会場でも積極的に発信を行っているそうです。「イベントはどうしてもエネルギーを使ってしまうけど、『だったら全部やめる』ではなくて、環境に優しい取り組みとセットで考えていくのが大事
なんです」「さっぽろ雪まつりは、札幌に雪があるからこそ成立するイベント。将来の世代に、きれいな雪像を楽しんでもらうためにも、環境に配慮する暮らしや、新しい技術の活用などをもっと知ってもらいたい」と、こうした活動を周知することで、来場者にも、これからの冬のために何をすべきかを考えてもらうきっかけになればと期待を込め語ってくださいました。
今からできることとは?
雪まつりをはじめとした「お祭り」を私たちが守っていくには何ができるでしょうか。近年、Steenz世代を中心に社会課題に対して声を上げる動きが増えています。気候変動についても同様で、生活スタイルの見直しやSNSでの発信など、小さな行動が集まって大きな変化を生み出せるかもしれません。
札幌の冬を楽しむために地元の中高生が雪像を作り始めたところからスタートし、その手づくりの熱意が、いまや世界中から注目される大イベントに育った「さっぽろ雪まつり」。気候変動によって、この歴史が、いま、揺らいでいます。
かつての若者が、地元を盛り上げようと一歩を踏み出したように、私たち一人ひとりがでできることを考え、行動していくことが大切です。Z世代ならではのアイデアやSNSでの発信力で、長年継承されてきたお祭りや文化の未来を支え、私たちの生活を守る一歩につなげていきませんか?
そんなわけで、気候変動とお祭りについて考えるイベントを開催します
今回で4回目となったSteenzと外務省がタッグを組んだ気候変動を考えるイベント。今回のタイトルは「JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2025 ~SAVE THE OMATSURI~ 祭×気候変動」 。
もともと「雨乞い」「豊穣祈願」など天候と密接に関わっていて、国や地域の文化的アイコンである『お祭り』から、気候変動を考えていきます。MCには、Z世代を代表して、86万人を超えるチャンネル登録者数を持ち、テレビでも大活躍中の人気タレントで動画クリエイターの、ひまひまさんが決定! そしてゲストには、TikTokフォロワー数 が200万人を突破しただけでなく、テレビでの活躍などマルチに活動中のタレント本望あやかさんの登壇も決定! ふたりと一緒にお祭りの未来やについて一緒に考えていきましょう。
JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2025 〜SAVE THE OMATSURI〜 祭 × 気候変動
開催日時:2025年3月9日(日)開始15:00 終了16:30(予定)
開催形式:オンライン配信(YouTube及びInstagramでライブ配信を実施)
主催:外務省
運営:小学館、株式会社小学館集英社プロダクション
※本記事は、さっぽろ雪まつりの運営に携わる尾上さんへのインタビューをもとに作成しました。内容は執筆時点の情報に基づきます