Teen's Snapshots

学食で「フードロスを救うクッキー」を売るために。社会課題のために“思い立ったらすぐ行動”する高校生【鈴木梨子・16歳】

学食で「フードロスを救うクッキー」を売るために。社会課題のために“思い立ったらすぐ行動”する高校生【鈴木梨子・16歳】

「気になる10代名鑑」の917人目は、鈴木梨子さん(16)。高校の学食で規格外の農作物を使用したクッキーを販売するための活動に取り組んでいます。中学生のころから社会問題に対してアクティブに動いてきたという鈴木さんに、活動を始めたきっかけや大切にしていることを聞いてみました。

鈴木梨子を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れていることは?

気候変動で生まれてしまった規格外の農作物を廃棄から救うべく、ふたつの活動をしています。

ひとつは『ENIT』という社会課題に対してアプローチする団体で取り組んでいる、『梨ロスプロジェクト』です。このプロジェクトでは、高知県の梨農園さんとコラボするかたちで、廃棄される梨を使用した商品の開発に取り組んでいます。

もうひとつは、個人の活動として取り組んでいる、規格外の農作物からできたパウダーを混ぜ込んだクッキーを作って、学食で販売するプロジェクトです。クッキーを食べることで自然と社会貢献に繋がれば素敵だと思うし、フードロスについても学ぶ機会になればいいなという思いがあります。さらに、まだ構想段階ですが、売り上げの一部を農家さんに還元する仕組みにすることも考えています」

Q2. 活動をはじめたきっかけは?

昨年の3月に参加したピッチコンテストがきっかけで、いま所属しているENITという団体に出会いました。そのコンテストで、サメの個体数の減少を防ぐために、植物由来のフカヒレを3Dプリンターで作るアイデアを発表したのですが、いまは現実的に実現が難しいとわかって……。

そんなとき、ENITでの活動を通じて、規格外の農作物をパウダーやピューレ状に加工している食品加工会社と出会いました。フカヒレは難しいけれど、フードロスに関してならいまの自分でも何かできるのではないかと思えたんです。

最近はAIも発達してきていて、アイデアなんていくらでも出せると思います。でも、その実現に向けて行動しているひとは少ないんじゃないかなって。せっかくアイデアを思いついても、アイデアだけで終わらせたらもったいない。そんな気持ちで、思い立ったらすぐ行動することが多いですね」

Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?

中学2年生のとき、学校にマイボトルやマイプレートを持ってくると購買部で使えるチケットがもらえるというアイデアを考えたんです。けれども、それを学校に提案したらNOと言われてしまって。

振り返ってみると、とにかくやりたい気持ちが先走っていて、企画書では実現に向けての提案が足りていなかったなって思います。そういう反省を踏まえて、高校でもう一度挑戦してみたいなって思って。それが今回のクッキーのプロジェクトにつながっています。

高校でもクッキーを食堂で売りたいなんて提案した生徒はいなかったみたいで、やり取りには難しさもあります。でも受け入れてもらえるように、A案だけじゃなくてB案、C案……というように、いろんな方向から提案していけたらいいなと思っています」

Q4.活動するうえで、大切にしていることは?

結果ばかりを追い求めてしまわないことです。

今回のプロジェクトでも、なかなか思い通りにいかず、落ち込むことがあって。そのとき、お世話になっている先生に、『失敗なくして、成功はない』っていう言葉をかけてもらったんです。当たり前のことではあるけど、失敗することも大事なのだと気づくことができました。

だから、結果だけには囚われず、そのプロセスでの自分の努力を認めたり、逆にどこがダメだったのかを分析したりして、次につなげていきたいなって思っています」

Q5. 今後の展望は?

まずは、学校でのプロジェクトを実現させて、クッキーを持続的に販売していくための仕組みを整えていきたいです。その第一歩として、今年の文化祭に出店する予定なので、いまは準備をその頑張りたいと思っています。

将来的には、海外の大学への進学を考えています。いままで、日本の教育の中で新しいアイデアとかプロジェクトをなかなか認めてくれない現状に直面してきたので、そういう面で海外の方が自分に合っているのかもなんて感じていて。一度諦めてしまったフカヒレのアイデアにもいつかチャレンジしたいと思っています」

鈴木梨子のプロフィール

年齢:16歳(2008年11月22日)
出身地:神戸市東灘区
所属:ENIT
趣味:プレゼンの資料作り、文具集め、読書
特技:英語をネイティブ並みに喋れる
大切にしている言葉:「どのような結果であれ、それをプラスにするのもマイナスにするのも自分の捉え方次第」

Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai

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Fuka Hagai

ライター

2003年生まれ、愛知県出身。立教大学社会学部メディア社会学科 在学中。Steenzには2024年より参加し、学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事制作に携わる。

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