
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、自然を生かしたまちづくり「グリーンインフラ」についてご紹介します。
自然を生かしたまちづくり「グリーンインフラ」とは
道路や水道、公園や病院など、わたしたちの生活はさまざまなインフラに支えられています。国際連合によると、2050年には世界総人口の約7割が都市に暮らすようになるとの予測も出ているのだそう。そのため、今後は都市機能の持続可能性がますます重要となってゆくでしょう。
都市の持続可能性を高めていく上で近年、重要視されているものとして「グリーンインフラ」という考え方があります。グリーンインフラとは、その名の通り、自然の持つ機能や仕組みをインフラに有効活用すること。例としては、ヒートアイランド現象の緩和のためにビルの屋上に植物を植える、土砂災害防止のために森林を保全することなどが挙げられます。
グリーンインフラが必要とされている理由とは
グリーンインフラはなぜ必要とされており、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、インフラにはコンクリートなどで造られた道路や橋、防波堤など、従来型の社会基盤を指す「グレーインフラ」があります。グレーインフラは、システム化しやすく、スピード感を持った構築ができるといったメリットがあることから、トンネル建設や災害復旧などの場面に向いているとされています。
その一方で、自然環境の減少やメンタルヘルスへの悪影響が懸念されており、対策が求められています。そこで現在、グレーインフラの課題を補う形で「グリーンインフラ」が各地で導入され始めています。グリーンインフラには、ストレス軽減などの効果が期待されているのです。
国内のグリーンインフラ事例
では、実際にグリーンインフラの国内での事例をいくつか見ていきましょう。
最初にご紹介するのは、コンタクトレンズの開発で有名な株式会社メニコンから発売された芝生「ナルオターフ®」です。従来の天然芝は、人工芝と比べるとプラスチックフリーではありますが、定期的な芝刈りによってゴミが出るため、一定の環境負荷が発生していました。
一方、メニコンが手がける「ナルオターフ®」は、草刈りがほぼ不要。縦方向の伸びが在来品種の1/3程度かつ、少ない肥料で葉色が維持されやすい「姫コウライシバ」という品種を使うことで、手入れも楽で環境負荷も少なくなっているのです。「ナルオターフ®」の普及を推進することで、グリーンインフラへの貢献が期待されています。
次にご紹介するのは、福島県郡山市にある日本大学工学部キャンパス内の緑化施設「ロハス工学センター棟 ロハスの森『ホール』」の取り組みです。特徴的なフォルムの屋根部分には、遮熱効果と室内温度低下を目的として植栽が設置されています。
加えて、屋根に降り注いだ雨水は溜池に流れ着くよう設計されています。溜池には、「最適雨水貯留量シミュレーションツール」が取り入れられており、生物多様性を守る湿地環境の創出をめざしているそうです。
これから更に注目のグリーンインフラ
グリーンインフラは、世界の人々がそれぞれの土地で培ってきた知恵をベースとして考えられてきました。近年、人口増加に伴い、都市と自然との共生が多くの国で課題となっています。グリーンインフラは、そうした課題を解決するヒントになるかもしれません。
Reference:
人口構成の変化 | 国連広報センター
Text:kagari