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インターネット中毒を乗り越えて。エンタメの力で中高生が明日に前向きになれる社会に【山田杏珠・16歳】

インターネット中毒を乗り越えて。エンタメの力で中高生が明日に前向きになれる社会に【山田杏珠・16歳】

気になる10代名鑑」の904人目は、山田杏珠さん(16)。ボランティア活動やビジネスアイディアの創出を通して、子どもや中高生の課題解決に向けたアプローチに力を入れています。中学2年生のころ、インターネット中毒になってしまったことが活動のきっかけになっていると話す山田さんに、活動についてあれこれ聞いてみました。

山田杏珠を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

小さな子どもの周りにある社会課題や、中高生が抱えるメンタルヘルス関連の課題に対して、自分なりにできることを考えていて。その方法として、起業やNPOでの活動について勉強しているところです。

起業の面では『ローカルベンチャーアカデミー』に参加して、壁打ちをしつつ、自分の考えたビジネスアイディアのブラッシュアップをしています。NPOの面では、『ちばボランティアナビ』というサイトを通じて、子どもに関わるボランティアにとにかくたくさん参加している段階です。これまで、子ども食堂でのピアノの演奏や、放課後等デイサービスでのボランティアなどを経験しました。

小さい子どもから自分と近い世代まで、幅広い年代を対象に課題解決していきたいので、NPOでの活動とビジネスからのアプローチのどちらも必要だと感じています」

Q2. 活動をはじめたきっかけは?

中学2年生のとき、コロナ渦でリモートが中心になって、生活習慣がおかしくなってしまっていたのと、学校のグループ活動でパソコンに触れる時間が増えたことが重なって、インターネット中毒になってしまったんです。

なんとかしなきゃとは思っていたんですけど、有意義なことは何もできる気がしなくて。そんなとき、ボランティアのチラシをもらったんです。これだったら、この状況から抜け出せるんじゃないかっていう直感から、保育園でのボランティアに参加してみました。4日間ぐらい行ったんですけど、本当に楽しくて。子どもが好きだっていうことも実感しました。

そこから、子どもと関わるボランティアにいろいろ参加するようになりました。その中でも、なんとなくじゃなくて、ちゃんと意味のあることをしたい、自分が誰かのためになれている実感がほしいという想いが強くて。それで、自分なりのアクションを考えるようになりました」

Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?

高校1年生のころ、『トビタテ!留学JAPAN』の制度を利用して台湾に留学したことです。

10年間やってきたピアノの経験を生かす形で、現地の福祉施設での音楽ワークショップを企画しました。実際にやってみると、うまくいかないこともあったんですけど、それを機に音楽交流とかエンタメ、特にサブカルチャーの領域でのビジネスに興味を持つようになりました。

あとは、トビタテを通じて、活動的な同世代に出会ったことも印象的でした。すごく嫉妬する部分が多かったというか。わたしが目の前のことで手一杯になっている間に、彼らは社会に対してダイレクトなアクションを起こしている。それを見て『自分もこういうことやりたいのに!』って……。でも、悔しい気持ちを持ちながらも、わたしももっと、自分に何ができるか考えていかなきゃなって刺激をもらえたんです。目の前のことに取り組みながらも、世界にも目を向けていこうって考えるようになりました」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

中高生の明日に対する不安や、前に進めないっていうためらいに対して、元気を与えられるような、彼らが何か関心を持って、次に踏み出せるような仕組みを作れたらなって思っています。

というのも、わたしがネットの世界に潜ってしまったときに、いわゆる『病み垢』って呼ばれる界隈に出会って。そこにいる中高生の子たちは、『明日が嫌だ』『明日が怖い』みたいなことをよく言っているんです。

そんな彼らにも、自分の好きなこととか、自分を主語にしてできることが見つかったらいいなって思っていて。そういう子たちの関心ってサブカルチャーにあることが多いので、エンタメ的なアプローチに着目しています。例えばライブ中って、その瞬間は夢中になっていて、未来のことも過去のことも考えないじゃないですか。そんなエンタメの力を生かして、彼らが『好き』に対して素直になれるアクションを起こしていきたいなって考えています」

Q5. 今後の展望は?

小さい子どもたちに関わるボランティア活動は継続的にやっていきたいと思っているのと、悩みを抱える中高生の居場所づくりに取り組んでいきたいです。具体的には、サードプレイス的な、カフェみたいな場所を作りたいと考えています。

海外にも関心があって、将来的にはアフリカの雇用問題にチャレンジしたいと思っています。どんなフィールドでも、社会にとって意味のあることをやっていきたいです」

山田杏珠のプロフィール

年齢:16歳
出身地:千葉県流山市
所属:千葉県立東葛飾高等学校、LeapFor高校生アンバサダー、Bellatrix
趣味:ピアノ
特技:理屈っぽく話すこと、初対面で仲良くなること

Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai

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Fuka Hagai

ライター

2003年生まれ、愛知県出身。立教大学社会学部メディア社会学科 在学中。Steenzには2024年より参加し、学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事制作に携わる。

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