
「気になる10代名鑑」の899人目は、岡部真央さん(16)。生活や自然界を構成する分子のひとつ「炭素」の研究をおこなっています。炭素でできた「カーボンナノチューブ」の特性を活かし、ウェアラブル端末の開発にも力を入れる岡部さんに、活動のきっかけや、印象的だった出会いについて聞いてみました。
岡部真央を知る5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「中学1年生のころから、とにかく『炭素』が大好きで、地球環境や私たちの生活を守るものに活用できないかということを考えています。
いまは、ナノカーボンという、ごく小さな炭素だけでできたチューブ状のナノ素材『カーボンナノチューブ』について研究中です。銅よりもはるかに高い熱伝導や電気伝導の能力がありながら、強度も高い。半導体や宇宙エレベーターにも応用できるよう研究されている、すごい素材なんです。
また、九州大学工学院の研究室に所属して、カーボンナノチューブを使ったウェアラブルデバイス『FIT-BON』の開発にも力を入れています。出資してくださっている企業に対して成果発表をおこなったり、研究コンペに参加したりもしています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「FIT-BONを開発するのは、私が中学2年生のときに、私の父が突然亡くなってしまったことがきっかけです。当時、会社には父しかおらず、体調の急変にだれも対応できなくて。もし、その場にいられなかったとしても、体調をつねに把握して、異変にすぐ気付くことができれば、救急車が呼べたかも知れない……という悔しい思いがありました。
そのとき、炭素に出会って自分で勉強をしていたころでした。常に身につけておける体調管理のデバイスがあれば、同じ思いをする人が減らせるかもしれない。そこで、カーボンナノチューブの熱伝導率の高さを活用して、体温と外気の温度差で発電できれば、充電をせずに使い続けられるウェアラブルデバイスができるんじゃないかと考えたんです」
Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「高校の高大連携プログラムでお世話になった、炭素が大好きな先生との出会いです。
有機物すべてに欠かせないのが、炭素です。小さな炭素分子の組み合わせ次第で、社会を作り出しているモノ、生命、たくさんのものに応用できることを教えてもらって、それが面白くて。それに、こんなにもひとつのことにがむしゃらに向き合って、いつもワクワクしている先生の姿にも憧れて、わたしもこんな大人になりたい! と思いました。
そこから、自分で論文を読んでみたり、研究室にも参加したりとアクションし始めました」
Q4. 活動する中で、印象的だった出来事は?
「高校1年生の冬に『Makers University U-18』という起業コミュニティに参加したんです。自分の研究をもっと現実的なものにして、広めていくにはどうしたらいいかをいろいろな人から学びたくて。
わたしにとって初めてのコミュニティ経験だったんですけど、たくさんの同年代の人たちが研究やプロジェクトを頑張っていることに刺激を受けました。障害のあるお父さんのためにデバイスを開発している人にも出会って、研究にかける思いを話してくれて。自分の経験や思いにも重なるところがあって、いまでは研究のことだけでなく、日々の学校のことや、外部活動をしていく上での悩みも相談し合える、大事な存在です」
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Q5. 今後の展望は?
「まずは、FIT-BONを完成させることが目標です。熱を使った発電の仕組みができたので、ここからはいかに実装していくか。装着し続けるものを想定しているので、着け心地にもこだわりたいです。高齢者に使ってもらうことも見据えて、改善点を見つけようと、介護施設なども訪問しながらヒアリングしています。
また、お世話になっている先生の背中を追いかけて、将来は研究者をめざそうと思っています。炭素といえば、『CO2』=地球温暖化の原因として、嫌われ者なイメージもあるけど、本当はなくてはならないし、役立つ物質なんだよって伝えたくて。だからこそ環境問題にもアプローチして『炭素で人と地球を守る』、そんな未来を実現していきたいです」
岡部真央のプロフィール
年齢:16歳
出身:福岡県福岡市
所属:私立福岡雙葉高等学校
趣味:音楽鑑賞
特技:バレエ
大切にしている言葉:オラ、ワクワクすっぞ!!
岡部真央のSNS
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𓐍 𓈒𓏸 自己紹介 ◌𓈒𓐍 𓈒
炭素を愛する福岡のJK
˗ˏˋ 岡部 真央(おかべ まお) ˎˊ˗ です!カーボンナノチューブに恋して2年
女子校歴11年のベテラン女子高生
脱炭素…ಠ_ಠオラ、ワクワクすっぞ!!
@mao_cnt #note https://t.co/xNzZix6LFY
— Mao Okabe |love carbon (@mao_cnt) October 31, 2024
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Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome