
「気になる10代名鑑」の902人目は、西川優月さん(19)。大学の文学部で人間の心理について学びながら、小説を書いています。長編小説を書き上げて文学賞に応募するなど、熱量高く執筆に取り組む優月さんに、小説を書き始めたきっかけや、活動に対する思いについて伺ってみました。
西川優月を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「大学で人間の心理について学びながら、自分の世界観を小説として形にすることを目標に、執筆活動をしています。
音楽や映画などからインスピレーションを受けることが多いです。先日は、とある楽曲から物語が浮かび、作品にしました。約10万字の長編作を書き上げ、講談社の『群像新人文学賞』に応募したところです。
結果はまだでていませんが、もっと伝えられることがあったかもしれないと未熟さも感じていて。いまは、短編作をたくさん書くことで経験を積みながら、インプットの量も増やしていきたいと思っています」
Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「言葉にすることが難しいのですが『歴史や人生、広い世界の一瞬を切り取ること』をテーマにしています。
先日、『ボーはおそれている』という映画を鑑賞したんです。心理的な負荷を感じるストーリーにもかかわらず、主人公の半生の描かれ方に夢中になってしまって……。この映画のように目を背けられなくなるような魅力的な世界観を、小説という形で表現していきたいと思いました。
書くときに意識しているのは、現実と虚構の境界をなくすこと。虚構(フィクション)を、いかに現実の出来事であるかのように表現できるかを大切にしています」
Q3. 活動を始めたきっかけは?
「高校2年生のころ、学業と部活に追われていて、両立するのも難しいくらい忙しかったんです。そんなときでも、ふと物語のストーリーを頭の中で考えている自分がいることに気がつきました。小説を書いたり、物語を考えたりするのが心から好きなのかもしれないと感じて、それから本格的に小説を書くようになりました。
ただ、幼少期のころから本に触れる機会はとても多くあって。小学1年生のときには、無限の可能性が広がっている『ハリー・ポッター』の世界観に心を奪われて、何度も読み返していました。ほかにも、小学4年生の自由研究で文章を書いたのを覚えています。自分の中に眠っている世界観と、外の世界から受けた刺激をもとに物語を紡ぐのが、昔から好きだったのかもしれません」
Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「小説の道を切り拓いてくれた、高校時代の先生です。大学の進路について面接練習をしていたとき、『小説を書きたいかもしれない』と、誰にも言っていなかったことを先生に打ち明けました。先生は、顔色ひとつ変えずに『いいじゃん、その方向でいこう』と応援してくれて。
先生と出会っていなかったら、この道には進んでいなかったと思います。大学の文学部で学ぶ中でも文章と関わりながら、これからも小説を書き続けていきたいです」
Q5. 将来の展望は?
「わたしの作品を読んでくれた人にとって、新しい世界の一片となるような作品を作ることが夢です。さまざまな視点から新しい知識を習得し、引き出しを増やして、ストーリーの幅や深みを作っていきたいと思っています。
そのためにも、まずは大学生のうちに留学することを目標としています。新しい環境に自ら飛び込んで、面白い人たちと出会っていきたいんです。自分自身で体験したことや、感じたことを小説につなげていきたいと思います」
西川優月のプロフィール
年齢:19歳
出身地:京都府
所属:千葉大学文学部行動科学コース
趣味:読書、映画鑑賞
特技:どこでも寝られること
大切にしている言葉:最終指標は自分
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano