
「気になる10代名鑑」の888人目は、松島大剛さん(19)。国際的な問題における「和解」とは何かを、映画を通して考える活動をしています。日韓をはじめ、東アジア全体の文化を純粋な心で楽しめる社会にしたいと語る松島さんに、活動を始めたきっかけや、活動をする上で大切にしていることを伺いました。
松島大剛を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「映画を通して和解について考える映画祭『国際和解映画祭ERIFF』の運営です。
毎年、学生だけで映画祭を企画、開催しています。去年の年末には『第4回ERIFF国際和解映画祭』を、早稲田大学の大隈記念講堂で開催しました。和解をテーマにした映画や脚本を集めてコンペティションをおこない、ノミネートされた作品を上映、来場してくれたお客様と一緒に『和解』とは何かを考えていきます。
また、クリエイターの発掘や支援にも力をいれていて、活動歴15年以下という制限を設けました。新人のクリエイターが世界に羽ばたけるよう支援していきたいです」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「去年の夏、すでに『国際和解映画祭ERIFF』へ所属していた友人から誘ってもらったことがきっかけです。平和や国家間の問題について学生なりに考え、世界がより良くなるように試行錯誤しているということ、そして学生がイチから映画祭を作り上げている姿に感銘を受けました。
いつから国際平和について興味があったのかは覚えていませんが、世界の歴史への学問的な興味から始まった気がしています。日本でK-POP や韓国ドラマが人気なように、韓国でもJ-POPや日本のアイドル・ドラマが有名で、文化的な好感度はお互いにすごく高いと思うんです。でも、国家間の対立はあって……それってどうしてだろう、というところから勉強を始めました」
Q3. 活動するうえで、大切にしていることは?
「顔を合わせられる空間で対話をしながら、議論を重ねることです。
Xなどが『対戦型SNS』と呼ばれるようになってきているように、匿名で発信できる空間は、面と向かって伝えられないような強い感情を主張できる環境になってしまっていると思うんです。日韓や日中の問題は排他的な意見が多い気がしていて。ぼく自身、それにすごく違和感があります。
映画を通して、同じ空間で意見を伝え合える環境を作ることで、感情的になりすぎずに話し合いを重ねられるんじゃないかなと思っています」
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Q4. 影響を受けた人物は?
「歴史上の人物なのですが、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った、杉原千畝という方です。
杉原千畝さんは、ナチスの迫害から逃れようと日本を経由した6,000人ものユダヤ人にビザを発行して、命を救ったといわれています。命の重さを尊重する姿と強い信念に感動しました。小学生のころに岐阜県にある『杉原千畝記念館』を訪れたことが記憶に残っていて、いまでもすごく尊敬する方のひとりです」
Q5. 将来の展望は?
「日本や韓国、中国など、東アジア全体の文化を、純粋な心で楽しめるような社会になればいいなと思っています。そのためにも、歴史や文化、国際間の『和解』というものについての知識を深め、映画を通して世界に広めていきたいです。まずは、今年も開催する『ERIFF国際和解映画祭』を、幅広い年齢層の方に来ていただけるよう作り上げていくのが目標です。
また、平和や和解について考える中で、国際機関に興味を持つようになりました。具体的な仕事はまだ明確ではありませんが、ゆくゆくは国際的な影響力を与えられる人になりたいです」
松島大剛のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:国際基督教大学1年、国際和解映画祭実行委員
趣味:早寝早起き
特技:倒立
大切にしている言葉:YOLO
松島大剛のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano